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au担当者が語る「満足してもらうための施策」

 10月24日、同じ電話番号のままで他社へ乗り換えられる「携帯電話番号ポータビリティ制度(MNP)」がスタートする。例年より多くの端末がリリースされ、新サービスの充実が図られるなど、各社の競争は激しくなりつつある中、各社はどのような戦略でMNPに臨むのか。

 auの全体的な姿勢について、中長期的な戦略に携わるKDDI au事業本部 au事業企画部 事業戦略グループリーダーの佐藤進氏に聞いた。



「満足してもらうこと」

KDDI佐藤氏

KDDI佐藤氏
――そもそもMNPに向けたauの基本姿勢は?

佐藤氏
 端末やサービス、料金、エリアなど全ての商品力をレベルアップして、お客様に満足していただくことを目指しています。MNPを利用する方はもちろん、2,000万を超える既存のauユーザーに対しても満足していただくというのが大前提になります。MNP導入が決まった時点からあらゆる面で準備を重ねてきました。10月24日はその集大成、と言えるかもしれません。

――そういった面は、MNP導入以前にも注力してきたポイントなのでしょうか?

佐藤氏
 そうですね。auとしては過去に辛い時期もあって、そこから脱却するために、端末デザインや音楽機能など、キーになる部分を打ち出しながら、底上げしてきました。その結果が3年連続純増ナンバーワンとなり、その勢いをつけたままMNPに入っていければと思っています。

――MNPに対するユーザーの意識については、さまざまな調査結果がありますが、現時点ではどのように考えていますか?

佐藤氏
 確かにさまざまなデータがありますが、MNP開始が迫れば迫るほど、そのボリュームは小さくなっている気がしています。10月24日に店頭で長蛇の列ができる、というほどではないと見ています。MNPによって携帯電話会社を変えるお客様は増えることにはなるでしょうが、携帯電話を使うサイクルというものがあります。MNPを待っていた人、新機種を待っていた人、12月のボーナス商戦などにあり、全てMNP開始にタイミングが合うわけではなく、これまでと同じように携帯電話を使っていくというそれぞれのサイクルの中で、MNPが利用されることになるのでしょう。

――MNPが開始されても急な動きにはならないと?

佐藤氏
 もちろんMNPを待っている方がいらっしゃるでしょうから、それなりの動きにはなるでしょう。当社は昨年ツーカーからの同番移行を行ないました。その際、対応が間に合わず、ご迷惑をおかけすることになりましたが、その教訓を活かしてある程度のボリュームに対応する準備を整えています。そのピークがずっと続いたり、あるいは一気に山が来た後に、すっと引いてしまうということにはならないと思います。

――利用動向を数値で表わすとどうなるでしょう? またどういったユーザー層がMNPを利用すると見ていますか?

佐藤氏
 数字で表わすのは難しいですね。堅実な見方で、「MNPの利用意向は3〜5%」という話がありますね。少なく見積もっても約300万人ということになるでしょうか。もちろん、300万人がどれだけの時期で動くのか、という話もあります。

 一番大きいと思っているのは「わからない」という層ですね。そういった方をいかにしてauへ振り向かせるか、そこのボリュームが一番大きいと見ています。「わからない」という層の動きによって、MNPの動向は大きく変わってくるでしょう。MNPでauに移行する方は、音楽や高速データ通信、ダブル定額など当社のサービスなどに魅力を感じてくれる方だと思います。年齢や性別では分類できないと思いますね。

――40代〜50代の男性が、「家族がauだから」といった形でMNPを利用するという見方があります。また、学生層に向けてはCDMA 1X WINに学割がないことは影響するでしょうか?

佐藤氏
 家族でauへ来ていただくとボリュームとしては大きいですね。一方で、家族で他社を利用されていて、音楽などに魅力を感じて1人でauへ移行された場合でも「MY割」によって家族割と年割を組み合わせた場合と同等の割引が利用できます。料金施策を充実させたことで、家族全体でも1人だけでも安心して移行していただけます。

 学生層でも着うたフルなどの音楽機能を使いたいということで、自然とCDMA 1X WINを選んでいただいていますので、学割の利用率は低下してきています。家族割とダブル定額という形であれば、学割利用時とさほど差がありませんので、「WINに学割がない」ことは特に影響ないと見ています。

