白根雅彦: au G'zOne W62CA
今年のケータイ業界を振り返ってみると、まぁいろいろあったと思う。ケータイ自体に着目しても、それなりに個性的な端末が多かった1年だとも思う。
そんな1年の中でも目立ったのが、なんといって「iPhone 3G」だろう。iPhoneはケータイの歴史に刻まれるべき革新的な存在だと思うし、個人的にもかなり使い込んでいる。しかし日本のケータイとはかけ離れている部分も多く、別ジャンルのデバイスともいえるので、あえてわたしはiPhoneを別格扱いし、ケータイ of the Yearの候補から外してみた。
ほかのケータイを見てみると、XGAディスプレイや8メガカメラなど、スペック面で進化したケータイも多かった。ちょっとiPhoneへの後追い感が強いものの、タッチパネルなどUIの進化も、今後に期待したい流れだ。「PRADA Phone」など海外製の個性派端末が国内投入されつつあることも評価したい。
ただ、デザインが折りたたみ系かスライド系ばかりなのは、ちょっと個性が不足しているかな、とも感じた。そういった意味で、ストレートデザインの「W63K」などは高く評価したい。W63Kは想定外のユーザー層にも好評だったとケータイ Watchでニュース記事にされるほどなので、そういったユーザーニーズを取り込むためにも、今後もストレートデザインがラインナップの一角に残ることを期待したいところだ。
デザイン面で「良くやった」と言いたいのが、auの「Sportio」と「Xmini」だ。Sportioは86g、Xminiは75gと、桁違いのコンパクトさを持っている。このコンパクト化の影には、ディスプレイサイズやキーの使いやすさ、そしていくつかの機能が犠牲になっていると思うが、その犠牲を払ってでも、ケータイにとって最重要課題である「携帯性」を追求した姿勢は、多いに評価に値する。
ただおサイフケータイをバリバリに使っていると、両機種がおサイフケータイ非対応なのは非常に残念に感じられる。こうしたポケットに入れやすいコンパクトな機種こそ、おサイフケータイとの相性が良いと思うのだが。
そんなこんなで今年のケータイ of the Yearもいろいろ迷ったが、最終的にわたしは、「W62CA」を選んだ。
W62CAを選んだ最大のポイントは、当然「防水・耐衝撃仕様」だ。もちろん、ぜったいに壊れないわけではないが、水しぶきが心配な雨の中や水回りでも、壊れる心配はほとんどなく使える。こうした「防水だからどこでも使える」ということは、モビリティ性の飛躍的向上とも言えるわけで、ケータイにとっては非常に有利なポイントである。また、最近はケータイの販売価格が上昇し、1台のケータイを長く使う意義が大きくなった。そういった点では、防水だけでなく耐衝撃性能もあるW62CAの堅牢さは頼もしい。
防水性能だけを見れば、最近は「お風呂でワンセグ」のコンセプトで、各社が防水ケータイを出すようになった。カシオ自身も、「W61CA」などを出している。しかしW62CAの場合、「G'zOne」というブランドに基づき、女性ユーザーに取っつきにくいかもしれないデザインを採用してまで(従来のG'zOneに比べるとだいぶスマートになったが)、従来からの個性を維持している。この姿勢も評価したいポイントだ。
そして防水ケータイでありながら、おサイフケータイやワンセグなど、一通りの機能・サービスに対応していることも評価したい。KCP+採用機種ということで、従来のカシオ端末に比べると、メニューの操作レスポンスが低下しているのはちょっと残念なポイントだが、防水と相性の良いBluetoothも搭載しているのは嬉しい。重さは133gと、防水ケータイとしては悪くないサイズ感だ。
ほかの防水ケータイも、機能面でかなり豊富になりつつあり、防水に限定しても、選択肢は充実しつつある。防水ケータイが主流になることはないと思うが、今後も絶えることなく進化を続けて欲しい。その中でも、「堅牢」という個性を維持し続ける「G'zOne W62CA」を、わたしは2008年のケータイ of the Yearに選びたい。
■ 関連記事
・ センサーを強化したタフネスモデル「G'zOne W62CA」
・ 「G'zOne W62CA」開発者インタビュー スリムで高機能に生まれ変わったG'zOne
・ ケータイ新製品SHOW CASE au G'zOne W62CA
法林岳之 ソフトバンク 922SH |
スタパ齋藤 ソフトバンク iPhone 3G |
白根雅彦 au W62CA |
すずまり NTTドコモ N706ie |
石野純也 NTTドコモ N705i |
石川温 NTTドコモ SH706iw |
村元正剛 NTTドコモ PRADA Phone |
橋本保 NTTドコモ SO905iCS |