ケータイWatch
女と男のポケットポストペット
男のポケットポストペット:カノジョといいカンジになれるかも!?
法林岳之
ISDNやモデム、携帯電話、PHS、携帯情報端末など、通信関連の記事を執筆するライター。ゴツい身体に似合わず、ポケットボードにはいち早く着目。それ以来、メール端末とケータイのウォッチングを欠かさない。ポストペットのおつき合いも「PostPet DX」からで、現在は「できるポストペット2001」「できるポケットボード ピュア」などが発売中。

■ 早くも売り切れ店続出!?

P-TAN
NTTドコモ ポケットポストペット
標準価格3万5800円。153×94×35mm(幅×奥行×高)、約315g(電池含)

 ついに発売されたNTTドコモのポケットポストペット。4月4日の発表以来、早くも各方面で話題になり、販売店に予約注文する人も多かったとか。元祖お手軽メール端末「ポケットボード」に、愛玩電子メールソフト「ポストペット」を組み合わせたというこの製品。はたして、どんな使い心地なのだろうか。昨日の西川和美さんのレポートを続き、男性からの視点でレポートをお送りしよう。



■ まずは基本スペック

 NTTドコモとソニーコミュニケーションネットワーク、カシオ計算機の手によって生み出されたポケットポストペット。まず、基本的なスペックから見てみよう。

 本体のデザインはポストペットのキャラクターである「モモ」をモチーフにしており、パッケージから付属品まで、非常にこだわって作られている。たとえば、パッケージを開けたときのボディは左下の写真のように見える。きっと、女のコはまずここで「クラッ」ときてしまうに違いない(勝手な思い込み!?)。そして、おもむろに本体を取り出し、充電しようとすると、今度はACアダプタもシールの印刷がちゃんとピンクになっている。そして、セットアップを始めようと、ペンを取り出すと、これがまたピンクのスケルトン。そして、とどめは本体底面に格納されている携帯電話の接続ケーブルもスケルトンと来たもんだ。このあたりで女のコの思考回路は、もうポケットポストペットに集中されてしまっているに違いない(勝手な思い込み!? その2)。

P-TAN P-TAN
最初のインパクトはパッケージを開けたときにやってくる。パッケージ内のフタをくりぬき、こんな芸当をしてくれるとは……。ちなみに、右側には糸井重里氏からのメッセージが書かれている 付属のACアダプタは、シールの文字がピンクで印刷されている。サイズも比較的小さいので持ち歩くことも苦ではない
P-TAN P-TAN
付属のスタイラスペンもスケルトン。長さも適度で使いやすい。ちょっとなくしてしまいそうなのが怖いけど 底面には携帯電話との接続ケーブルが格納されている。しかも、ケーブルはスケルトン。よくここまで凝ったという気がする

 ボディサイズは、比較的大きい印象だ。ポケットボード ピュアやブラウザボードなどと比べてみるとわかるが、ボディの幅は狭いものの、やや厚みがあり、重量も約315gと重めだ。しかし、実際に持った感覚はそれほどの重量感もなく、大きさも気にならない。特に、丸みを帯びたボディは女性が持つことを強く意識しているようで、手にしたときの感覚もどことなく、やさしい印象が残る。

P-TAN 「ポケットポストペット」(手前)、「ポケットボード ピュア」(右)、「ブラウザボード」(後ろ)の3台。カラーやボディの厚さの違いもあるが、ポケットポストペットが最も存在感がある

 本体を開くと、丸いキートップのキーボードが目に入る。キーボードは標準的なQWERTY配列を採用し、上の方にポストペットのための機能キー、液晶ディスプレイ側に方向キーが配されている。キートップは円形であまり大きくないが、キータッチはそれほど悪くない。キーの数もあまり省略されておらず、「@」(アットマーク)や「.」(ピリオド)、「/」(スラッシュ)といったインターネットで頻繁に利用する記号類もダイレクトに入力できる。パソコンのキーボードを触ったことがある人なら、カンタンになじむことができるレイアウトだ。ポケットボードで培われたキー配列へのこだわりが活きているということだろうか。

