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損しないためのケータイ料金再入門

第12回:3キャリアの端末購入制度を比較


 総務省の要請を受け各社とも端末価格と通信料を明確に切り分けた「分離プラン」を推し進めてきたが、スマートフォンに軸足を移すのにともない、新たな“買い方”が主流になりはじめている。最大2年間の割賦と、端末購入による通信料割引がそれだ。ドコモは、3月からスマートフォン向けに「月々サポート」を開始。一方のKDDIは「IS03」の投入と同時に「毎月割」をスタートさせ、今ではフィーチャーフォンでもこの売り方を踏襲している。2年間の割賦と通信料への割引で先行していたのがソフトバンクモバイルで、同社は2006年に「スーパーボーナス」を導入した。その後、サービス内容や適用条件を改め、現在の「新スーパーボーナス」(月月割)にいたる。

 このように、大手3社とも端末価格と通信料への割引きを連動させた制度を運用しているが、適用条件などには違いもある。間違えて割引を受けられなかった、制度がよく分からず結果として損をしてしまったということがないよう、改めて3社のスマートフォンの買い方を振り返ってみよう。

 

基本的な仕組みと割引対象の料金をチェック

 まず、各社の制度の基本を見ていこう。ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルともに、考え方はほとんど同じだ。各端末にはそれぞれ「本体価格」が設定されており、一定の条件を満たせば、月々サポート、毎月割、月月割による割引を一定期間、毎月受けることができる。割引は通信料に適用される。

 これらの割引は最大24回に分かれており、ドコモ、KDDIは端末を購入した月に1回目が、ソフトバンクモバイルは翌月に1回目の割引が発生する。割引は購入した端末と紐づいているため、機種変更や解約をすると、端末に応じて設定されていた割引も消滅する仕組みだ。割賦を組んでいる場合は残債を支払わなければならないケースもあり、これは従来の“違約金”のようなものとは根本的に性質が異なるという点には注意が必要である。

 キャリアや店舗によっては、本体価格から割引額を除いた金額を、“実質価格”と呼んでいる。ただし、この実質価格はあくまで24回分、割引を受けられた場合のもので、24回の割引を受ける前に機種変更したり、利用料が割引額を下回ったりすると、変動する。あくまで参考程度に受け取っておき、端末購入時には、割引を何回受ければいくらになるのか、自分でシミュレーションしておくとよい。

Xperia arc

 例えば、ドコモの「Xperia arc」は4月14日時点の本体価格が4万8720円で、月々サポートによる割引額は、新規契約だと毎月805円。2年間、割引をフルに受ければ割引額の合計は1万9320円となり、本体価格は“実質”で2万9400円だ。しかし、1年で機種変更すると、月805円の割引が12回、トータルで9660円しか引かれず、端末本体の実質価格は3万9060円ということになり、およそ1万円程度の違いが生じる。

 店頭などでは2年間の実質価格や頭金だけが強調されがちだが、進化の速いスマートフォンだけに、ユーザーによっては、買い替え頻度が高くなることは容易に考えられる。この価格の仕組みは、頭に入れておいても損はないだろう。また、組んでいた割賦は、機種変更時に、一括返済して清算するか、そのまま割賦を続けるかを選択可能だ。ただし、一部例外を除いて三重割賦(同時期に3端末が割賦で返済中の状態)はできないので、購入頻度が高い時は、一括で清算してしまうことをオススメする。

Xperia arcの実質価格
本体価格 4万8720円
6カ月利用の実質価格 4万3890円
1年利用の実質価格 3万9060円
1年半利用の実質価格 3万4230円
2年利用の実質価格 2万9400円

 

 ここまで、割引は通信料に適用されると書いてきたが、実はこの対象にも、キャリアごとの違いがある。ドコモの月々サポートや、KDDIの毎月割は、ユニバーサルサービス料や国際通話通信料、コンテンツなどの回収代行分といった一部を除いた料金から割り引かれる。極端な例だが、仮に割引額が大きければ、毎月の利用料がわずか7円(ユニバーサルサービス料)になる可能性もある。とは言え、後述するように、現時点ではパケット定額プランとの組み合わせが限定されているので、実際には最低でも基本使用料程度の支払いは必要になる。

