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「GALAXY S II」レビュー

“突き抜けたスペック”と“使い勝手”が両立した1台


 1.2GHzのデュアルコアCPUや、発色のいい「スーパーAMOLEDプラス」(有機EL)を搭載したハイスペックなAndroid搭載スマートフォン。それが、サムスン電子の開発した「GALAXY S II」だ。日本では6月にドコモから発売され、先代の「GALAXY S」を上回る人気を博している。予約も殺到し、初週の販売ランキングでは1位を獲得した。世界でも、販売台数はすでに300万台を突破。米国発売をこれからに控えた中で、この数字はかなりのものだ。そんなGALAXY S IIを、筆者も早速購入した。まだ使い始めてから10日ほどしか経っていないが、“メイン端末”として使ってみた上でのインプレッションをお届けする。製品レビューを通じて、GALAXY S IIが多くの人に受け入れられている理由に迫っていきたい。

サムスン電子製のスマートフォン「GALAXY S II」 背面はグローバル版とは違い初代「GALAXY S」のようなテクスチャーを継承している
向かって右側には電源ボタンを装備 左サイドには音量ボタンを搭載。ストラップホールもこちら側

 

スマートフォン最速レベルのサクサク感

 「GALAXY S II」には、サムスンが開発したデュアルコアCPUが搭載されている。クロック数は1.2GHz。数値こそシャープ製のスマートフォンに使用されている1.4GHzのSnapdragonには及ばないが、デュアルコアであることを勘案すると、スペック上は“夏モデル最速”と言っても過言ではないだろう。定番のベンチマークアプリ「Quadrant」を走らせてみると出るスコアは、文字通り“ケタ違い”。もちろん、ベンチマークはあくまで指標の1つでしかないが、他の機種とここまで違うのは特筆すべきポイントだ。

「Quadrant」で測定したスコアは、他の機種を大きく上回る

 

 実際端末に触れてみると、その実力がよく分かる。スクロールにはもたつきが一切なく、指の動きに画面が完璧に追従する。アプリの起動も高速だ。特に差が出やすいのが、アプリ間連携を行った場合。1GHzのCPUを搭載した標準的なスペックのスマートフォンだと、データを受け渡すアプリによっては画面が一瞬止まることがあり、「待たされている」という印象を受ける。例えば、ほかの端末でTwitterクライアントに表示されたURLをタップすると、ブラウザが起動するまでにわずかな“間”があった。対するGALAXY S IIは、そのような感覚を全く与えない。次々にアプリを呼び出してしていっても、どれもが瞬時に起動する。

アプリからアプリを呼び出しても、起動が素早い

 

 画像を多用したサイトをスクロールする際の滑らかさや、Flash利用時の動作速度にも、顕著な差が表れる。GALAXY S IIではブラウザのスクロールが“カクカク”することもなく、容量を抑えたページとほぼ同じように閲覧可能だ。ほかのスマートフォンも十分快適になったとはいえ、たまたま見たページが重いと、とたんに滑らかさが失われてしまう。ネットを使い込むヘビーユーザーほど、GALAXY S IIの速度の恩恵にあずかることができるだろう。

Flashを使ったページを開いても、ブラウザは滑らかに動く

 

 また、この端末はRAMの容量も十分で、1GBとなっている。これも、GALAXY S IIの速さを支える要因の1つと言えるだろう。RAMは、初期状態でも約560MBほど空いているので安心だ。アプリの作りにもよるが、使用時にメモリ不足で突然強制終了になるようなことはほとんど起こっていない。今まで、筆者はアプリを使ったら戻るボタンや画面内のメニューからきっちり終了させていたが、RAMが多ければ、面倒なことを考えず気軽にアプリをバックグラウンドに回しておける。操作がシンプルになったという意味では、スペックの高さが使い勝手につながっているのだ。

1GBのRAMが搭載されているため、初期状態ではかなり余裕がある

 

徹底的にカスタマイズされ使い勝手のいいUI

 デュアルコアCPUを中心としたハイスペックぶりが注目を集めがちな「GALAXY S II」だが、サムスンは、UIの改善による使い勝手の向上にも余念がない。よく「海外端末はカスタマイズがほとんどされていない」という声も聞くが、少なくともGALAXY Sシリーズにそれは全く当てはまらない。むしろ、GALAXY S IIの徹底的に作り込まれたUIは、端末の個性にもなっている。

