レビュー

スマホ顔負けの性能、魅力的な料金の「らくらくホン8 F-08F」

スマホ顔負けの性能、魅力的な料金の「らくらくホン8 F-08F」

フィーチャーフォンは想像以上に進化していた!

「らくらくホン8 F-08F」

 ドコモの「らくらくホン」シリーズといえば、初心者やシニアに向けた親切設計のケータイとして長く続いているモデル。操作方法はもちろんのこと、一般のケータイではわかりにくい機能でも、できるだけ簡単に、使いやすくする配慮が施されている。

 最近ではスマートフォン版の「らくらくスマートフォン」シリーズも加わっているが、スマートフォンとなるとどうしても気になってくるのが、タッチパネルを使った操作と、高く思えそうな料金。これを避けるためにフィーチャーフォンを選びたい人も少なくないはずだ。

 そんなフィーチャーフォンの中でも、最新の「らくらくホン8 F-08F」は初心者・シニア向けであるにもかかわらず、驚くほど高い性能と豊富な機能を取りそろえている。ここのところすっかりスマートフォンにしか目が向いていなかったユーザーでも、「あれ? これでいいかも」みたいな気持ちになるかもしれない。どんな魅力が詰まっているのか、さっそく紹介しよう。

コンパクトで大型背面液晶採用。防水・防塵も

 「らくらくホン8 F-08F」は、らくらくホンシリーズの最新モデルとなる折りたたみ型の携帯電話。音声・通信サービスには3G(FOMA)とGSM(海外)を利用でき、データ通信は最大受信速度7.2MbpsのFOMAハイスピードに対応している。

 折りたたみ型のフィーチャーフォンということで、サイズは高さ110×幅50×厚さ15.5mmと手にすっぽり収まるコンパクトさ。重量も121gと軽く、それでいて連続待受時間は3G時で約520時間と、スペック上は最新スマートフォンに匹敵するバッテリー持続時間を誇る。負荷の高い処理が求められないフィーチャーフォンであることを考えると、実質的にはスマートフォンよりも充電する回数はずっと少ないと思われる。

折りたたみ型で収まりのよいコンパクトサイズ

 メインディスプレイは約3インチ(480×800ドット)のTFTカラー液晶。背面にも約2インチの大きなカラーサブディスプレイ(240×320ドット)を備え、着信通知や時計・壁紙・画像などをくっきり表示できるようになっている。ワンセグの視聴も可能だ。

時計、壁紙のほか、カレンダーや歩数なども表示できるサブディスプレイ

 本体はIPX5/8、IP5Xの防水・防塵に対応。水場での使用も安心だが、以上はフィーチャーフォンなら順当な機能・性能と言えなくもない。「これが本当にらくらくホン?」と思える部分は、この先にある。

最新スマホに匹敵するカメラ性能+α

 まずらくらくホン8が搭載するカメラ。画素数は810万画素とまずまずだが、カメラ性能が画素数の多さに直結するわけではないことはご存じの通り。今やレンズとセンサーが捉えた映像をいかに適切に処理できるかが重要になってきている。らくらくホン8では、その画像処理部分に最新スマートフォンでも採用している富士通独自の「GRANVU(グランビュー)」を搭載。暗い場所でも少ないノイズで美しく撮れるようになっている。

 このGRANVUを活かしたブレ抑制機能もある。手ブレ補正、被写体動き検知、最大ISO12800相当の高感度撮影対応という「トリプルブレ防止」機能で、端末を持つ手が動いても、被写体が動いても、それに合わせた適切な画像処理に加え、シャッタースピードとISO感度の調整によって、ブレの少ない明るい写真を撮ることが可能だ。

有効800万画素のカメラには、独自の画像処理エンジン「GRANVU(グランビュー)」を搭載
夜の高速道路を高感度撮影。肉眼でさえ見えにくい場所だったが、暗く沈んだ部分も浮かび上がった ※リンク先は2448×3264ドット(1.1MB)の元画像

