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格安SIMは固定回線の代わりになるのか? 10GB最安クラスのDTI SIMで検証してみた

格安SIMというと、とかく「スマートフォンの料金が安くなる」ということばかりが注目を集めがちだ。しかし、最近では月間10GBなどの大容量プランも安価になってきており、自宅用のメイン回線として活用できる可能性を秘めている。そこで着目したいのが、「はたして格安SIMは固定回線の代わりになるのか」という点だ。

SIMフリーのモバイルルーターも複数登場しており、格安SIMをメイン回線として利用する環境も整いつつある。また、普段LTE対応のスマートフォンを利用している人であればお分かりの通り、LTEの通信速度は光回線並みとはいかないまでも、ADSL回線には全く引けをとらない。何より、工事なしですぐに使えるのが格安SIMのメリットであり、春から新生活を始める人にも最適だ。さらに、自宅用とモバイル用の回線を1本化できれば、大幅なコストダウンも見込める。

本稿では、通信量あたりの単価が業界最安クラスである「DTI SIM」を用いて、メイン回線としての格安SIMの可能性を検証してみたい。

格安SIMが固定回線の代わりになるかを「DTI SIM」で検証

固定回線よりも格安SIMが向いている人とは?

とはいえ、格安SIMが固定回線の代わりなるかどうかは、人それぞれの利用状況にもよる。そこでまずは、どんな人が格安SIMをメイン回線にするのに向いているのかという点から、格安SIMのメリットを考えてみたい。

はじめに、今回取り上げるDTI SIMのスペックを確認しておこう。ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)が提供するDTI SIMは、NTTドコモのLTE/3G網に対応したMVNO型のモバイル通信サービス。月間のデータ容量が1GB/3GB/5GB/10GBという4つのコースがあり、各コースともデータ通信専用の「データプラン」、SMSも利用できる「データSMSプラン」、音声通話対応の「音声プラン」が用意されている。

DTI SIMの料金プラン( http://dream.jp/mb/sim/ より)

※一度に大量のデータを送受する通信が一定期間継続した場合などは通信が制御される場合があります。詳しくはこちらをご覧ください

このうち、自宅用のメイン回線として候補になるのは、月間10GBという大容量のデータプランだろう。同プランの月額基本料は2200円(税抜、以下同)。つまり、自宅での1カ月の通信利用量が10GB以下の人であれば、メイン回線を月額2200円で運用できることになる。各社から提供されている光回線では、最安値がマンションタイプで月額3500円程度、戸建てタイプで月額4500円程度となっているため、料金だけを見れば、かなりお得といえる。

さらにDTI SIMでは、1GB/600円、500MB/380円でデータ容量を追加チャージできるため、月間10GB以上を利用することも可能だ。光回線のマンションタイプの最安値と比較しても、月間12GBまでの利用(2200円+600円+600円=3400円)であれば、DTI SIMの月額料金が下回る計算となる。

なお、光回線の安価なプランは2年間または3年間の自動更新型で、途中解約には違約金が発生する、いわゆる“縛り”のあるプランも多い。一方、DTI SIMのデータプランやデータSMSプランには“縛り”がなく、違約金が一切発生しない。音声プランについては、最低利用期間(12カ月)以内に解約すると契約解除料9800円が必要になるものの、以降、違約金が発生することはない。

月々に利用する通信量は多くなることもあれば、少なくなることもあるが、月間の通信利用量が平均して10GB前後となる人であれば、メイン回線を格安SIMにするのは有力な選択肢になるだろう。DTI SIMのデータプランやデータSMSプランは、契約期間を気にせずいつでも解約できるため、“縛り”のないシンプルなプランを望む人にも、格安SIMはおすすめだ。

これから引っ越す人にも最適な格安SIM

月額料金や通信利用量以外に、利用スタイルの面からも、格安SIMをメイン回線にするメリットを考えてみよう。

光回線などの固定回線のデメリットは、当然ながら自宅でしか利用できないこと。一方、格安SIMは、たとえばモバイルルーターに装着して使用することで、自宅だけでなく外出先にも持ち歩いて、いつでもデータ通信を利用できる。

通勤電車の中でタブレットを使ってニュースをチェックしたり、カフェでノートPCを使って仕事のメールを送受信したりと、さまざまなシーンでモバイル端末を活用可能だ。通信量制限を心配しながらスマートフォンのテザリングを利用していたという人にとっても、モバイルルーターを持ち歩くメリットは大きいだろう。

また、春からの新生活で引っ越しを予定している人なら、新居に固定回線を引くべきか悩むことがあるかもしれない。しかし、光回線などを新規で契約するには開通まで数週間かかることがあるほか、立会いの工事も必要になり、新生活の忙しい時期には何かと不便だ。

一方、格安SIMであれば、SIMカードが到着した日から利用することができる。また、引っ越し前から利用を開始していれば、新居ですぐにインターネットを利用でき、周辺のお店や公共機関を調べる際にも役に立つだろう。

もちろん、固定回線には高速通信を無制限で利用できるというメリットもあり、引っ越し予定のすべての人が格安SIMに向いているわけではない。だが、前述の通りDTI SIMのデータプランなどであれば、契約期間の“縛り”もないため、固定回線が開通するまでの繋ぎとして利用するという方法もある。実際に利用してみて、利便性やコスト面から格安SIMを継続するということもありそうだ。

