レビュー

ドコモ最新4機種の実力検証

【GPS対決編】高い精度で測位できるのはどれ?

 前回のカメラ対決編では、好みにも左右されるとはいえ、「GALAXY S4 SC-04E」の画質が比較的優位と思われる結果となった。ここまでを通して見ると、“ツートップ”と“トップ下”でそれぞれに一長一短ある、ということがわかってきたような気がする。

最新4機種でGPS対決

 さて、第4弾の今回は、GPSの精度をテーマにしたいと思う。ナビに使うのはもちろんのこと、アウトドアにおけるさまざまなアクティビティの軌跡をログとして残したい時にも活躍するのがこのGPSだ。精度が低いと、場合によっては道に迷ってしまったり、せっかくのアウトドアの遊びがつまらなくなる、なんてこともあるかもしれない。

 スマートフォンの中では加速度センサーと並んでよく使われる機能の1つであり、重要度も高いと思われるこのGPSを、さっそくヘビーに使って検証してみたい。

 これまで同様、対象となるモデルは、ツートップの「Xperia A SO-04E」「GALAXY S4 SC-04E」に、「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」「ARROWS NX F-06E」を加えた4機種だ。

「GPSドローイング」をしてみよう

 ところで、「GPSドローイング」というジャンルが存在するらしいのである。しかも、それを手がけるプロ(?)みたいな人もいるのだとか。歩いたりしながらGPS機器で位置情報を記録し、そのルートを線で結ぶと図形になるのを応用して、地図上に絵や文字を浮かび上がらせるというものだ。

 これはGPSの精度の確認にはちょうどいいのではないか、と考えた。街中でチェックすれば、高いビルの狭間や住宅街、視界の開けた場所などでどのように精度が変わるのかもある程度わかりそうだし、なによりオリジナルの図形を地球上に刻んでみたい。

 問題は筆者がGPSドローイングの“プロ”ではないことだ。プロがどのようなノウハウやテクニックを用いてドローイングしているのかはわからない。とにかくGoogle マップとひたすらにらめっこしながら、どんな図形が書けそうかを考える日々……。

こんな感じで壮大なスマートフォンでも描きたいところだが、碁盤の目状の市街地にでもなっていない限り、実際にはこんなルート設定は不可能なのだ

 そんなわけで、頭の中で妄想するのと、地図上にルートを設定していく作業に2日以上かかってしまった。距離が40km近くなりそうだったのと、さすがに4台ものスマートフォンを持って街中をうろうろ歩くのは厳しく感じたため、やはり今回も自転車を利用することに。当日の都内の気温は35度に達するという予報で、いずれにしても体力勝負であることは間違いない……。

 第1弾のバッテリー対決時と同様、4台のスマートフォンは自転車のハンドル部にマウントを使って固定。4台すべてにGPSログ生成用のアプリとして「山旅ロガ―GOLD」と、ログが生成されていることを簡易チェックするための「地図ロイド」をインストールした。また、「山旅ロガ―GOLD」の測定モードは“自転車”に、測定間隔は“最短”とした。“A-GPS自動更新”の設定は“毎回更新する”としている。

測定モードは“自転車”、測定間隔は“最短”
“A-GPS自動更新”の設定は“毎回更新する”に

炎天下の都内を疾走する

 スタート地点は都内、多くの人やクルマが行き交う靖国通りと明治通りがぶつかる新宿5丁目交差点である。時刻は11時18分。またしても中途半端な時刻になってしまったが、決して寝坊したからではない。同時に使おうと思っていた車載カメラの充電に失敗し、朝にもう一度充電をやり直したためである。きっかり朝7時には起きていたから、寝坊ではないはずだ。

【11時18分】

 何もしなくてもじゃんじゃん汗が湧き出てくるほどの暑さの中、新宿5丁目交差点から出発。歌舞伎町付近を行ったり来たりしながら、あらかじめ決めておいた通りの図形を描いていく。

 比較対象の4台とは別に、もう1台のスマートフォンを使って前日に決めたルートをGoogle マップで確認しながら走行した。

 自転車用のマウントは4つしかないため、曲がり角に来たらいちいち立ち止まって画面を確認するという手順をとるしかなく、非効率極まりない。

【12時01分】

 40分ほどかけて全体の5分の1ほどの行程を完了。再びスタート地点の場所に戻ってきた。

【12時26分】

 新宿二丁目。お昼時ということもあり、猛烈な暑さだというのにスーツを着て歩く大勢のビジネスマンやOLの姿が目につく。筆者もお腹がすいてきたが、スマートフォンのバッテリーを切らせてしまうと元も子もないので、コンビニや自販機でドリンクを購入し、水分補給のみで先を急ぐ。

 閑静な住宅街。この先には慶應義塾大学病院がある。

【12時40分】

 スタートから1時間半ほどでJR信濃町駅に到達。ここまでが全行程のだいたい3分の1ほどになる。

 道なき道、というほどではないが、ルートには道路とは言えないところも。

【13時14分】

 13時を回ってそろそろ本格的に空腹を感じ始めたが、それでもガマンである。

 四ッ谷と赤坂の間にある迎賓館。ようやく半分くらいの行程を消化できただろうか。

【14時04分】

 ここはImpress Watchが入居するビルの裏手。狭く急な階段を昇らなければならない。

 14時半頃、JR市ヶ谷駅の近くを通過。

【14時41分】

 神楽坂の商店街。お祭りが近いようだ。ところが、ここで車載カメラのバッテリーが切れてしまう。全行程をタイムラプス映像で残そうと考えていたので、残念無念。しかし、拡張バッテリーを使うと3時間半くらいもつ、ということがわかっただけでも収穫だ。今後長時間撮影するときは複数台体制で臨むべきだろう。そんな財力はないが。

