レビュー

SIM+最新シャープ端末のセット「mineo」の衝撃

LTEオンリーでも安定感、CAとWiMAX 2+対応のMVNO端末を試す

 通信速度とデータ容量の上限を抑え、低価格を実現した、いわゆる“格安SIM”をウリにしたMVNOのサービスが増えている中、ケイ・オプティコムがスタートした「mineo」は、リーズナブルな料金設定ながら高速ネットワークのau 4G LTEを採用したサービスとして注目を集めている。

最新端末を採用した「mineo」の動きは他のMVNOに影響を与える!?

 その「mineo」は7月24日、より大きなデータ容量と、シャープ製の最新端末「AQUOS SERIE SHL25」をセットにした新たなプランを発表し、8月5日に提供を開始した。

 高速通信ながら安価なのは大きな魅力ではあるが、反面、「mineo」のデータ通信が3Gに対応していない点については、不安を抱いている人もいるのではないだろうか。いくら通信速度が速くても、大事な場面で使えなければ意味がない。本当にLTE通信のみの対応で、“普段使い”ができるのか、「mineo」の実際の使い勝手を確かめてみた。

“周回遅れ感”を払拭する最新端末をセット

 改めて「mineo」のプランをざっくり解説すると、従来はデータ容量1GBのSIMカードのみを提供するプラン、もしくは同SIMカード+京セラ製端末「DIGNO M」がセットになったプランが用意されていた。8月から新たに追加になったプランでは、SIMカードのデータ通信量に月間2GBと3GBのメニューが増え、さらに端末としてシャープ製「AQUOS SERIE SHL25」をセットにできるプランも登場した。

「mineo」のセット端末「AQUOS SERIE SHL25」

 SIMカードには、それぞれにデータ通信のみ対応の「シングルタイプ」と、3G(回線交換)による音声通話とSMSも利用できる「デュアルタイプ」が用意されている。価格は、最も安価なシングルタイプのSIMカード(1GB)が月額980円(税抜、以下同)、デュアルタイプのSIM(月間3GB)+AQUOS SERIEのセットという“フルスペック”のプランが月額6090円となっている。

 セットにする端末の有無、音声通話の有無、データ容量の違いで計18種類のプランをそろえているわけだが、自分の用途がはっきりしていれば容易に選べる、シンプルなバリエーション設定といえる。翌月までのデータ容量の繰り越しや、データ容量を使い切った場合に100MB単位で追加購入し速度制限を解除する“パケットチャージ”のような細かいオプションはいくつかあるものの、総じて理解しやすい内容だ。

 ちなみにこの「AQUOS SERIE SHL25」は、紛れもない最新のフラッグシップ端末。auから夏モデルとして6月に発売された同名の端末と仕様も全く同じだ。2.3GHzのクアッドコアチップセット、狭額縁のEDGESTデザインでフルHDのIGZO液晶、4K動画の撮影が可能なカメラ、大容量の3150mAhバッテリー、おサイフケータイ、手で持つとディスプレイがオンになるグリップマジックなど、充実の機能・性能を誇る端末となっている。

4K動画撮影が可能な高性能カメラとおサイフケータイも備える

 これまでのMVNO端末といえば、どこか“周回遅れ感”みたいなものがあったように思うが、「mineo」では「AQUOS SERIE SHL25」の登場で、そのイメージを完全に払拭したと言えるかもしれない。

仕事もオフも隅々までカバーするLTEエリア

 AQUOS SERIEのセットプランでは、au 4G LTEのエリアで通信できるのはもちろんのこと、端末がサポートすることもあり、下り最大150Mbpsの速度を実現するキャリアアグリゲーション(CA)に対応し、さらに下り最大110MbpsのWiMAX 2+にも対応する。つまり、データ通信において3Gネットワークが使えない以外は、現時点でauの回線における最速のネットワークをすべて利用できることになるのだ。

 au 4G LTEのエリアは、800MHz帯では2014年3月14日時点で実人口カバー率99%で、2.1GHz帯も6月14日時点で90%に達している。一方でWiMAX 2+のエリアは東名阪地域および全国の主要都市に限られる。au 4G LTEのキャリアアグリゲーション対応は全国の都市圏のうちごく一部に止まるものの、au 4G LTEのエリアマップなどを見る限りは、人里離れた場所でなければ電波が届かないことはほぼないのでは、と思われる。