※DTI SIMの通話機能・通信機能は、NTTドコモのスマートフォンでも使用できるが、テザリングはできない場合があるので注意してほしい

DTI SIMを外出先や自宅で使い倒してみた

それでは、実際にDTI SIMをメイン回線として運用し、その実力を検証してみよう。

まず試したのは、モバイルルーターでの運用だ。使用したモバイルルーターは、NEC製のSIMフリーモバイルルーター「Aterm MR04LN」。今回は固定回線の代わりとして使うため、別売りのクレードルも購入し、価格はクレードルと合わせて約2万5000円。DTI SIMの登録手数料3000円を加えると、初期費用はトータルで3万円弱となる。自宅のメイン回線を月額2200円に抑えられることを考えれば、妥当な初期投資といえるかもしれない。

NEC製のSIMフリーモバイルルーター「Aterm MR04LN」
モバイルルーターにDTI SIMを装着して、APN設定を行う

なお、DTI SIMは、ドコモのLTE/3G網に対応しているため、SIMフリーのモバイルルーター以外にも、ドコモの中古モバイルルーターでも利用可能だ。初期費用を抑えたいのであれば、中古端末を探してみるのもよいだろう。

格安SIMをメイン回線として運用する上で、クレードル付きのモバイルルーターを使うのは、王道ともいえるやり方だ。帰宅後にモバイルルーターをクレードルに設置すれば、充電しながらスマートフォンやタブレットなど複数端末から接続可能。次の日に外出する際には、モバイルルーターが満充電となっている。LANポートを備えたクレードルであれば、LANケーブルで有線接続することもでき、モバイルルーターとホームルーターの一人二役をこなしてくれる。

Aterm MR04LNは、タッチパネルで文字を入力できる
クレードルに設置すると、充電しながらデータ通信を利用可能

とはいえ、気になるのは通信速度や回線品質だろう。そこで外出時に新宿のカフェで速度を計測してみた。モバイルルーターに接続したノートPCからの計測では、通信速度は下り23.0Mbps/上り29.0Mbpsと良好。Webブラウジングやメールの送受信も快適に行うことができ、カフェで作業する際にも便利に使えそうだ。

職場に近い新宿のカフェで、DTI SIMを装着したモバイルルーターの速度を確認してみた
下り23.0Mbps/上り29.0Mbpsという結果に。速度計測はノートPCで行い、価格.comのスピードテストを使用している

自宅でも速度計測したところ、通信速度は下り17.2Mbps/上り13.8Mbps。こちらも、ADSL回線にも引けをとらないまずまずの速度といえる。WebブラウジングやGoogleマップの閲覧、Amazonプライム・ビデオなどの動画ストリーミングサービスの視聴も快適に行えた。また、ノートPC、スマートフォン、タブレットという3台の端末から接続し、すべての端末で同時にYouTube動画を再生してみたが、途中で止まることもなく視聴が可能だった。

自宅での速度計測の結果は、下り17.2Mbps/上り13.8Mbps。一般的な使い方であれば、ストレスなくインターネットを利用できるだろう
動画ストリーミングのAmazonプライム・ビデオもタブレットで快適に視聴できた

音声通話も含めて通信回線をDTI SIMにする方法も

音声プランのDTI SIMをスマートフォンに装着してテザリングを利用すれば、回線を1本化できる。今回は、Huawei製「P8lite」にDTI SIMを装着してみた

モバイルルーターにDTI SIMを装着し、快適に利用できることを確認できたが、モバイルルーターでの運用にはひとつ弱点がある。それは、スマートフォンで音声通話を利用したいのであれば、スマートフォン用のSIMカードを別途確保する必要があることだ。LINEなどの無料通話アプリや050番号のIP電話アプリを利用すれば、モバイルルーター経由のデータ通信だけでも通話はできるが、やはり090/080/070番号の音声通話が必要という人も多いだろう。

そこで、さらなるコストダウンのために試してみたいのが、音声通話もDTI SIMに1本化する方法だ。具体的には、音声プランに加入したDTI SIMをSIMフリースマートフォンに装着し、他の端末を接続したいときにはスマートフォンのテザリング機能を利用する。SIMフリースマートフォンをモバイルルーター代わりに使うというわけ。

DTI SIMのAPNを設定すればデータ通信を利用可能

なお、テザリングによりスマートフォンのバッテリーの減りが早くなることも懸念されるが、モバイルバッテリーを持ち歩いたり、速度は若干遅くなるもののバッテリーの消耗が少ないBluetoothテザリングを利用するなどの工夫をすれば、心配はないだろう。

このように、DTI SIMなどの格安SIMをメイン回線として運用する場合、モバイルルーターを使う方法もあれば、スマートフォンでテザリングを使う方法もある。各人の利用状況に応じて、使い方を選べるのもSIMカードのメリットだといえる。

テザリング機能により、スマートフォンをモバイルルーター代わりに使える
Bluetoothテザリングであれば、通信速度は若干遅くなるものの、バッテリーの消耗が少ない

ちなみに、モバイルルーターでDTI SIMを2日間運用したところ、通信利用量は986MBとなった。30日で換算すると約14.8GBになる計算だ。通信速度を計測したり、動画サービスを視聴したりと、いろいろ試したため、1カ月の目安となる12GBを超えてしまうが、普段通りの使い方であれば、月間10GBを超えることはないと思われる。自宅ではあまりインターネットを利用しないなど、メイン回線は月間10GBあれば十分という人は、ぜひこの機会にDTI SIMを検討してみてはいかがだろうか。

(Reporetd by 鈴木友博)

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