レビュー

「ZenFone 2」ファーストビュー

「ZenFone 2」ファーストビュー

“格安”を脱したアフォーダブル・プレミアム

 4月20日、ASUS JAPANから「ZenFone 2」が発表された。年初にグローバルで発表された最新のSIMロックフリー・スマートフォンで、日本国内では5月16日から販売が開始される(詳細はニュース記事を参照)。

「ZenFone 2」

 日本市場で前モデルにあたる「ZenFone 5」から、スペックが全面的に強化されたほか、インテル製CPUを新たに採用し、最大4GBのメモリ(RAM)を搭載するなど、新たな取り組みもみられる。

 こうしたことからか、端末価格は上方にシフトし、メモリ2GB・ストレージ32GBのモデルが3万4800円、4GB・32GBモデルが4万5800円、4GB・64GBモデル(5月下旬発売)が5万800円とアナウンスされている。

 ハードウェアのスペック、ソフトウェアの作り込みはともに高いレベルにあり、グローバル市場をはじめ、日本のスマートフォンの買い替え需要でも注目を集める“アフォーダブル・プレミアム”(手ごろ感のあるプレミアムモデル)の新たな選択肢となりそうだ。

 本誌では、5月16日の発売に先駆けて、4GB・32GBモデルのレッド(ZE551ML-RD32S4)に触れる機会を得た。以下では外観や操作感について簡単にまとめた。

デザイン、スペックは

 手にした最初の印象は「少し重いかな?」というもの(約170g)だったが、5.5インチ(フルHD・IPS液晶)のディスプレイを搭載しているにも関わらず、エッジにかけて薄くなったデザインなどもあり、手の中には自然に収まる。側面からはボタンを無くし、スッキリとしたデザインになっている。

 ヘアライン加工の背面パネルに安っぽさはなく、画面下部や、電源とボリュームボタンにはスピン加工も施されている。背面パネルについては、交換するタイプとして、グラデーション塗装が施された「Fusion series」、ポリゴンマップのような凹凸がユニークな「Illusion Series」がアナウンスされており、デザインのテイストを大きく変えて楽しむことも可能だ。

発表会で展示された交換式の背面パネル「Fusion series」
「Illusion Series」

 CPUはインテルの「Atom Z3580」。クアッドコアで最大2.3GHzで駆動する。このCPUはLPDDR3メモリで最大4GBをサポートしているため、4GBメモリのモデルがラインナップされている。LTEのキャリアアグリゲーションには対応しないが、無線LANは高速なIEEE802.11acをサポートする。メインカメラは1300万画素とこちらもハイスペックだ。

 3000mAhの内蔵バッテリーは取り外せないタイプ。9V 2Aと電圧を上げた仕様の急速充電に対応し、RAMが4GBのモデルには予め9V 2Aの出力が可能なアダプターが同梱される。急速充電では、39分で、3000mAhのバッテリーを0%から60%にまで充電できる。

 ワンセグ、フルセグ、防水・防塵には対応しない。NFCをサポートするが、おサイフケータイには対応しない。おサイフケータイについては、日本国内での認証手続きに時間がかかり、発売時期が大幅に遅れることなどを理由に、対応が見送られているようだ。

Android 5.0にZenUIを搭載

 ソフトウェア面では、Android 5.0を採用したことで、全体的にAndroid 5.0のUIのポリシーが反映されている。Android 5.0では、配色、インタラクション(反応)、アニメーションなどが適切に配され、予見しやすく、迷いにくいデザインになっている。

 画面をタップしてスリープを解除できるほか、画面に文字を描いてスリープを解除すれば、ダイレクトに指定されたアプリや機能を起動できる。片手操作モードは、縮小した画面を自由に移動でき、大きさも変更可能。ハードウェアと一体となった作り込みが行われている。

 カメラは、2色のLEDを用いて自然な色合いを再現するフラッシュを搭載。ソフトウェア面では、暗い環境に対応するローライトモードのほか、オート、マニュアル撮影、HDR、美人エフェクト、超解像度、夜景、単焦点、パノラマ、低速度撮影など、さまざまなモードを用意する。オートであっても、被写体や環境が暗いとローライトモードの利用をアイコンで案内するなど、最適なモードを選べるようになっている。

“格安”では満足できないユーザーに

 冒頭に記したように、「ZenFone 2」の価格は前モデルより高くなったことから、“格安スマホ”とは言いづらくなったが、内容をみて、触れてみれば、妥当だと感じられた。「アフォーダブル・プレミアム」と考えれば、価格も内容も納得のいく仕上がりだ。

 使い勝手の面でも、あっさりした印象ではなく、独自機能を含めて手厚くケアされていると感じる。格安スマホのスペックや使い勝手に満足できなかったユーザーには要注目の端末だろう。キャリアアグリゲーションをはじめとした通信キャリアの最先端技術や、防水、おサイフケータイには対応していないが、画面解像度やパワーなど、基本スペックについては、キャリアモデルから乗り換えても不足のない仕上がりだ。SIMロックフリー端末としてみるなら、新たなリファレンスモデルになると感じられる。

太田 亮三