長く付き合っていけると強く感じた「Galaxy S6 edge」

 保育園に娘を送り届けたとき、先生に突然「いいね」と言われたのである。もう少しで2歳になる娘に着せていたウインドブレーカーが、僕の着ていたものと同じブランドだったので、「おそろいでいいね」という意味で言っているのだと思っていたが、その後妻から追加情報を聞き、敏感に反応されたことに得心がいった。

 どうも先生は山登りが趣味らしく、その道のアウトドアブランドとしてはわりと“本気”な部類に入る「mont-bell(モンベル)」のウェアを親子そろって着ていることに、並々ならぬ関心を抱いたようだ。なぜだか分からないが、mont-bellは彼女の中で高級ブランドという位置付けになっているらしい。

 たしかに廉価をウリにするようなブランドではない。でも、だからといって高級というのはちょっと誤解がある気がする。少なくとも個人的には、mont-bellの製品は、そのデザインや機能、性能に対して、相応か、むしろリーズナブルな値段で手に入れられるブランドという認識だからだ。

 とはいえ、人生で初めてmont-bellのショップで買い物をしたとき、買うべきかどうか商品棚の前で30分ほどうろうろしながら悩むくらいには高価に感じたこともある。しかし使い続けてきた今となっては、その値段に十分納得している。「Galaxy S6」と「Galaxy S6 edge」を手にしたとき、まさにそれと全く同じ感覚が脳裏をよぎった。

 身に付けていて、「こだわりがある」と他人に感じてもらえる程度に目を引くたたずまい。そのデザインも、機能も、性能も、全てにおいてこなれた端末。とりわけ「Galaxy S6 edge」は、それがかもし出す雰囲気だけでなく、実際に使い込んでみても、その第一印象からは一切ぶれることがなかった。mont-bellのアウトドアギアと同じように長く付き合っていけそうな予感が、使えば使うほど濃密になっていった。

単に機能と性能だけを追い求めない思想がそこにある

 僕は山登りは趣味ではない。全く登らないこともないが、定期的に山へ出かけるようなことはまずない。ハイキングもウォーキングも、まあ気が向いたときにするかな、というくらい。だったらなんでmont-bellなんか着ているんだ、などと思われてしまうかもしれないけれど、主には普段のお出かけ用&バイクギアとして使っているのだ。

現在使用しているmont-bellのアウター、インナー、ソックス類。これ以外にバイク競技時の転倒でボロボロになってしまったものが多数   山登りはそんなにしないが、それでも山登り用のブーツは持っている

 とくにバイク用としては、mont-bellをメインに使っている人はまれかもしれない。バイク専門のアパレルブランドがいくらでもあるし、それらが安全性能はもとより、頑丈さ、グローブごしでも扱いやすいポケットなどのユーティリティ性能、風によるばたつきを軽減する構造など、バイク乗車時やツーリング用途に最適な形で開発されているという点で、バイク専用品はメリットが多い。

 一方、mont-bellのギアはそのほとんどがバイク用に開発されたものではない。けれど、移ろいやすい山の天候やヘビーな使用環境という点では、実は市街地から山道まで、ハイスピードで駆け抜けるバイクと共通するところも少なくない、と思う。暑い日は風通しが良く効率的に熱を逃がすもの、寒い日は風を通さず熱を保持してくれるもの、突然の雨にも対応しやすい持ち運びの容易さと、雨の浸入を許さず、汗で蒸れない構造を両立したものなど、こういった要素はどれも山登りだけでなくバイクにとっても重要なポイントとなる。

mont-bellでは数少ないバイクギア「ストームバイカー」は、何度も買い替え3代目。軽量で薄手だが、防風・防水性能は高い   このショルダーバッグも防水性があり、頑丈。ちょっとしたお出かけには毎回連れていっている
ウィンドブレーカーにはスマートフォンの出し入れにちょうどいいジッパー付き胸ポケット

 そして、素材は強度に加え動きやすさも考慮され、防風・防水性能なども高いレベルにあるにも関わらず、デザインはシンプルで軽量だ。したがって、そこにはバイク専用品にはないスタイリングが存在する。バイク専用品で装備を固めることによる、「いかにもなバイク乗り」感が排除され、ツーリング先でバイクを降りて街を散策する際にも仰々しさがない。ありていに言えば、他人と差別化したおしゃれさを演出できる(と信じている)。