 ところで、カメラ機能でちょっと面白いのが、人物の笑顔を認識する機能。よくある顔認識でピントを合わせるようなものではなく、微笑や大笑いしている顔など、写真に収めたい“笑顔度”を3段階からあらかじめ選択しておくことで、被写体がその指定した笑顔度になった瞬間に自動でシャッターが切られる仕組み。じっとしていられない子供を撮影する時には、この笑顔撮影機能とトリプルブレ防止、そして動いている被写体を追いかける「追跡フォーカス」が大いに役立つに違いない。

笑顔になった瞬間にシャッターを切ってくれる笑顔撮影機能

充実&安心の音声入力機能

 もう1つ注目したいのが、文字入力機能と音声入力機能の充実度。日本語入力には、変換精度が高く他の端末への採用実績も豊富なATOKを搭載し、快適に文字入力できる。装飾メールを頻繁に送る人もきっと満足する、440種類ものデコメ絵文字が用意されているのも新しい要素だ。

実績のある日本語入力システム「ATOK」を採用
多彩なデコメ絵文字入りのメールも作れる
フィーチャーフォンならではの扱いやすい物理キーが文字入力をサポート

 そのメールの作成時には、携帯電話で話すだけで文字入力できる「音声入力メール」機能が使える。さらに、らくらくホンシリーズで以前から搭載している「音声で機能呼び出し」も便利だ。メニューボタンを長押しすると現れる一覧から“音声で機能呼出”を選び、あらかじめ設定したキーワードをしゃべることで、そのキーワードに割り当てた機能や設定画面をすぐに呼び出せる。たとえば「オンリョウ」と話せば通話音量の設定画面を表示でき、「シャシンサツエイ」と話せばカメラ機能を起動できる。

音声入力でメールを作成可能
しゃべったキーワードで機能を呼び出すこともできる
「シャシンサツエイ」としゃべればカメラが起動

 また、携帯電話の使い方がわからなくなった時に活用したい「使いかたガイド」でも、知りたい内容のキーワードを音声入力するだけで該当するヘルプコンテンツを表示してくれる「しゃべって検索」機能を利用できる。

「使いかたガイド」でも音声入力で知りたいガイドを探せる
「メール」と音声入力した際の検索結果

 フィーチャーフォンならではの押しやすい物理キーと、シンプルで理解しやすいメニューを備えるらくらくホン8だが、どうしても文字入力が苦手な人、機能がどこにあるか把握しきれない人もいるはず。使い方がわからないから誰かにメールで聞きたい。でもメールの仕方や文字入力の方法がわからないから聞くこともできない。ヘルプを見ようと思ってもどう探せばいいのかさっぱり……なんていう悪循環に陥ることも、これでなくなるわけだ。

 詳しい使い方については、専門のアドバイザーと電話口で相談できる「らくらくホンセンター」を気軽に利用できるので、使いこなせるかどうか大げさに心配することはない。とはいえ、必要な場面で音声入力して操作できるのは、ケータイを使い慣れない人にとって安心につながる要素の1つではないだろうか。

シニア以外でも役立つ通話サポート機能の数々

 シニアユーザーにうれしい機能としては、特定の番号に即座に電話をかけられるワンタッチダイヤルのほか、通話中に周囲の騒音と相手の声質とを考慮して音質調整し、相手の声を聞き取りやすくする「スーパーはっきりボイス3」や、相手の声をゆっくり聞こえるように自動で速度調整してくれる「ゆっくりボイス」がある。

 ほかにも、こちらからの音声も相手に伝えやすくするため、2つのマイクを連携させて周囲の騒音を抑えられる「スーパーダブルマイク」、雑音を考慮して着信音量を大きくする「おまかせでか着信」と、大きく振動して着信に気付きやすくする「でかバイブ」といった機能も搭載している。

