レビュー

カシオ「EDIFICE EQB-500」ファーストインプレッション

アナログなのにBluetooth対応、ソーラー充電でずっと使える喜び

 G-SHOCKをはじめとする腕時計が人気のカシオ。スマートフォンメーカー各社がウェアラブルに注力し、腕時計型のデバイスを市場に投入する中、カシオが発表したのがEDIFICE(エディフィス)シリーズの新モデル「EQB-500」だ。

 今回は、発売を前に「EQB-500」をお借りし、ドイツで開催されている展示会「IFA」の取材にあわせ、海外で試用する機会を得たので、同モデルのファーストインプレッションをお届けする。

EDIFICE EQB-500

EQB-500の位置づけ

 ソニーやサムスン、LG、モトローラといったスマートフォンメーカーが、近年になって腕時計型のウェアラブル端末を発表・発売している。これらのデバイスは、AndroidやTizenといったスマートフォン用のプラットフォームを腕時計サイズに収めたもので、スマートフォンと連携して通話できるようになっていたり、カメラが付いていたりと、ありとあらゆる機能を貪欲に取り込んで行こうとしている。

 しかし、高機能になればなるほど電池のもちは悪くなり、毎日充電しないと電池がもたないというような状況になる。この部分は、これらのウェアラブル端末共通の課題だと言える。

 一方、こうしたスマートフォンメーカーとは異なり、携帯電話を作る前から腕時計を開発・製造してきたカシオは、あくまでも時計としてどうあるべきかを追求している。とりわけ、今回ご紹介する「EQB-500」からは、スマートフォンと同じことをできるようにするのではなく、単体でも魅力的で、スマートフォンと連携することで、もっと便利に使えるようにしようという意図が見てとれる。

カシオが2000年に発売した「リストオーディオプレーヤー WMP-1V」(左)と「リストカメラ WQV-1」(右)

 こう書くと、カシオというメーカーが新しいテクノロジーに対して消極的だと映るかもしれないが、そうではない。2012年3月にはBLE(Bluetooth Low Energy)対応のG-SHOCK「GB-6900」を発売。その後も電話やメールの着信を通知してくれるモデルや、スマートフォン側の音楽プレーヤーを操作できる機能を搭載したモデルなど、さまざまな製品を世に送り出してきた。

 その昔、2000年には、カメラ付きの腕時計「リストカメラ WQV-1」やMP3プレーヤー付きの腕時計「リストオーディオプレーヤー WMP-1V」、GPSレシーバー搭載の腕時計「サテライトナビ PRT-2GPJ」といった製品を次々と発売している。

 そうしたチャレンジを繰り返し、時には失敗から学びながら辿り着いたのが、「EQB-500」とも言える。

細かい設定はスマホにお任せ

EDIFICE EQB-500の文字盤

 前置きがかなり長くなってしまったが、ここからは実際の使用感についてご紹介しよう。

 まずはスマートフォンとのペアリングだ。iOSとAndroid用に「CASIO WATCH+」(CASIO+)というアプリが無償で用意されているので、こちらをインストールしておく。続いて、スマートフォンのBluetooth設定を有効にしてアプリを起動し、「EQB-500」を選んで「次へ」をタップする。アプリ上のガイダンスに従い、EQB-500の左下(8時の位置)のボタンを長押しする。ペアリングが完了すると、自動的に時計合わせが始まり、針が動いていく。今回はiPhoneを使用したので、EQB-500の時計がiPhoneと同期された。

 ちなみに、EQB-500がスマートフォンと接続されている時には、秒針が10時と11時の間にあるBluetoothマークを指している。接続を解除するには、左下のボタンを押せばいい。また、今後は不要になってしまうのかもしれないが、機内モードも用意されており、左上(10時の位置)のボタンを4秒間押すことでオン・オフできる。機内モードになると、右下のモード針が5時の位置にある機内モードマーク(飛行機のマーク)を指し示す。このあたりは、極めてデジタルな処理をアナログで表現していて面白い。

一番右にあるのが「CASIO WATCH+」のアイコン
ペアリングする時計を選ぶ
あとは画面のガイダンスに従って操作するだけ
「CASIO WATCH+」のメイン画面

説明書無しで簡単に設定できるアナログ時計

 実際にEQB-500を使ってみて感じるのは、どのボタンを押すと何が起きるのか取扱説明書をきちんと読まないと、全ての機能を使いこなせなかったアナログ時計が、スマートフォンと繋がることで簡単に使いこなせるようになるということだ。

