IS03 石川 温編

IS03

 先日、ある忘年会で唐突に「初めてのスマートフォンってどの機種ですか」と聞かれた。初めてのスマートフォン。これはかなり難しい質問だ。スマートフォンをどのように定義するかで大きく変わってくる。タッチパネルでメールが扱えるという機種であれば、それこそiモードが出る前からあった。メール、ウェブ、音楽再生やアプリが使えるという面ではiモード端末も立派なスマートフォンだ。隣席にいた知り合いは「iPhoneこそ最初のスマートフォンではないか」と突っ込んできたが、「iPhoneはスマートフォンではない」ときっぱりと否定するアップル関係者もいたりする。「スマートフォン」がブームだが、意外と定義はあいまいなので、「お初」の機種はなかなか決めにくい。

 だが、「日本メーカーが世界メーカーに対抗できる初めてのスマートフォン」と言えば、おそらくシャープ「IS03」の名が上がるのではないか。Androidプラットフォームを使い、おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線を搭載。時計代わりとしても使いやすいようにメモリ液晶も搭載してきた。「日本メーカーによる日本人のための日の丸スマートフォン」と言うべき端末だ(プラットフォームはアメリカ発だが)。

 ここ数年、iPhoneが世界のケータイ業界を席巻している。日本でも同様だが、そこにようやく、対抗できそうな気運が出つつある。正直、IS03とiPhoneを比べれば、操作性やアプリの豊富さなどでまだiPhoneの方が優位性はある。IS03はバッテリー寿命が短く、決して満足できるものではない。

 しかし、数年後、日本のケータイ業界を振り返ったとき、IS03は間違いなくエポックメイキングな端末だったと語られることになることだろう。日本特有のサービスに対応し、スマートフォンで大きく出遅れたauの救世主になることを期待しつつ、今年を象徴する一台として記憶しておきたい。

 


2010/12/27/ 13:05