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損しないためのケータイ料金再入門

第15回:LTE用プランで上がる通話料の傾向と対策

 LTEのサービス開始に伴い、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの大手3社は料金プランまでガラッと変えてしまった。中でも変化が大きかったのは、ドコモとau。この2社は、3Gサービスで採用していた“基本使用料を複数のプランから選択する仕組み”をやめ、通話料も30秒21円に固定化した。ドコモであれば「タイプXi」(2年契約の場合はタイプXiにねん)、auであれば「LTEプラン」がそれに当たる。基本使用料に含まれる無料通話という概念もなくなった。

 対するソフトバンクは3G端末が一般的だったころから「ホワイトプラン」が主力で、LTEでも同じ仕組みを継続している(無料通話つきの「ブループラン」や「オレンジプラン」はあったが)。変化はなかったが、元々選択肢も少なかったというわけだ。逆の見方をすれば、LTEに合わせてドコモやauが「ソフトバンク方式」を採用したとも言えるだろう。30秒あたりの通話料を下げたい場合は、オプションを利用する仕組みだ。auには「通話ワイド24」、ソフトバンクには「ダブルホワイト」があり、どちらも月額980円で通話料は30秒10.5円になる。ドコモは同様のオプションを用意していない。

LTE用プランで、通話料がいくら高くなるのかを把握しよう

 こうした料金プランの刷新によって、確かに以前のような複雑さはなくなった。自分の通話量を把握して最適なプランを選ぶというのは、手間や時間がかかり、ケータイの料金が難解に見えてしまう原因の1つになっていた。一方で、利用量にピッタリ合ったプランなら、たくさん通話しても料金を安く抑えることができる。これは、電話のヘビーユーザーにとっての大きなメリットだ。あらかじめ金額の高い基本使用料を払えば通話料が安くなるというのは、まとめて購入してコストを下げるボリュームディスカウントに似た概念とも言える。LTEのプランからはこれがなくなってしまった。結果として、通話の多いヘビーユーザーは、料金が上がる可能性が高くなったというわけだ。

 以下の表を見てほしい。これは、ドコモの3G用プランとLTE用プランを、基本料と通話料をあわせた形にして比較したものだ。3G用プランに含まれる無料通話分、きっちり通話したと仮定し、その通話時間をLTE用プランの通話料で計算すると、いくらになるのかを計算した上で、「タイプXiにねん」の基本使用料780円を合算した。つまり“LTEで、もし3Gのときと同じ時間を通話したら”という料金だ。

 LTE用プランには、ドコモ同士の通話が24時間無料になる「Xiカケ・ホーダイ」も用意されているが、変数が多くなるため、ここではいったん除外している。また、3G用の料金プランはバリュープランで「ファミ割MAX50」などの割引もすべて適用した状態にしてある。

3Gでのプラン名 3G LTE 値上がり額
タイプSS バリュー 980円 1830円 850円
タイプS バリュー 1575円 3090円 1515円
タイプM バリュー 2625円 6744円 4119円
タイプL バリュー 4200円 13380円 9180円
タイプLL バリュー 6825円 31566円 24741円

 ドコモのLTE用プランには月3GBまでのパケット定額サービス「Xiパケ・ホーダイ ライト」があり、3G向けの「パケ・ホーダイ フラット」より525円安くなるが、通話のヘビーユーザーにとっては、それを相殺して余りある値上げになってしまう。金銭感覚によって受け取り方は異なるかもしれないが、「タイプM バリュー」以上を利用しているユーザーがLTE用プランに移行するのは難しいのではないか。個人的には通信方式が違うので料金が4000円から2万円上がると言われても、まったく納得できない。そもそもLTE端末でも通話には3Gを使っているわけで、値上げの根拠も分からない。

 これは、ドコモだけでなく、似た料金体系を採用しているauでも同じことが言える。ただしauには、先に挙げたように30秒あたりの通話料を半額にする「通話ワイド24」がある。このオプションを適用した形で、3GとLTEそれぞれの通話料を比較してみたのが以下の表だ。条件をそろえるため、ドコモの比較と同様、通話時間は無料通話にピッタリ収まる形にして、割引もすべて適用した。なお、比較からは無料通話がない「プランEシンプル」「プランF(IS)シンプル」や、無料通話が国際通話のみに適用される「プランWシンプル」は除外してある。また、LTEプランではau同士の通話が1時から21時まで無料になるが、詳細は後述するためここでは計算から省いた。