――A社と5年間契約していると、その分割引率がアップするという継続割引があります。しかしMNPで他社に移行してもその分は引き継げませんね。

佐藤氏
 「継続割引を引き継いでまで」ということは考えていません。


他社の動向はどう見ているのか

準備万端という佐藤氏

準備万端という佐藤氏
――auを含め、携帯3社の新モデル・新サービスが出揃いました。

佐藤氏
 当社の場合、一部を除き、既に新モデルを発売しています。他社のラインナップは今後どうなるかわかりませんが、当社としては準備できたと思っています。サービス面では、着うたフルを含めて音楽面では先行していると自負しています。auとして目指してきたものは準備できているので、自信を持ってMNPに臨めます。先行して準備を整えることで、店頭対応といった面でも良い影響が見込めるでしょう。

 先述したように、まずは既存のお客様に満足していただくという点も重要なことです。端末・サービスを他社に先駆けて発表したことは、既存顧客の囲い込みという効果もあると思います。

――予約サービスも提供されていますが、どのような手応えを?

佐藤氏
 具体的な数値は明らかにできませんが、ほぼ予定通りの予約を受け付けています。

――8月下旬のサービス、他社にあってauにはない、というサービス・機能については、もうカバーできたことになるのでしょうか? また先日、BREW上でJavaが動作する「オープンアプリプレイヤー」が発表されましたが、MNPとの関連は?

佐藤氏
 テレビ電話の登場はまだ先ですが、残りはほぼMNPに向けてキャッチアップできたと思いますね。

 Javaについては、時期は少しずれますが、MNP関連といえます。勝手アプリとしてJavaゲームが人気と聞いていました。BREWのメリットはもちろんありますが、勝手アプリのJavaが利用できないという指摘はかねてからいただいていましたので、技術的な目処がたったことで、導入することになりました。

――auにないもの、としてはスマートフォンが挙げられると思います。どう見ていますか?

佐藤氏
 市場としては確かにニーズはあるでしょうが、今までのauユーザーとは違う層になりますね。このターゲット層をauとしてどう考えていくのか、検討はしていますが、具体的に決まっていることはありません。

――サービスエリアについてはどうでしょうか。

佐藤氏
 cdmaOneの時代から進化してきて、CDMA2000 1X、EV-DO Rev.0、EV-DO Rev.Aを乗せてきています。そこは他社のような、一からエリアを構築するサービス展開とは異なります。もちろんお客様からの声を募ってのエリア拡充も図っていますし、エリアについては問題なく利用いただけると思っています。

――端末の販売価格については、さまざま意見があります。たとえばソフトバンクは「スーパーボーナス」という施策を実施してきましたが、auとしてはMNPに向けてどう対処していくのでしょうか?

佐藤氏
 今まで通り、という姿勢になるでしょう。MNPだからといって、販売価格の戦略に大きな変更はありません。

 ソフトバンクさんの個別の施策についてはともかく、既成概念に囚われることなく、考え、行動する企業だと感じています。また他社ということでは、MNPという枠組みには入っていませんが、ウィルコムさんの音声定額なども影響分析をするなど動向はチェックしています。携帯市場の飽和化が指摘されており、既存のパイの取り合い、つまりどうやって他社のお客様を当社に移行させるかという点が重要です。

 MNPは、10月24日から始まり、継続するわけです。せっかく来ていただいたのに、「auは大したことがない」と言われるのは不本意です。満足していただけるように、さまざまな点を充実させていきたいですね。

――ありがとうございました。


auのコンテンツ戦略、MNPでどう動くのか

 携帯電話の魅力の1つは、通話・メールといった基本機能に加えて、多彩なコンテンツサービスが利用できるという点だ。音楽やGPSといった特徴的な機能を提供してきたauだが、MNPに対してはどのような意識を持っているのか。コンテンツ部門の全体的な統括に携わるというKDDI コンテンツ・メディア事業本部 コンテンツマーケティング部 事業統括グループリーダーの勝木 朋彦氏に聞いた。


KDDI勝木氏

KDDI勝木氏

7月から提供されているGoogle検索

7月から提供されているGoogle検索

――MNPが導入されることで、auのコンテンツ戦略にはどのような影響が?

勝木氏
 「MNPだから」というわけではありませんが、MNPが決まってから出てきたサービスはやはり意識はしています。また、リリースするのであれば、MNPのタイミングにあわせてスケジュールを前倒しして……という事例もありました。もちろんau独自のサービスを作っていく、という従来通りの流れを受け継いでいる部分もあります。たとえば「au My Page」では、より幅広いお客様により使い勝手良く、既存のお客様にはこれからも長くauを使って欲しいという思いがあります。

 私見になりますが、MNPが始まった直後のユーザー動向が今後を占うのではないかと思います。キャリア側のプロモーションよりも、お客様の間の口コミが最もインパクトがあるということです。たとえばドコモさんの携帯電話を契約してきた方が、MNPによってauに移行した場合、「乗り換えても問題なかったよ」という意見が周囲に広まると、これまで動かなかった大きな岩が、ゴロリと動き出すのではないかという気がしています。

――EZwebでGoogle検索が導入されましたが、他社も検索サービスを強化しています。どう見ていますか?