P-TAN キーボードは丸いキートップを採用。キーピッチは約10mmだが、キータッチは比較的良好。省略されているキーがほとんどないのはうれしい

 液晶ディスプレイは320×240ドット表示が可能な3.2インチSTNカラー液晶を採用。バックライトも装備しているため、視認性はかなり良好だ。画面上の操作はペン(スタイラス)を使う。ベースとなっている「PostPet for Windows CE」と同じように、自分や友だちのペットをなでたり、叩いたりと、おなじみの操作ができる。液晶ディスプレイの横にはハードウェアアイコンが並んでいるが、左側がポストペットに関連する操作で、右側は本体の機能のための操作にまとめられている。

 携帯電話はNTTドコモのデジタル携帯電話を利用し、最大9600bpsでプロバイダーと接続する。208シリーズなどに搭載されているパケット通信には対応していない。接続ケーブルは最初でも述べたように、底面にスケルトンの接続ケーブルが格納されている。ちなみに、接続ケーブルが格納されているすぐ横にあるのは本体バックアップ用電池とマルチメディアカード(MMC)のスロットが隠されている。

P-TAN P-TAN
液晶ディスプレイはバックライトを装備し、視認性はなかなか良い。反応速度も決して遅くない。この価格帯の商品としては、十分すぎるクオリティだ MMCのスロットはバックアップ電池のすぐ上にある。すぐには必要ないが、メールがたまってきたら、MMCに保存すると便利だ

 メールは一般的なPOP3(APOP)/SMTPサーバを利用したインターネットメールに対応している。送受信したメールは本体にそれぞれ最大200件まで保存することが可能だが、MMCを本体に挿すと、送受信メールの一覧画面に「引きだし」が表示され、こちらにメールを移して保存しておくことも可能だ。ちなみに、ポケットポストペットにはペンで絵を描いてメールに添付して送る「おえかきメール」の機能も搭載されている。おえがきメールで送信されるファイルはGIF形式なので、パソコンなどでも読み込むことが可能だ。


■ セットアップはカンタン

 ポケットポストペットはSo-netやmoperaをはじめ、各インターネットプロバイダに接続することが可能だ。

P-TAN 本体の電源を投入後、何画面か進むと、この画面が表示される。自分の利用スタイルに合わせて、項目を選ぼう

 So-netについてはオンラインサインアッププログラムが搭載されており、購入したら、すぐにポケットポストペットを使う環境を整えることができる。しかも、ポケットポストペットからオンラインサインアップしたユーザーには「●●●●●@pp○○.so-net.ne.jp」というメールアドレスが発行され、さらにメールアドレスが印刷されたオリジナル名刺などを含む「ポケットポストペット・オーナーズセット」が送られてくる。

P-TAN So-netのメニューはオンラインサインアップと既存会員のための設定メニューが用意されている

 これに対し、moperaは「mopera POPメール」を利用する。アクセスラインの「moperaネットサーフィン」はNTTドコモの携帯電話からの発信であれば、通話料のみで利用できるので、mopera POPメールをNTTドコモの販売店か、電話で申し込めば、翌日9時から利用できるようになる。ただし、電話での申し込みについては、地域会社によって対応が異なるので注意したい。

 設定はポケットポストペットからmoperaのクイックスタートのメニューにアクセスし、そこで暗証番号などを入力する。自分の名前などをメールアドレスとして利用できる「エイリアスメールアドレス」のサービスも無料で提供している。ただし、一度、設定したエイリアスメールアドレスは変更できない。

P-TAN moperaはクイックスタートにアクセスするためのメニューを用意している。事前にNTTドコモの販売店か電話で申し込む必要がある

 ポケットポストペットでは、So-netのオンラインサインアップとmoperaのクイックスタートのどちらを利用した場合でも接続に必要な情報などが自動的に本体に記録されるため、細かい設定をする必要はない。

 一方、すでにSo-netの会員が設定する場合は、アクセスポイントなどの最新情報をインターネットからダウンロードしてくれるため、設定は比較的ラクだ。また、So-netやmopera以外のプロバイダーを利用するときは、ユーザーIDやパスワード、DNSアドレス、アクセスポイントなどの情報をすべて自力で入力する必要がある。