左側面
右側面
ワールドタイムの設定

 分かりやすいのは、ワールドタイムの設定だ。いちいちりゅうずを回して設定しなくとも、アプリ上の地図で設定したい場所を選ぶだけで簡単に設定できてしまうのは嬉しい。地名を入力して検索することも可能だ。

【EDIFICE EQB-500 ワールドタイムの設定】
地名で検索することも可能
場所を選んだら「設定を時計に送る」をタップ

 さらに、メインの時刻とワールドタイムの時刻を入れ替える機能も用意されており、右上(2時の位置)のボタンを3秒間押すことで入れ替えられる。あらかじめ旅行先の時刻をワールドタイム側に設定しておき、飛行機の中で入れ替えるだけということで、海外出張が多いユーザーには便利な機能だ。

 意識的に時刻の入替を行わなくても、現地に着いてスマートフォンと接続すると、EQB-500のメインの時計がスマートフォン側の時計に自動的に同期される。スマートフォン側の時計が基地局と通信するなどして現地の時刻に同期されていれば、EQB-500も現地時間になる、という仕組みだ。

 今回、IFAの取材でドイツ・ベルリンを訪れているが、こうして簡単に現地時間に時計を合わせられれば、飛行機の乗り継ぎに失敗するなどのリスクも小さくなるだろう。とりわけ、サマータイムがある地域を訪れる際には、EQB-500が勝手に正確な時刻に合わせてくれるので、あれこれ考える必要も無く、ありがたい。

【EDIFICE EQB-500 時刻入替】
アラームの設定。時刻を決めて「設定を時計に送る」をタップするだけ

 アラームの設定も簡単だ。EQB-500本体でもボタンやりゅうずを駆使して設定することは可能だが、スマートフォンと接続すれば、アプリの画面上で時刻を決めてオン・オフを設定するだけで終了する。

 ややマニアックな話になるが、アナログ時計は強い磁力や衝撃などで、針が微妙にずれてしまうことがある。時計によっては、各種ボタンを駆使することで、この針のずれを修正することができるようになっているが、EQB-500の場合は、これをアプリ上で行える。このあたりの気遣いは、時計メーカーならではと言えるだろう。

ラップあたりの平均速度を計測できるストップウォッチ機能。スマートフォン側にログを出力することも可能だ
世界のサーキットの距離がプリセットされている。ちなみにメーターは300(キロ/マイル)まで切られている

新着メールのチェックも行える

 EQB-500では、新着メールの確認も行える。スマートフォンと接続された状態の場合は、右下(4時の位置)のボタンを押すことで、接続されていない場合は、左下のボタンを0.5秒押すことで、新着メールの有無が確認できる。新着メールがある場合は、右下のモード針が3時の位置にある2つの丸のうち、黄緑色の●を指し示す。新着メールが無い場合は○を指す。新着確認を複数回行った際には、最初だけ●を指すので、慌てて何度もボタンを押さないように気をつけよう。

【EDIFICE EQB-500 新着メール確認】

 なお、新着メールのチェックに登録できるアカウントは5つまでとなっており、スマートフォン側で通常使用するメールアプリの設定とは別に、CASIO WATCH+上で別途登録する必要がある。今のところ、登録できるアカウントは「@gmail.com」「@yahoo.com」「@yahoo.co.jp」「@icloud.com」「@aol.jp」「@aol.com」「@aim.com」「@i.softbank.jp」「@outlook.jp」「@outlook.com」の各ドメインのみとなっている。このあたりは今後の拡充に期待したい。

新着メール確認の設定。連絡先に登録されているアカウントだけを通知することも可能だ。

腕時計の基本を押さえた防水、ソーラー充電、デザイン

 最後に、防水や電池のもちについても触れておきたい。防水性能については10気圧防水。電池についてはタフソーラー(ソーラー充電)対応ということで、充電のことはほとんど気にかけずに済む。つまり、腕時計を身につける上で、我々が当たり前のように期待する性能を満たしているということだ。

 また、デザインについても、メタルな外観と黒く引き締まったアナログ文字盤で申し分ない。つり革につかまって、スーツの袖からチラリと見えても違和感を全く感じさせない大人の男のたたずまいだ。

 他社とは全く異なる価値観でスマートフォンと連携する腕時計を作ったカシオ。ちまたで話題のスマートウォッチに飛びついてみたけれど、何かちょっと違うと感じて使うのをやめてしまった方や、これから普通に腕時計を買おうとしている方にとって、「EQB-500」は次に購入する腕時計としてぜひ検討していただきたいモデルだ。

(湯野 康隆)