3つまでの電話番号をショートカットキーに割り当ててすぐにかけられるワンタッチダイヤル
端末の表の裏にそれぞれマイクが配置されている「スーパーダブルマイク」で騒音を検知し、クリアな音声を相手に届ける

 どの機能もユーザーの年齢に関係なく役立ってくれそうだが、特に「おまかせでか着信」と「でかバイブ」は、誰でも便利に使えそうだ。最近は、スマートフォンではなんとなくバイブレーションが弱くなったように感じ、着信に気付きにくくなった、という話もよく聞く。通話を重視するフィーチャーフォンだからこそ、こういったさりげない工夫が生きてくるものだ。

メニュー画面は大きな文字のリスト、もしくは見やすいアイコンで表示するのもうれしい

無理なく2台持ちも考えられる、安価な料金プラン

 最後にフィーチャーフォンとして忘れてはならないのが、料金プランだ。ドコモのFOMA端末で契約できる料金プランは、国内通話が定額の新料金プラン「カケホーダイ」と、従来の「バリュープラン」「ベーシックプラン」など、いくつかから選択できる。

 新料金プランである「カケホーダイプラン(ケータイ)」は、通話料を含む基本使用料が、2年契約で月額2200円(税抜、以下同)、2年契約なしで月額3700円となっており、長時間通話をするユーザーにはメリットがある。一方、従来のFOMA向けプランは、通話が主体でパケット通信をあまり利用しないユーザーにとって、選び方次第で月額の料金をもっと安く抑えられる。

 「バリュープラン」は、基本使用料が安価なタイプ。端末を一括払いか分割払いで購入でき、月額基本使用料は「タイプSSバリュー」の1864円から。この中には、新料金プランや「Xi」のスマートフォン向けプランにはない「無料通話1000円分」が含まれるので、料金以上のおトク感もある。

 「ベーシックプラン」は、同一機種で24カ月間使用することが前提ながら、機種購入代金が1万5000円割引になるタイプ。購入方法は一括払いのみとなり、月額基本使用料も「タイプSS」の3600円からとバリュープランよりは高くなってしまうが、端末を一括で購入する際の費用を抑えたい人にはうれしいメニューだ。もちろん基本使用料に無料通話分も含まれる。

 「バリュー」「ベーシック」のいずれのプランでも、2年単位の継続契約を約束する「ファミ割MAX50」か「ひとりでも割50」に加入することで、基本使用料が一気に半額になる。

 例えば通話の利用に絞ったプランを選択し、こうした割引を併用すれば、月額1000円程度~という安価な料金にもできる。FOMAのフィーチャーフォンである「らくらくホン8」では、FOMAの料金プランは最初に検討すべきプランだろう。また、これからケータイを買う人も、スマートフォンとの2台持ちを考える人にも、魅力的に映ることもあるはずだ。

高い性能と操作性、料金に魅力

 電話としての扱いやすさを備えたフィーチャーフォンである「らくらくホン8」は、最新スマートフォンに近い高性能なカメラをもち、音声入力機能だけでなく、物理キーとATOKによる快適な文字入力が可能。ユーザーの年代にかかわらず便利に使える要素が盛りだくさんであることがわかっていただけたと思う。

 シニア向けというイメージがつきまといがちな「らくらくホンシリーズ」だが、実際には機能・性能面で他のフィーチャーフォンに劣るようなところはなく、見やすい文字や把握しやすいメニュー構成をはじめとして、むしろ幅広い年代のユーザーが快適に使えるよう配慮したさまざまなサポート機能が付加されており、使い勝手は圧倒的に優れている。

 料金についても、パケット通信が従量制に移行し、結果として値上がり傾向にあるスマートフォンの料金プランとは異なり、フィーチャーフォンでは安価に始められる料金設定や無料通話分によって、おトク感は強い。使っているケータイ・スマートフォンと、料金プランが最善なのかどうか、改めて確認してみてはいかがだろうか。