 これらのことを総合すると、ポケットポストペットを購入したユーザーは、ポケットポストペットのためのメールアドレスをSo-netかmoperaで取得するのがベターということだ。ポストペットのユーザーなら、すでに周知のことだが、ポストペットでペットを使ったメールのやり取りは、ポストペット同士に限定されている。ポストペット以外の相手に対してペットでメールを送ると、ペットが相手のメールソフトに吸い込まれてしまうため、半日から1日程度、ペットが帰ってこなくなってしまう。こうした事態を回避するためにも、専用のメールアドレスを取得しやすくしているわけだ。これに乗らない手はないだろう。


■ Webブラウザも搭載

 ポケットポストペットにはWebブラウザも搭載されている。スペック的にはHTML3.2準拠で、フレーム表示やSSL2.0/3.0にも対応している。画像はJPEG/GIF/BMPの各形式をサポートし、Cookieも受け取ることが可能だ。さらに、BGSOUNDタグで指定されたwavファイルも再生することができる。ポケットポストペットのWebブラウザは画面の大きさが限られており、通信速度もあまり高速ではないため、画像をふんだんに使ったホームページ閲覧には適していないが、モバイル向けコンテンツなどを中心に閲覧すれば、十分実用になるレベルだ。

 また、ポケットポストペットにはパソコン版にはない遊び心いっぱいのオリジナル機能が搭載されている。14種類のアイコンを貼ることができる「カレンダー」、わりかん計算機能を搭載した電卓などがそうだ。なかでも注目なのが「ゲーム電卓」だ。これはカシオ計算機が1980年に発売した「カシオゲーム電卓 MGG-880」を再現したもので、効果音なども見事に再現されている。おそらく、30代以上の男性諸氏なら、ボタンを壊すほど遊んだことを思い出すに違いない。

P-TAN
背面に備えられた赤外線通信ポート。これを利用して、対戦ゲームのデータを転送する。転送時間は短いので、ゲーム中は向かい合わせておかなくても大丈夫だ

 さらに、対戦ゲーム。これはすでに西川和美さんの記事でも紹介したように、3種類のゲームが用意されている。2台のポケットポストペットを用意し、背面の赤外線通信ポートを介して、データを転送。あとはお互いのペットがアツく戦うというものだ。ただ単にメールをやり取りするだけでなく、直接会って遊ぶためのツールがついているところは、ポストペットがコミュニケーションを楽しむための道具として、さらに一歩踏み出したとも言えそうだ。

 ところで、ポケットポストペットは、NTTドコモの携帯電話を接続して利用するが、少し気になるのが通信料金だ。今回テストした結果から見ると、自分のペットをおつかいに出すときは1回あたり20~30円程度、友だちのペットが遊びに来たときは1回あたり30~40円程度になる。ただし、これらはいずれもNTTドコモの標準的な基本料金プラン「プランA」の場合の通信料で、その他の料金プランの場合はもう少し高くなる。また、友だちのペットが遊びに来たとき、ペットを洗ったり、おやつをあげたりといった「おもてなし」を続けていると、通信時間がいつもより長くなり、通信料が高くなることもある。

 そこで注目したいのがSo-netをはじめとする各プロバイダが提供する携帯電話向け専用アクセスポイントだ。これはNTTドコモの直収サービスを利用したアクセスポイントで、So-netではモバイルダイレクトという名称でサービスを提供している。携帯電話向け専用アクセスポイントを利用すれば、接続までの時間が大幅に短縮されるため、通信料を節約することが可能だ。接続先は東京になるため、地方のユーザーは安くならないケースもあるが、基本的に追加料金は不要なので、使わない手はないだろう。


■ 買う? 買ってあげる?

 4月4日に発表され、4月12日に販売が開始されたポケットポストペットだが、発売初日からかなりの人気のようだ。東京・新宿西口の家電量販店などではすでに売り切れてしまい、バックオーダーになっているという。これに対し、まだ在庫が数台残っているという情報が得られたのがドコモショップだ。価格に違いはあるが、早くゲットしたいのであれば、ドコモショップを探してみることをおすすめしたい。住宅街にあるドコモショップなら、まだ残っている可能性もある。

 また、So-netでは同社の「PostPet Products Store」でオンライン販売を実施している。原稿執筆時点では売り切れとなっているが、「オリジナルアダプターケース」がもれなくもらえるという特典もあるので、こちらで申し込んでみるのもいいだろう。

