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スマホ料金節約術

スマホ料金節約術

格安通話サービス「G-Call」「楽天でんわ」を比較

 2013年1月に「G-Call」がスマートフォンアプリを提供したことをきっかけとして、“従来の半額”を謳う格安の通話サービスが注目を集めている。2013年12月5日にはフュージョン・コミュニケーションズが「楽天でんわ」を発表し、キャリアのプランから“無料通話分”が無くなったスマートフォン時代の新たな選択肢として活気づいている。

 「G-Call」や「楽天でんわ」が注目を集める背景には、フィーチャーフォンからスマートフォンに移行したものの、料金プランに無料通話分がなく、通話にかかるコストが高止まりしているといった、通話を重視するユーザーの不満がある。ドコモならドコモ宛だけ、auならau宛だけといったように、自社網の通話料を一部の時間帯で無料にするキャリアの施策はあるが、通話を重視するユーザーにとって、固定電話を含め、追加の基本料無しで通話料を下げられるメリットは小さくない。

 以下では、「G-Call」と「楽天でんわ」について、主要な項目をまとめてみた。

G-Call楽天でんわ
事前申込必要
(利用は翌営業日から可) ※
必要
(即時利用可)
基本料無料無料
通話料10円/30秒10.5円/30秒
国際電話アメリカ本土 29円/分など
(6秒単位の課金)
非対応
(対応予定)
非課税課税
支払方法クレジットカードクレジットカード
(キャリア決済対応予定)
発信者番号通知 携帯宛対応対応
発信者番号通知 固定宛NTT固定宛のみ非対応対応
電話番号登録数無制限5つまで
ポイント還元G-Callの紹介で、紹介元・紹介先ともに通話料250円分をポイントで付与など通話料100円の支払いにつき楽天スーパーポイント1ポイント付与

※金曜午後以降の申込は月曜午前の扱いになる

 「G-Call」「楽天でんわ」の2つのサービスに共通するのは、回線交換の通話サービスという点。キャリアが構築した既存の回線交換の通話網を利用し、指定のプレフィックス番号を追加し発信した場合のみ、格安の通話が可能な自社網を経由する形だ。このため、通話エリアを含めた通話品質については、基本的にキャリアが提供している通話サービスと同等になる。また、固定宛や携帯宛など宛先の回線種別に関係なく一律の料金だ。

 その仕組上、電話番号が新たに発番されるわけではなく、すでに利用している電話番号をそのまま使うため、サブアカウントや使い捨てのように使うのではなく、本来の電話番号での利用を代替するものとして位置付けるのが自然な使い方だろう。

 スマートフォンアプリは、「G-Call」「楽天でんわ」ともに提供されている。どちらのアプリもアドレス帳と連携でき、発信時にはそれぞれのサービスに必要なプレフィックス番号が自動的に付加されるため、比較的簡単に利用できる。

「G-Call」
「楽天でんわ」

 なお、「G-Call」「楽天でんわ」はどちらもフィーチャーフォンでの利用にも対応している。プレフィックス番号を手動で追加するなどの違いはあるが、登録した電話番号からの発信であれば、フィーチャーフォン、スマートフォンを問わず利用できる。

 上記の電話番号登録数とは、1つのクレジットカードへの請求に対し登録できる電話番号のことで、例えば、5人家族全員の携帯電話の通話料を、1つのクレジットカードで支払うといった場合に関係する。

国際電話、課税、ポイント還元に違い

 両サービスを比較すると、「G-Call」は国際電話に対応する一方、NTTの固定電話への発信者番号通知は対応していない。「楽天でんわ」は国際電話に今後対応予定としているが、料金体系は現在不明。

 課税も両サービスで異なり、「G-Call」は非課税で提供されるのに対し、「楽天でんわ」は消費税込みで10.5円/30秒となっており、今後増税分だけ値上がりする可能性がある。

 また、ポイントを活用した還元施策も異なる形で提供されている。「楽天でんわ」には、100円の支払いごとに楽天スーパーポイントが1ポイント(楽天カードなら2ポイント)付与されるポイント還元の施策がある。一方のG-Callでは、他のユーザーにG-Callを紹介すると、紹介者・被紹介者それぞれに250ポイントが付与される紹介制度が用意されており、ためたポイントを1ポイント1円換算でG-Callの通話料などに充てられる。また、被紹介者のG-Call国際通話料の1%が紹介者にポイントとして付与される。

留意すべき点は

 キャリアの無料通話サービスなどの対象に指定した番号にかける際は、注意が必要。「G-Call」や「楽天でんわ」で使うプレフィックス番号を追加すると、無料通話などのキャリアの割引サービスの対象外になるからだ。「G-Call」「楽天でんわ」のアプリには、必要に応じてプレフィックス番号を付加せず発信できる機能が用意されている。

 同様に注意点として挙げられるのは、携帯電話を解約した場合。「G-Call」や「楽天でんわ」に登録した電話番号は、合わせて削除しておく必要がある。

特徴をつかまえ、使い分けを

 通話サービスは、技術の進歩やスマートフォンの普及などに合わせて、さまざまなものが提供されている。「050 plus」をはじめとする050番号で利用するIP電話サービスのほか、「LINE」「Skype」など、無料通話やビデオ通話が可能なサービスは多い。

 上記で触れてきたように、「G-Call」や「楽天でんわ」は、既存の電話番号と、既存のキャリアの回線交換の通話網を使うという点で、パケット通信網を使う多くのサービスとは異なり、ある意味では旧来の方式といえるが、サービスの“維持費が0円”という意味では利用しやすいと感じられる。ユーザー自身が通話サービスに求める内容を見極めて、賢く使い分けていきたいところだ。

太田 亮三