HT-03A 太田 亮三編

 2009年は新しいプラットフォームとしての「Android」が歩き始めた一年だった。バッテリー駆動時間に難はあるものの、そのほかの仕様的に過不足の無い「HT-03A」がNTTドコモというキャリアから発売されたのは、Android端末に期待を寄せていた私にとっても幸運だった。

 Android端末の魅力は、インターネットの世界にあふれる「自由」と「未来」に満ちていることだ。アプリの配信は無審査で、登録後すぐにダウンロードできてしまう点などは、正直いって不安に思うこともある。評価や通報機能、アプリがアクセスする端末機能の表示など、自浄的に悪意あるアプリを排除できるシステムが採用されているが、基本となるのは「自由」の裏返しでもある「自己責任」だ。それを自覚すればHT-03AとAndroidの世界はとたんに面白く思えてくる。

 最近ではGoogle ラティチュードや、音声検索、Google Gogglesとグーグルのサービスも順調に拡大しており、アプリを探すだけで暇つぶしになるほど。Androidマーケットのアプリ登録数も伸びているようだ。特にパソコンで慣れ親しんでいるGoogleマップの使い勝手がAndroidでも実現されているのは便利。Gmailのプッシュ配信やGoogleカレンダーなど、クラウドサービスという切り口でも、多数のアプリがさまざまな要求に応えてくれる。

 一方、ドコモの端末として見た場合、ドコモの役割はもっぱらインフラで、存在感が大きいとはいえない。通話品質、どこでもつながる安心感など、縁の下の力持ちといった印象だ。ドコモの永田氏も言うように、特にスマートフォンなどメーカーがグローバル市場で展開する製品は、キャリアが「コーディネート」という形で、これまでとは違ったスタンスで製品に関わっていくと思われる。OSのアップデートなど、これまでにない対応も行っており、HT-03Aはドコモのコンシューマ向けスマートフォン戦略や方向性を占う試金石となるだろう。

 Androidはインターネットの発展を支えてきたグーグルが中心となっているプラットフォームということもあり、自由の気概にあふれ、ユーザーと開発者の「集合知」で未来を感じさせてくれるのが魅力だ。2010年も、そんな覚めない夢を見られそうである。

 


2009/12/25/ 11:55