3Gでのプラン名 3G LTE(通話ワイド24) 値上がり額
プランSS シンプル 980円 2485円 1505円
プランS シンプル 1627円 3262円 1635円
プランM シンプル 2625円 4948円 2323円
プランL シンプル 4147円 7462円 3315円
プランLL シンプル 7035円 18760円 11725円

 値上げ幅は小さくなるが、それでもやはり基本使用料の高いプラン(無料通話分の多いプラン)を使っていた場合、毎月の料金が上がることに変わりはない。通話の量が多かったユーザーにとっては、手痛い値上げと言えるだろう。

 これらの比較から得られる結論は、通話の量が多ければ多いほど、LTEプランに移行した際の料金が高くなるということだ。各社とも基本使用料の安い「タイプSS(プランSS」や「タイプS(プランSS)」のユーザーが圧倒的に多く、大幅な値上げになるユーザーの比率は少ないとはいえ、全体の契約者数を考えると少数派として切り捨てられる数ではない。主力のモデルがほぼすべてがLTE対応になった今、通話量の多いユーザーに対しての救済策がないのはいただけない。

通話料が高いときの対策は?

 どうしてもLTE端末へ機種変更しなければならず、プランの変更を余儀なくされた場合は、ユーザー側で対策をする必要がある。まず考えられるのは、キャリア内の通話が無料になるオプションを使うことだ。ドコモには、月700円でドコモ同士の通話が24時間無料になる「Xiカケ・ホーダイ」がある。このオプションを契約すれば、発信先の相手がドコモであればあるほど、通話料は安くなる。ドコモはシェアも大きいため、ランダムに電話したときの効果が高い。

 auとソフトバンクは、LTE用プランに、1時から21時までのキャリア内通話無料をつけている。その点で、先に挙げた表より実際にはもう少し料金が安くなる可能性は高い。これを24時間に延長するのが、auの「au通話定額24」とソフトバンクの「24時間通話定額オプション」だ。どちらもオプション料金は500円。これらのオプションは、夜間の電話が多いかどうかで利用を決めればよい。auやソフトバンクの場合も原理的には同じで、同一キャリア内での通話を増やせば料金が安くなる。

名称 Xiカケ・ホーダイ au通話定額24 24時間通話定額オプション
料金 700円 500円 500円

 ただ、通話する相手のキャリアまで都合よく変えることはできない。頻繁に電話する相手が他キャリアを使っているということも、十分考えられる。また、仕事で個人契約の端末を使っているようなケースでは、固定電話への発信が多くなるだろう。このようなときは、思い切って2台持ちにするのが手だ。ウィルコムの「だれとでも定額」や、イー・モバイルの「通話定額オプション」を使い、メインの回線は待ち受けに徹するという節約術も効果的だ。イー・モバイルならMNPも受け付けているため、エリアや端末が許容できれば回線を1本化してもいい。

ウィルコムの「だれとでも定額」は980円。ほかに基本使用料の「新ウィルコム定額プランS」が1450円かかる。ただし、写真の「だれとでも定額パス」なら基本使用料は490円と割安だ
「050 plus」を初めとするIP電話サービスは、電話番号を利用できるのが大きなメリット。固定電話や他キャリア向けの発信に役立つ

 このほか、通話をIP電話アプリで行うという対策もある。たとえば、NTTコミュニケーションズの「050 plus」は、ケータイに発信した際の通話料が1分16.8円に設定されている。課金単位は異なるが、1分換算ではLTE用プランの半額以下だ。基本使用料も315円と、それほど高くない。気心の知れた友達とは、LINEやカカオトークのようなメッセージアプリで通話するという手も考えられる。

 通話の多いユーザーでも、これらを組み合わせれば通話料の節約は可能だ。そうは言っても、料金の高さでキャリアの原点である通話というサービスを気軽に使えないのは、本末転倒な印象を受ける。ほかのサービスにユーザーが流れるより割安な料金プランの選択肢を増やした方が、結果的にはキャリアにとってもプラスになるのではないか。そう思うのは、筆者だけではないはずだ。

(石野 純也)