AQUOS SHOT 940SH 法林 岳之編

 2009年の端末を振り返ってみると、目につくのがスマートフォンの台頭ぶりだ。昨年の「iPhone 3G」に続き、Windows MobileやAndroidなど、さまざまなプラットフォームの製品がいくつも発売され、いよいよ本格的にスマートフォンも市場が起ち上がる気配を見せた。ただ、個人的にも気に入って使えたのは、ターゲットが明確なBlackBerry Boldのみで、他のスマートフォンは対象ユーザーが曖昧なうえ、市場への取り組みもやや中途半端な印象が残った。来年以降もスマートフォンのラインアップは増えそうだが、iPhone 3GSのように、ごく普通のユーザーが気軽に持てるような取り組みが必要な気がする。

 一方、通常の端末では、12メガカメラ搭載モデルやソーラーパネル搭載モデルなど、デバイス面でも新機軸が登場したが、NTTドコモが人気アニメの劇場作品「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」とタイアップした「SH-06A NERV」、アクセサリーブランドの「Q-pot.」とコラボレーションした「SH-04B」を台数限定で販売し、一気に完売するなど、ハードウェアのスペック以外の要素でもユーザーを楽しませてくれた。対するauもかつてのau design projectを発展させる形で、新ブランド「iida」を起ち上げ、「G9」「PLY」「PRISMOID」といったデザイン性に優れた端末を発売した。ソフトバンクはiPhone 3GSへの注力ぶりが際立っていたが、「PhotoVision HW001」というで今までのケータイにはない新しい可能性を示した。

 そんな各社の魅力的な端末が並ぶ中、筆者が「俺のケータイ of the Year」として、ソフトバンクのシャープ製端末「AQUOS SHOT 940SH」を選んだ。12メガカメラとタッチパネルに対応したハイスペック端末だが、そういったスペックの部分以外にも注目すべき点があり、最終的に選ぶことにしたのだ。というのも940SHには、ユーザーにいかにケータイを楽しんでもらうか、使ってもらうかを考えた仕掛けが用意されているのだ。

 たとえば、ゲームソフト開発会社のキャメロットと共同で開発した「スピンぐるメニュー」は、ユーザーの利用履歴や購入からの経過日数、時間帯などを考慮し、おすすめの機能を提案してくるという取り組みを実現している。ユーザーが機能を知らないまま、購入したケータイを使い続けるのではなく、ユーザーに機能を知ってもらい、もっとケータイを活用してもらおう、使ってもらおうとしているわけだ。その他にも12メガカメラを搭載するだけでなく、利用目的別に多彩なカメラモードを用意するなど、ユーザーがいかに簡単に写真を撮れるか、ケータイを活用できるようになるかをしっかりと考えて、作り込まれているのだ。

 ここ数年、日本と海外のケータイを比較し、日本の特異性が取り沙汰されることが増えているが、日本のケータイには日本のケータイらしい良さがあるわけで、スピンぐるメニューはゲームというもうひとつの日本らしいカルチャーのノウハウを活かし、日本のケータイらしさをしっかりと進化させた機能となっている。他機種を圧倒するハイスペックに、日本のケータイらしい「おもてなし」の心をしっかりと活かしたシャープ製端末「AQUOS SHOT 940SH」に「俺のケータイ of the Year」を贈りたい。

 


2009/12/25/ 11:52