【15時18分】

 ここまでくると、ゴールまでもう少し。

 スロープのない歩道橋を自転車を抱えてクリアする。

 靖国神社のど真ん中を通過。「みたままつり」が7月13日から16日に開催されるとのこと。

【15時39分】

 ゴール地点、Impress Watchの編集部が入居しているビル前に到着した。時刻は15時39分。スタートから4時間21分、走行距離はおよそ37kmほどになった。そして、最終的にどんな図形ができあがったかというと……。

各機種のGPSドローイングの結果

Xperia A
GALAXY S4
ARROWS NX
AQUOS PHONE ZETA

 「Watch」である。きれいな形ではないけれど、まぎれもなくWatchになっている……はず。本当は「ケータイ Watch」のロゴを描きたかったのだが、カタカナは想像以上に難しかったのでアルファベットのみに。

約3時間半を2分余りで振り返る、神楽坂で中断したタイムラプス映像を大公開!

AQUOS PHONE ZETAが比較的安定か

 では、細かいところを見ながら4機種それぞれのGPSの精度をチェックしてみよう。

白色:実際の走行ライン
橙色:Xperia A SO-04E
水色:GALAXY S4 SC-04E
緑色:ARROWS NX F-06E
赤色:AQUOS PHONE ZETA SH-06E

 4機種のログと実際に走行したラインとを比べると、各機種ともそれなりにバラつきが出ていることがわかる。位置情報を取得するタイミングが各機種でどうしても変わってきてしまうため、曲がり角では自転車を数秒間一時停止するなど、地図上でショートカットしている風に見えないよう注意を払ってはいたものの、結果的にはそれほど意味はなかったかもしれない。

 「W」の文字は高層ビル群が建ち並ぶ狭い道を通ったこともあってか、誤差は大きめ。中でもGALAXY S4(水色)はやや大げさに蛇行したラインを描いているように見える。この場面では、AQUOS PHONE ZETA(赤色)が平均的にはしっかり捕捉できているだろうか。

 ただ、この写真の場所では、左に曲がるべきところをわずかに行きすぎて右ターンで戻ったのだが、GALAXY S4(水色)はターンの大きさはともかく、きちんと右回りで戻っていることがわかり、細かな動きの区別はできているように思えるところもいくつかある。

 2階から3階程度の高さの建物が並ぶ住宅街では、狭い道路であっても、4機種ともかなり高い精度で記録できている。高層ビルがあるようなところでなければ、しっかり衛星をキャッチできているようだ。

 このように建物が近くにないような場所ではさらに精度は向上し、4機種すべてのラインが重なるほど。街路樹がGPSに与える影響はわずかと考えてよさそうだ。

 ただし、高速道路の高架下などではご覧のように乱れが出始める。Xperia A(橙色)やGALAXY S4(水色)がやや影響を受けやすいように見え、その一方でAQUOS PHONE ZETA(赤色)は実際の走行ライン(白色)に近い安定した線を描いていることが多い印象をもった。

 Impress Watchが入居しているビルの裏手にあった急な階段付近。住宅街とはいえ高い建物が多く、壁も高かったことから、精度は低くなりがち。しかし、ARROWS NX(緑色)とAQUOS PHONE ZETA(赤色)はそこまで大きなズレはできていないように見える。

衛星を捕捉しにくい場所での測位がGALAXY S4の弱点?

 ドコモの最新4機種のGPS精度について言えば、全体的に見ればどの端末も取り立てて大きな差はなく、優劣付けがたいレベルになっていると思う。順位を付けるのは難しいところだが、あえて、今回の検証の範囲内でシチュエーションごとに分けて考えた場合には、以下のような結果になるだろう。端末の向き、マウントの仕方、測位のタイミングなどによって結果は異なる可能性もある。あくまでも参考程度に止めていただければ幸いだ。

GPS精度比較リザルト

機種面 高架下 ビル街 住宅街 広場
AQUOS PHONE ZETA SH-06E
Xperia A SO-04E
ARROWS NX F-06E
GALAXY S4 SC-04E

 さらに、念のためGPS初回起動時の位置取得にかかる時間も計測してみた。「山旅ロガ―GOLD」の「測定開始」ボタンを押してからトラッキング開始までの時間をストップウォッチで3回計測し、平均時間を算出。計測前には端末を必ず再起動している。GPSの捕捉しにくい屋内と、捕捉しやすい屋外でそれぞれ計測した。

GPS位置取得時間リザルト(単位:秒)

機種名 屋内 屋外
AQUOS PHONE ZETA SH-06E 18.4 13.7
ARROWS NX F-06E 21.0 13.4
Xperia A SO-04E 26.3 12.4
GALAXY S4 SC-04E 70.3 12.9

 GPSを捕捉しやすい屋外ではどの機種もほとんど変わらず高速にトラッキングを始められるが、捕捉しにくい屋内においては、誤差とは言えない差がGALAXY S4に表れている。早くても40秒台、場合によっては2分以上かかることもあり、このあたりの性能が、もしかすると高架下やビル街での精度に影響を与えている可能性があるのではないだろうか。

 ただ、“アウトドアで楽しむ”用途であれば、GPSはもちろんのこと、豊富なセンサーを使えるかどうかも魅力の一つとなる。かばうわけではないが、たとえばGALAXY S4は温度・湿度計や気圧計を備えており、高度や天候を気にしておきたい登山や釣りなどに役立てる、ということも考えられるだろう。前回のカメラ対決編でも書いたように、各所の性能はしっかり把握しながらも、やはり全体の機能として自分の用途に合っているかどうか見定めることが、端末選びの重要なポイントとなるはずだ。

(日沼諭史)