 ソフトバンクモバイルは、月月割の割引対象に基本使用料が含まれていない。ホワイトプランを選んでいる場合、仕組みとして基本使用料の980円とユニバーサルサービス料の7円は最低でも発生する仕組みだ。上記と同様の例を当てはめるなら、割引額が大きい端末で、パケット通信をあまり使わないと(自動的に通信を行うスマートフォンでは想定しづらいが、フィーチャーフォンならありえない話ではない)、月月割による割引を満額で受けられず、結果として実質価格が当初想定していたより高くなるケースもあることは注意しておきたい。

ソフトバンクモバイルは基本使用料が割引対象外(図は同社のサイトから引用)

 

適用されるプランの違いには注意

 月々サポート、毎月割、月月割は、どれも対象となる料金プランが限定されている。店頭でも仕組みは説明してくれるが、自分でプランを変更するなどして、うっかり割引が受けられなくなることがある点には気をつけたい。

 まず、ドコモの月々サポートに関しては、音声通話が可能な(一般的な)プランで契約する場合、選択できるパケット定額制は月額2100円〜5985円の間で変動する「パケ・ホーダイ ダブル2」か、月額5460円で一定の「パケ・ホーダイ フラット」に限られる。

 音声通話を利用しないデータプランは、「定額データプラン フラット バリュー」か「定額データプラン スタンダード2 バリュー」のみだ。月々の“最低料金”が安い「パケ・ホーダイ ダブル」や「パケ・ホーダイ シンプル」だと、月々サポートの割引を受けることができない。すでに述べたように、ドコモの月々サポートは基本使用料まで割引対象になっているものの、一番安い「タイプSS バリュー」と「パケ・ホーダイ ダブル2」の組み合わせでも、「spモード」などのオプションを合わせると月額3000円を超えてしまう。現状では、月々サポートで2000円以上の割引が受けられる端末は存在しないため、結果として通信料が丸ごと割引になるようなことはない。逆に言うと、ソフトバンクモバイルの月月割で起こりうるような、割引対象の料金が割引額を下回り、端末の“実質価格”が上がってしまう現象もほぼないと考えられる。

 KDDIの毎月割もドコモと同様で、月額5460円で一定の「ISフラット」か、月額2100円〜5985円で変動する「ダブル定額」のみが対象となる。月額390円からの「ダブル定額スーパーライト」や、月額1050円からの「ダブル定額ライト」では、毎月割が受けられないことは覚えておこう。ドコモと同様、毎月割が2000円を超える機種はまだ存在せず、選べるパケット定額プランは限られるため、基本使用料まで割り引かれるケースはまずない。

割引が適用されるパケット定額プラン(音声契約の場合)
ドコモ パケ・ホーダイ ダブル2 月額2100円〜5985円
パケ・ホーダイ フラット 月額5460円
KDDI ダブル定額 月額2100円〜5985円
ISフラット 月額5460円

 

 これに対して、ソフトバンクモバイルはプランの自由度が非常に高い。ホワイトプランのほか、今ではほとんど見かけなくなった「ゴールドプラン」や「オレンジプラン(WX)」「ブループラン」などにも、月月割が適用される。組み合わせるパケット定額制も限定されていない。ただし、同社は月月割の額をパケット定額制と連動させる「バリュープログラム」を採用しているため、他社よりもやや仕組みが複雑だ。

 例えば、通常の3Gケータイで「パケットし放題フラット」に加入すると月額600円、「パケットし放題」に加入すると月額300円が、月月割の割引額に上乗せされる。スマートフォンの場合は「パケットし放題MAX for スマートフォン」で月額600円、「パケットし放題S for スマートフォン」で月額300円の上乗せだ。基本的には、最低料金の低いパケット定額プランの方が割引額も大きくなる。ユーザーからの支払いが見込めるぶん、還元しやすいという側面があるのだろう。なお、「パケットし放題MAX for スマートフォン」は4月30日までとなっており、5月1日からは「パケットし放題フラット for スマートフォン」が始まる。まだ発表はされていないが、バリュープログラムの金額がどうなるのかにも注目しておきたい。