 ちなみに、東京・新宿西口の量販店でのポケットポストペットの実売価格は、「3万2800円」となっていた。これを高いと見るか、安いと見るかだが、カラー液晶を搭載したメール端末が約3万円というのは、現在の市場を考慮すれば、かなり安いという見方もできる。メール端末で最も人気が高い「コミュニケーションパル MT-300」(シャープ)はモノクロ液晶を搭載して約3万円、「PostPet for Windows CE」を搭載した「ペルソナ HPW-50PA」が7万円以上するのだから、十分お買得と言えるだろう。

 さて、最後に「男のポケットポストペット」について考えてみよう(なんて大した話でもないんだけど)。まず、ポケットポストペットそのものについては、これはもう純粋にエンターテイメント性を追求した商品なので、スーツを来たビジネスマンがカバンに忍ばせておくにはちょっと気が引けなくもない(笑)。ただ、今やパソコンユーザー以外にもメジャーになったポストペットを「いつでもどこでも楽しめる」「紹介できる」「自慢できる」ことを考慮すれば、常に持ち歩く価値は十分にありそうだ。

 また、今さら説明するまでもないが、ポストペットの楽しさは「ペットがメールを運ぶ」ことによって生まれるコミュニケーションにある。ポストペットを使えば、普段はうまく話ができなかった相手とも円滑にコミュニケーションができるようになるかもしれない。もし、カノジョが「3万円ぎりぎりなら買っちゃおうかな」なーんて言ってるんだったら、ここはひとつ思い切ってプレゼントしてしまうのも手だ。

 たとえば、自分のパソコンにはポストペットがインストールされていて、カノジョはパソコンを持ってないとしよう。そんなときは、カノジョにポケットポストペットをプレゼントして、ペットでメールのやり取りをして、お近づきになる作戦(笑)が考えられる。ただし、ここで注意が必要なのは、ペットのかわいさのあまり、カノジョがペットにメールを運ばせることだけに意義を感じてしまわないようにするコト。ポストペットはあくまでもコミュニケーションの手段であり、目的はカノジョと仲良くなることだからだ。

P-TAN
パッケージもかなりかわいい。これを見ただけで、カノジョは欲しがるかも。さあ、買う? 買ってあげる? それとも2台買っちゃう?

 お互いにパソコンなんて持ってないというのであれば、いっしょにポケットポストペットを買うのもいいだろう。ポケットポストペットのかわいいデザインを見れば、きっとカノジョも興味を持ってくれるハズだ。このシチュエーションの場合は、ペットでメールをやり取りし、お互いのペットが経験を積むことにより、その経験値を活かして対戦ゲームが楽しめるというメリットもある。対戦ゲームでアツくなれば、カノジョとの関係ももう少しアツくなれるかもしれない。ただし、間違っても勝負にこだわるあまり、自分のペットばかりに経験を積ませないコト。勝っても負けてもいいから、2人で仲良くするのがポイントだ。

 とまあ、いろいろ考えては見たけど、とにかくポケットポストペットが面白いのは事実だし、女のコが興味を持つのは間違いないんだから、それを上手に活かすのが男ってもんでしょ。自分のために買うか、カノジョのために買ってあげるか、あるいは思い切って2人分を買ってしまうか。まずは2人でお店に行って、ぜひ商品を手にとって、ご覧になっていただきたい。今までのメール端末との違いがはっきりと伝わってくるはずだ。

■URL
・ニュースリリース(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/00/whatnew0404.html
・製品情報(ソニーコミュニケーションネットワーク)
http://www.so-net.ne.jp/p-tan/
・製品情報(カシオ計算機)
http://www.casio.co.jp/productnews/pocket_postpet.html
・女と男のポケットポストペット/女性編(ケータイ Watch)
http://k-tai.impress.co.jp/review/2000/04/13/ppp1.htm
・週刊モバイルCATCHUP「史上最強のメール端末「ポケットポストペット」到来!」(モバイルセントラル)
http://www.watch.impress.co.jp/mobile/column/catchup/2000/04/06/

法林岳之
2000/04/14


ケータイWatchホームページ

ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright(C) 2000 kazumi Nishikawa / Impress Corporation.