勝木氏
 他社サービスについては、まだ使い込んでいるわけではありませんが、ドコモさんの検索サービスは検索エンジンが多く用意されていますね。ソフトバンクさんは、パソコン向けサイトを携帯向けにレイアウトを変換するなど、当社と同等の使い勝手に見えます。

 当社の場合は、PCサイトビューアー搭載端末が多くありますので、検索結果からPCサイトビューアーを起動できるという機能を提供しています。また、EZwebのGoogle検索でアーティスト名や楽曲名を入力すると、検索結果上部に「着うたフル」「着うた」というジャンルが表示され、配信ページへダイレクトにアクセスできるようになっています。

 検索エンジンは、キーワードの一部分だけでも結果が得られます。他社を利用してきた方がauに乗り換えて、これまで使っていたコンテンツを探す場合、検索エンジンがあった方が見つけやすいでしょう。そういう意味で、「MNP利用者に検索エンジン導入の効果はある」と言えると思います。

――Google検索では、パソコン向けサイトを携帯向けに変換して表示してくれます。PCサイトビューアーとの関係はどうなるのでしょう?

勝木氏
 確かに「レイアウト変換で十分」という声もあるでしょうが、多くの画像が配されたページを見る場合、あるいはパソコン向けに配信されているメールマガジンを携帯で受信する場合など、PCサイトビューアーだからこそ閲覧できるというケースはあるでしょう。より多様な使い方を提供する、という意味で、1つに絞らずに両方提供していきたいと思っています。


――定額制音楽配信サービスの「ナップスター」が登場しましたが、着うたフルなどに影響はあるでしょうか?

勝木氏
 その動向は気にかけてはいますが、現時点ではさほど影響はないと見ています。邦楽チャート上位の楽曲が豊富な着うたフルは、CD発売前から聴けるなど、流行の最先端をキャッチするというスタイルに適しています。また、無線経由・パソコン経由のどちらでも利用できるという強みもあります。現在の音楽プレーヤー市場を見てみると、iPodが人気を得ている一方、ダウンロードの利便性から着うたフル配信が拡大しており、共存しているわけです。着うたフルが他の音楽配信サービスから影響を受ける、ということであれば、既にiPodに侵食されていてもおかしくないと思います。

 ナップスターは、定額制という料金モデルでの大きな違いがあります。ただ、現在の着うたフル、LISMOのビジネスモデルをごろっと変えるほどの影響はないのではないでしょうか。


ユーザーには音楽機能の良さを伝えたいという

ユーザーには音楽機能の良さを伝えたいという

――GPS機能もauのコンテンツを特徴づけるものと思いますが、ドコモも903iシリーズで搭載しすることになりました。

勝木氏
 当社のGPSサービスの場合、EZナビウォークの後にEZ助手席ナビを提供しましたが、これは成功パターンの1つと認識しています。徒歩や車と利用シーンに応じた、ニーズを絞ったサービスに仕上げることで、それぞれの機能を重宝されるお客様にきちんと利用してもらえるというスタイルですね。EZナビウォーク、EZ助手席ナビともに、最近では、女性のお客様が週末だけ都度課金で利用するケースが増えています。また、個人的には、雑誌などで気になったお店の位置情報をチェックして登録する、という使い方をしています。実際にお店へ行く場合、道に迷わずたどり着けるわけです。GPSは、生活に密着した機能だと実感していますし、携帯3社が揃ってGPS機能を提供することで、これからますます普及していくと思います。

 たとえばドコモさんを利用してきた場合、GPS機能に慣れている方は大勢ではないでしょうから、auに移行した場合は、スムーズに利用してもらえるように何らかの手は考えていきたいですね。

――auへの乗換に興味を持っている方には、最もアピールしたポイントと言えば?

勝木氏
 やはり音楽機能でしょうか。LISMOの再生プレーヤー(au Music Player)は、当社自身が提供するものです。端末メーカーを問わず、全て同じ使い勝手で利用できるのです。音楽を心ゆくまで楽しんでもらえるインターフェイスにしていますし、今後、新機種が登場しても、基本的な使い勝手は踏襲します。その辺りはお客様に訴求するポイントであり、魅力と捉えて欲しい点でもあります。また、他社よりもリードしている部分と言えるでしょう。

――ありがとうございました。

URL
  au
  http://www.au.kddi.com/


(関口 聖)
2006/10/20


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