レビュー

スマホの実力徹底検証

Androidスマホのパフォーマンス、CPUの違いでどれだけ差が出る?

左からXperia Z4、Galaxy S6 edge、ZenFone 2、honor6 Plus

 Androidスマートフォンというと、とくに日本ではチップセットにクアルコムのSnapdragonシリーズを採用するモデルが多い。しかし、グローバルで見れば自社開発のチップセットや他社の安価なチップセット、インテル製のチップセットを採用するメーカーも多く、日本でもクアルコム以外のAndroidスマホをチラホラ見るようになってきた。

 たとえばサムスンは高い開発力を活用し、自社開発のチップセットをフラッグシップのGalaxy Sシリーズに採用している。また、ASUSは国内販売されているAndroidスマホでは珍しいIntel製のAtomを採用している。

 チップセット(CPU)の違いはAndroidスマホのパフォーマンスに影響を及ぼすのだろうか? 今回は別種のチップセットを搭載するハイエンドモデルとして、ソニーのXperia Z4(ドコモ版)、サムスンのGalaxy S6 edge(ドコモ版)、ASUSのZenFone 2(Z551ML-RD32S4)、ファーウェイのhonor6 Plusの4機種をチョイスし、定番のベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmark」を使って比較してみた。

高スコアをたたき出すサムスンGalaxy S6 edge

 AnTuTu BenchmarkはCPUの各種演算とメモリアクセス、グラフィック性能などの数値を計測し、総合スコアを算出している。

 まず3回、発熱を避けるため連続しないように計測した。3回のスコアとある1回の詳細なスコアは以下のようになった。Galaxy S6 edgeとXperia Z4は64bit版にも対応していたので、別途計測している。

【総合スコア】

1回目 2回目 3回目 平均
Galaxy S6 edge(64bit) 65,728 66,669 67,740 66,712
Galaxy S6 edge(32bit) 63,342 61,744 61,738 62,275
Xperia Z4(64bit) 47,247 48,240 47,996 47,828
Xperia Z4(32bit) 41,927 41,914 42,901 42,247
ZenFone 2 46,146 46,956 47,085 46,729
honor6 Plus 44,474 44,383 44,778 44,545

【詳細】

マルチタスク Dalvik 整数演算 浮動小数点演算 Single-thread整数 Single-thread浮動小数点 RAM演算能力 RAM速度 2Dグラフィックス 3Dグラフィックス ストレージのI/O データベースのI/O
Galaxy S6 edge(64bit) 9,061 4,242 9,787 5,772 2,223 2,045 3,097 4,341 1,632 20,243 2,570 715
Galaxy S6 edge(32bit) 8,129 4,199 5,679 5,649 2,766 2,750 3,730 4,465 1,633 21,016 2,571 755
Xperia Z4(64bit) 4,278 2,960 6,572 3,755 1,133 986 1,779 3,514 1,663 18,375 2,550 675
Xperia Z4(32bit) 3,760 215 4,034 3,373 1,259 1,250 2,440 3,428 1,659 17,833 2,026 650
ZenFone 2 5,994 4,073 4,411 4,150 2,031 2,437 3,242 2,434 1,642 13,464 1,588 680
honor6 Plus 6,237 2,151 5,749 5,092 2,244 2,079 3,454 2,473 1,643 10,625 2,092 635

 他機種が4万台なのに対し、Galaxy S6 edgeだけが6万台と、かなり優位なスコアを記録している。どうしてこのような差がついているか、AnTuTu Benchmark内で見た各モデルのスペックを見つつ考察してみよう。

CPUモデル コア数 クロック 種類 GPU 解像度 OS
Xperia Z4 Qualcomm Snapdragon 810 8 384.0〜1555.2MHz 64bit Adreno 430 1080×1920 5.0.2(64-bit)
Galaxy S6 edge Samsung Exynos 7420 8 800.0〜2100.0MHz 64bit Mali-T760 1440×2560 5.0.2(64-bit)
ZenFone 2 Intel Atom CPU Z3580 4 500.0〜2333.0MHz 64bit PowerVR Rogue G6430 1080×1920 5.0(32-bit)
honor6 Plus HiSilicon Kirin 925 8 806.4〜1804.8MHz 32bit Mali-T624 1080×1920 4.4.2(32-bit)
ソニーのXperia Z4。クアルコム製Snapdragon 810を搭載

 Xperia Z4が搭載するSnapdragon 810のCPUは、スペック上は最大2.0GHz×4コアと1.5GHz×4コアとなっているが、AnTuTu Benchmarkでは最大1.56GHzと認識されているので、今回の条件では最大クロックがかなり落とした状態で動かしている可能性がある。Xperia Z4は今回の4機種中、唯一の防水端末で熱がこもりやすい構造とも言えるので、熱対策でクロックを落として動かしているのかもしれない。