 例えば、“画面の移動”ひとつにも、さまざまな工夫が見て取れる。ホーム画面をピンチイン(2本指でつまむように操作する)すると、サムネールが現れる。ここから、移動したい画面を選べば、1枚1枚画面をスクロールしていく必要がない。片手での操作も考慮されており、画面下の番号が書かれた部分を長押しすると素早く左右にスクロールできる。

サムネールから素早く目的の画面にアクセス可能 画面下をドラッグすると、片手で素早くホーム画面をスクロールできる

 

 アプリ一覧を表示した際にも、同じように操作できる。ホーム画面とアプリ一覧が共に横スクロールなこともあって、直感的に操れるはずだ。

アプリ一覧の画面でも、ピンチインでサムネールが表示される ドラッグ操作もアプリ一覧で利用できる

 

 プリインストールされているウィジェットにも、独自性がある。天気予報やメモ、ニュースなどのウィジェットは「ライブパネル」と呼ばれ、サイズをある程度自由に変更可能だ。Androidのウィジェットはサイズが決まっており(アプリによっては複数サイズが用意されている)、空きスペースを作るのが難しいという欠点があったが、ライブパネルの仕様なら、とりあず設置してから大きさを調節できる。ウィジェット選択時にアイコンが横一列に並ぶため少々操作しづらかったり、搭載されているウィジェットの一部がなぜかグローバル版のままだったりといった欠点はあるものの、カスタマイズの自由度は高い。ウィジェットのサイズ変更というアイディアはタブレット向けOSのAndroid 3.1で実装されたが、サムスンがスマートフォン向けに先取りして搭載した格好だ。

サイズを自由に変えてホーム画面に貼っておける「ミニペーパー」 グラフィックが美しい「AccuWeather.com」

 

 充実しているのは、ウィジェットだけではない。様々なスマートフォンを使ってきて思うことだが、GALAXY SシリーズはAndroid端末の中でも特に内蔵アプリが多い部類に入る。タスクマネージャー、ボイスレコーダー、画像編集ソフト、メモ帳、ファイラーなどなど、標準のAndroidに足りない機能がしっかりメーカーの手によって補われている。しかも1つ1つの使い勝手が悪くない。これなら、買ってすぐに使い始めることができそうだ。Androidが初めてのユーザーにも、親しみやすいだろう。Androidマーケットでダウンロードすれば十分という人もいるが、やはり基本的なアプリは最初から入っていた方がいい。端末との相性もあって実用的かどうかを検証するのは意外と時間がかかる。そのプロセスを楽しむのがAndroidの醍醐味とも言えるが、もっと発展性のあるカスタマイズに時間を費やしたいところだ。

「ボイスレコーダー」は音質もなかなか 起動中のアプリやRAMの残量が分かる「タスクマネージャー」
「マイファイル」と呼ばれる簡易ファイラー

 

 ただし、日本のケータイではおなじみのQRコード読み取りアプリなどは、内蔵されていない。先に挙げた英語そのままのニュースウィジェットも、使いどころがイマイチ分からない。地域ごとのローカライズに注力しているサムスンだが、日本のユーザーにとっての“不自然さ”をなくすためには、もう一歩踏み込んだカスタマイズを行う必要があるだろう。

 

映像の迫力は満点だがボディのサイズは評価が分かれる

 サブピクセルを50%増やし文字の精細感を高めた「スーパーAMOLEDプラス」も、GALAXY S IIの売りと言えるだろう。確かに先代のGALAXY Sより文字のジャギーが少なくなり、Webサイトなどが見やすくなった。発色の良さも上がっている。ただし色彩はやや独特で、クセがある。人によっては、鮮やかするぎると感じるかもしれない。筆者も同意見だ。このような印象を持っているのは、「モバイルブラビアエンジン」を搭載して自然な色味を追求した「Xperia arc」の後に、GALAXY S IIを使い始めたからという事情もある。どちらを美しいと感じるかは人それぞれだが、一般的には、GALAXY S IIのディスプレイは色を派手に表現していると言えるだろう。一方、有機ELは明るい場所での視認性が落ちるというのが定説だが、GALAXY S IIのディスプレイに関しては、そこまで気にならなかった。もちろん、見づらくなることは確かだが、操作などは十分行える。こうした液晶と有機ELの違いは、店頭の実機でしっかり確認しておいた方がよさそうだ。