バリュープログラムの割引額
スマートフォン パケットし放題MAX for スマートフォン 月額600円
パケットし放題S for スマートフォン 月額300円
フィーチャーフォン パケットし放題フラット 月額600円
パケットし放題 月額300円

 

3社の割引価格を、仕様の近い端末で比較

 では、実際、各社の割引額はどの程度になっているのか。3社それぞれに端末を納入しているシャープのスマートフォンで、価格の違いを理解しておきたい。

 各端末の価格は本誌の調査を利用。本稿執筆時点(4月19日)の最新データに基づいている。なお、価格はすべて新規契約の場合で、機種変更やMNPは考慮してない。比較に利用した端末は、ドコモが「LYNX SH-03C」、KDDIが「IS03」、ソフトバンクが「GALAPAGOS 003SH」だ。もちろん、3D液晶/メモリ液晶の有無や、チップセット、OSのバージョンなど、スペックや仕様が違うため、一概に比べることはできないが、発売時期が近いシャープ製のAndroidスマートフォンという点では、ある程度の参考になるはずだ。以下に、端末の本体価格、月々の割引、実質価格を掲載したので、ご覧いただきたい。

LYNX 3D SH-03C IS03 GALAPAGOS 003SH

 

  本体価格 月々の割引 2年利用の実質価格
ドコモ LYNX 3D SH-03C 5万6616円 1064円 3万2760円
KDDI IS03 6万3000円 2000円 1万5000円
ソフトバンク GALAPAGOS 003SH 8万5920円 2200円 3万3120円

 

 一見すると、IS03の安さが際立っているが、これは毎月割が改定され、1500円から2000円になったため。本体価格そのものは、ドコモよりやや高い程度だ。比較した端末における3社の傾向としては、ドコモは本体価格が安く、割引が少ないのに対し、ソフトバンクモバイルは本体価格が高く、割引額も多い。KDDIはちょうどその中間といったところだ。

 次に、メーカーは違うが、各社の春モデルにあたる最新機種を比べてみた。ドコモは「Xperia arc SO-01C」、auは「HTC EVO WiMAX ISW11HT」、ソフトバンクモバイルは「GALAPAGOS 005SH」と、どれもハイエンドなスマートフォンを選択している。

peria arc SO-01C HTC EVO WiMAX ISW11HT GALAPAGOS 005SH

 

  本体価格 月々の割引 2年利用の実質価格
ドコモ Xperia arc SO-01C 4万8720円 805円 2万9400円
KDDI HTC EVO WiMAX ISW11HT 6万8250円 2000円 2万232円
ソフトバンク GALAPAGOS 005SH 8万5920円 2200円 3万3120円

 

 先ほどの比較以上にスペックのバラつきが大きく、ハイエンドの春モデルという以上の共通点はないが、傾向はシャープ製の冬モデルを比べたときと似ている。ドコモは本体価格を安くし、代わりに割引も最低限に抑えている印象だ。一方で、KDDIは割引を多めに設定し、2年利用時の実質価格を下げる戦略のように見える。ソフトバンクモバイルの端末は、本体が高い半面、割引が多く、2年利用時の価格はドコモと同水準となる。

 ここであえて本体価格と割引額を併記したのは、それらを差し引きした“実質価格”だけで端末の価格を判断してほしくないからだ。高い価格の本体と多額の割引がセットになると、その分、途中での機種変更や解約がしづらくなることも忘れないでおきたい。

 極端な例だが、本体価格が25万円、割引が合計で24万円という設定でも、2年利用時の実質価格は1万円になる。確かに見た目上の“実質価格”は安く感じるかもしれないし、2年使えば1万円になるだろう。しかし、1年で機種を変えたり解約すると、12万円分の割引が受けられず、実質価格は13万円になる。本体価格と実質価格があまりにかい離していると、想定利用年数に満たなかったときに端末代が高くなるリスクもそれだけ大きくなる。

 先に述べたように、仕組みとして、通信料が割引額を下回った場合も想定した実質価格は崩れてしまう。無論、このような価格設定の機種は存在しないが、考え方は応用できるだろう。繰り返しになるが、端末購入時には、2年利用時の実質価格だけでなく、本体はいくらなのか、割引はどれ位なのかということまできちんと把握しておくようにしたい。

 




(石野 純也)

2011/4/20 11:53