 Xperia Z4は32bit版のベンチマークでは今回の4機種で最低のスコアとなるが、64bit版のベンチマークでは1割以上スコアが改善している。多数のスマホが採用するSnapdragonだけに、ソフトウェア面での64bit最適化は完成度が高そうだ。

サムスンのGalaxy S6 edge。サムスン製Exynos 7420を搭載

 最高スコアを叩きだしているGalaxy S6 edgeのCPUは、最大クロック2.1GHzとかなり高速で、そのあたりがスコアに反映されている。しかし、それだけでなく、Galaxy S6 edgeはシステムメモリにLPDDR4を採用したり、GPUも高性能なものを搭載しているので、そのあたりもスコアに影響が出ているようだ。

 Galaxy S6 edgeのチップセットはサムスン独自のものだが、64bit版のベンチマークも動作した。スコアも1割程度改善しているので、64bitへの最適化もしっかりできているようだ。

ASUSのZenFone 2。インテル製Atom Z3580を搭載

 クロックだけを見るならば、ZenFone 2が最大2.33GHzと最速だが、スコア面ではGalaxy S6 edgeに及んでいない。ZenFone 2が採用するAtomは、ほかのチップセットとはCPUの根本的な設計(アーキテクチャ)が異なるため、OS・アプリともに最適化が進んでいないとも考えられる。

 また、ZenFone 2のCPUは64bitではあるものの、現時点ではOSが32bit版で、そのパフォーマンスを十分に発揮できていないという面もある。しかし、そういった不利な条件でも十分なスコアを出しているので、64bit化と最適化が進んだときには、かなりのパフォーマンスを期待できそうだ。

ファーウェイのhonor6 Plus。ファーウェイグループのHiSilicon製Kirin 925を搭載

 honor6 Plusは今回の4機種中では唯一CPUが32bitで、OSもAndroid 4.4.2とちょっと古い仕様となっている。それでもZenFone 2やXperia Z4の32bit版と遜色ないスコアが出てるので、スペックというヤツは読むのがなかなか難しいものである。

発熱が性能に影響、それでも強いGalaxy

 スマートフォンでSNSアプリを使う、チャットする、ブラウザを使う程度の使い方ならば、CPUが最大クロックで動くことはほぼない。実際のところ、普段の利用時にクロックを下げ、省電力化することの方が重要視されることも多い。

 だが、ベンチマークアプリはほぼ最大クロックで動作させるので、CPUはけっこう発熱してくる。ほとんどの機種は発熱があるレベルになると、発熱を抑えるために、CPU/GPUの性能を抑制する仕組みを持っている。これを確かめるために、各機種で連続して10回測定してみた。

 どの機種も徐々にスコアを落とすが、なかでもGalaxy S6 edgeは5回目にかなり大きくスコアを落としている。ほかの機種は1割未満の変化なのに対し、Galaxy S6 edgeは2割近く落ちこんでいる。

 スコアの詳細を見るとこの原因がはっきりする。発熱がたまってくると、Galaxy S6 edgeでは3Dグラフィックのスコアが一気に半分にまで落ち込んでいる。ただ、3Dグラフィックスコアが半減しても、それでも総合スコアでは他機種の平常時を上回るあたりは、サムスンの気合いを感じる設計だ。

 こうしてスコアを落としたものの、全体的に見ると、サムスンのGalaxy S6 edgeが頭一つ飛び抜けていたのは、「さすがだな」と感じる部分でもある。サムスンがSnapdragonを採用せず、自社のExynosを使っているのは、この性能に自信があるからなのだろう。

 その一方で、そのほかのチップセットの差が小さいことは意外に感じられた。とくにアーキテクチャが全く異なるAtom搭載のZenFone 2はもっと違いがでるかと思っていたのだが、Snapdragonと大差がなくて拍子抜けしてしまった。

 今回のようなベンチマークテストは、CPU・GPUがフル回転する状況の性能なので、実際の利用シーンとはかけ離れたものだ。とはいえ、ゲームや画像処理で瞬間的にCPU・GPUがフル回転となるとき、その一瞬に引っかかることなくスムーズに動作するというのは、使っていて気持ちの良いものでもある。チップセットの性能だけを見てスマートフォンを選ぶことはないと思うが、こだわりがある人は、こうしたベンチマークスコアもスマートフォン選びの指標にしてみると面白そうだ。

(白根 雅彦)