明るさを最大にすると、まぶしいほど。発色も派手だ

 

 このディスプレイは4.3インチで、夏モデルの中ではトップクラスのサイズを誇る。映像の迫力は、抜群だ。わずか0.3インチの違いだが、GALAXY S IIの後に見ると4インチジャストの端末が小さいと感じてしまう。ディスプレイが大きくなったことで、文字入力時のキーの面積も増し、タッチしやすくなった。持ち前のサクサク感も相まって、入力は、今まで使ってきたほかの端末よりスムーズだ。厳密な数値を出して検証したわけではないが、入力ミスも減ったような気がする。

ディスプレイが大きいため、必然的にキーの面積も広くなる

 

 ただ、トレードオフとして、本体の幅が広くなった。端末のサイズは、126×66×8.9mm(高×幅×厚)。持ちやすさに影響する横幅が、66mmと先代のGALAXY Sより2mm増している。高さも4mmほどアップした。こうしたサイズアップに加え、形状もスクウェアに近くなったため、筆者の場合、片手で上手く操作できないことがある。端末上部に配置したアイコンのタップや、通知を引き出す操作も、両手を使わないと安定しない。先に述べたように、UIをカスタマイズすることで、片手での操作性を追求してはいるが、手の小さな人だと扱いづらいのかもしれない。

 

電池の持ちや、カメラのクオリティは?

 GALAXY S IIは、1650mAhと大容量の電池を搭載している。Androidスマートフォンは頻繁に自動通信することもあり、電池の持ちが総じてあまりよくないが、これだけの容量があれば工夫次第で丸1日使える。Wi-FiやGPSなどの通信機能を状況に応じてオフにしたり、ディスプレイの輝度を下げたりしているが、電池切れで困ったことは今のところない。電池の容量が大きいだけでなく、低消費電力な有機ELも連続駆動時間に効いているようだ。また、同じ負荷をかけた場合、デュアルコアCPUの方が消費電力が少ない。これも、電池の持ちをよくしている原因だろう。とは言え、動画をずっと再生したり、Flashが使われているページを何回も見ていたりすれば、当然電池はどんどん減っていく。すぐに充電できない外出先などでは、ある程度使い方に気をつける必要はある。

電池の容量は夏モデル最高の1650mAh

 

 先代のGALAXY Sが弱かったカメラ機能も強化されている。裏面照射型センサーを搭載したスマートフォンに比べると、暗所でのノイズは目立つが、被写体を捉えることはできる。フラッシュも搭載されたため、光量が足りない時はオンにすればよい。インカメラで自分撮りをする楽しみもある。また、動画は1080pのHD画質で撮影可能だ。これも処理性能が高いデュアルコアCPUのお陰だろう。HDMI出力がオプション対応なのは残念なところだが、使わない人がいることも考えると、妥当なのかもしれない。

ちょっと暗めの室内でも、十分美しい写真が撮れる 動画は1080pのサイズにまで対応した
真っ暗な場所ではさすがにノイズが目立つが、フラッシュが搭載されたお陰で、それなりのクオリティで撮影できる

 

 ここまで見てきたように、GALAXY S IIは基本性能が非常に高いスマートフォンだ。処理がとにかく高速で、一度体験するとシングルコアでは不満を感じてしまう。おサイフケータイや赤外線には対応していないが、グローバル端末ながら日本独自のワンセグを搭載してきた点は高く評価したい。先代に続き、着信拒否に対応しているのも面白い。その上で、UIや内蔵アプリなどには一工夫があり、あまり迷うことなく操作できる。グローバル端末というと、過去のイメージもあってユーザーを選ぶ印象を持つ人もいるかもしれないが、GALAXY S IIの受け皿は非常に広い。とにかくスペックを追求する人から、これからスマートフォンデビューを飾る人まで、幅広い層のニーズを満たす1台と言えるだろう。

ワンセグは録画にも対応 着信拒否機能も搭載している

 




(石野 純也)

2011/7/7 20:45