 が、果たして、普段の生活の中で「つながらなくて困る」ということがあるのか、確かめてみることにした。まず筆者のオフィスがある渋谷区初台1丁目は、ちょうどキャリアアグリゲーションに対応している地域。オフィスの中でも外でも、当然ながらLTEで通信でき、よく行くコンビニ付近ではキャリアアグリゲーションによる高速通信も行えたようだ。

オフィスの中で速度を計測
外に出て、近所のコンビニ前で計測

 合わせてau 4G LTE対応のiPhone 5(下り最大100Mbps)でも通信速度を計測してみたが、キャリアアグリゲーション、あるいはWiMAX 2+で通信できたと思われるAQUOS SERIEの方が、下りは実測で倍以上の値を示している。

mineoのAQUOS SERIEおよびauのiPhone 5の通信速度計測結果

 次に通勤に使う京王線の駅構内と車内で確認してみたが、いずれにおいてもLTE通信は可能だった。走行中ずっと画面を見ていると、一部の駅間のごくわずかな区間のみ電波が弱くなる瞬間もあったが、動画再生をし続けるような使い方でない限り、気になることはまずないだろう。

駅構内で計測。駅間のごくわずかな瞬間のみ電波が弱くなったが、実用上は問題ない

 調布市内にある自宅でも、特に問題なくLTEで通信できた。公開されている情報によると、自宅の1丁目隣の地域はキャリアアグリゲーション対応エリアになっているが、さすがに片方の電波は届いていないようだった。近いうちに自宅周辺も対応することに期待したいが、そもそも自宅ではWi-Fiに接続するのが基本になるため、キャリアアグリゲーション対応の必要性は自分にとっては薄い。

自宅では通常Wi-Fiを使うが、LTEの電波ももちろん問題なく届く

 休日は東京都町田市にある町田リス園に親子で出かけたのだが、辺りはほぼ山と言っていいような環境であるにもかかわらず、しっかりLTEで通信可能だった。また、別の日に、地図を表示させながら自転車で都内を走り回ってみたところでは、位置情報も地図データも滞りなく取得でき、快適にサイクリングできた。

郊外の山の上のような場所にある町田リス園でもLTEの電波が弱まることはない
自転車で走り回りながら地図表示させてもストレスはゼロ
位置情報取得時はGPSはもちろんのこと、Wi-Fiや基地局の電波も活用するので、地図データの読み込みと合わせ、スムーズにLTE通信できるかどうかは重要になる

通信、通話、スペック、料金のどれをとっても隙のない「mineo」

 結論としては、平日の仕事中も、移動中も、オフのお出かけでも、「つながらない」と感じたことは皆無。デュアルタイプであれば普通に通話もできるので、一般的なキャリアが販売するスマートフォンと違いを意識するような部分は全くない。

 シングルタイプを選んだとしても、ケイ・オプティコム自身が提供するIP電話サービス「LaLa Call」を利用すれば、基本料金無料で、しかも格安の通話料で電話できる。LTEの電波をここまで安定して拾えるのであれば、よほどのことがない限り通話をIP電話で済ますことも可能ではないかと思った。

 万が一の際の保証・サポートが受けられる「端末安心サポート」(月額370円)があるのも、目立たないながら重要なポイント。端末が故障してしまった場合に、修理と代替機の貸し出しまで対応してくれるのは、他の多くのMVNOにはないサービスだ。

 つながるうえに高速に通信でき、通話も可能で、端末のスペックも申し分ない。保証も充実している。もはや「mineo」を購入する時に気にかけなければいけないのは、データ容量の上限が自分の使い方に合っているかどうかだけ。毎月の通信にかかるコストはできるだけ抑えたいが、端末性能と対応エリアは妥協できないという人にとって、「mineo」はかなり有望な選択肢の1つになるのではないだろうか。

(日沼諭史)