このフィット感の正体は、何なのか

 話を「Galaxy S6 edge」に戻そう。

 「Galaxy S6 edge」のデザインは、きっと誰が見ても洗練されていると思うはずだ。約7.0mmの薄さと、左右両端がなで肩になったデュアルカーブのディスプレイ、表面と背面の両方に採用したゴリラガラス4、微妙な曲線を描くサイドの金属フレームによる上質なフォルム、見る角度によってさまざまな色合いを映し出す独特の塗装……。

なで肩のエッジで、薄い7mmの筐体

 これまでのGalaxyシリーズとは一線を画す筐体デザインで、“ハイソ”なイメージを前面に押し出した一品なのかと思いきや、実際に手に取ってみれば、ガラス素材の優しい肌触りで、意外なほど手になじむ。約5.1インチという大型ディスプレイでありながら、エッジがカーブしているせいか、それとも約132gという軽さのせいか、持ち感は軽快で大きさが気にならない。このフィット感は一体何なのだろう。

軽く触れるだけで精度高く認識してくれる指紋認証機能付きホームキー

 さらに電源を入れて使い始めたところで、不可思議なフィット感はその度合いをますます強める。瞬時に利用者本人であることを認識してホーム画面にアクセスできる高精度な指紋認証機能、指先に吸い付くような画面スクロールの滑らかさ、明らかにスピードアップを感じる通信処理……。

 ついに8コアへと到達した最大2.1GHz駆動の64ビットCPUと、最新のLPDDR4メモリ、キャリアアグリゲーションによる最大225Mbpsの高速通信などのおかげで、全くのストレスフリーで操作できることも、これまでにないくらいにフィットしているような感覚が得られる理由なのだろうか。

 画素数が16メガピクセルのカメラは、きめ細かく、明るく描写するだけでなく、軽快にシャッターを切っていけるうえ、4K動画撮影にも余裕で対応する。1440×2560ドット、WQHDのディスプレイは、それらの高解像度映像を可能な限り鮮やかに映し出す。どうにも強烈なスペックではあるけれど、しかしそのコンパクトな筐体の内にさりげなく押し込んで、ひけらかさない。

 その他の機能を見れば、当然のようにおサイフケータイとNFCに対応しているのに加え、この薄さでワイヤレス給電技術の「Qi」を何食わぬ顔でサポートしている。本格普及が進むハイレゾ再生に対応するどころか、ビクターが開発する高音質化技術「K2HD」まで搭載し、ユーザーごとの耳の聞こえ方に合わせて音質をカスタマイズする「Adapt Sound」機能もある。

ワイヤレス給電のQiに対応   カメラは1600万画素
横には心拍センサーまである   ハイレゾ再生に対応   いくつもの音質改善技術を搭載   ユーザーごとに異なる耳の聞こえ方に合わせられる「Adapt Sound」機能

そのポテンシャルを、全て理解する必要はない

 「Galaxy S6 edge」は、言うまでもなく、スマートフォンだ。ネットに接続し、アプリを使い、ユーザーのしたいことをかなえてくれるという点で、他のスマートフォンと変わるところはない。性能は高いし、機能も恐ろしく豊富だが、いかにもな「ハイスペック感」を主張することなく、じっと内に秘めてユーザーに使ってもらうのをひたすら受け身で待っている。ただ、一度使い込んでみれば、その性能、機能にあっという間にとりこになる。

 mont-bellと同じなのだ。初めて目にした時に一瞬だけ感じた、ハイソな雰囲気で手に取りがたい「ちょっとよそ行き」な顔。それでも使い始めてみれば不思議なほどフィットして、勝手に「自分に似合うんじゃないか」と思ってしまうような寛大さ。使っていくほどに新しい機能を発見し、どこまでも深掘りしていけそうなポテンシャル。しかしその全てを理解しなくてもかまわない。

 だって、身に付けているだけで、分かる人には分かってくれるし、必要なことを必要な時に必要なだけ使えばいいのだ。それがスマートフォンではないか。そもそも使い続けておそらく10年近く、3代目になるmont-bellのレインウェアに、内ポケットがあることをつい2週間前に初めて知ったくらいである。情けないといえば情けない。最初からその機能に気が付いていれば、たしかにその便利さを10年近く満喫できていただろう。でも後から気付いたことで、この製品を選んで間違いではなかったと改めて確信する。ますます好きになる。

控えめに言いすぎたかもしれない

「Galaxy S6 edge」のエッジ部に時刻、天気、ニュースなどを表示できる

 いや、この際だからもっと正直になろう。そうだ、僕はバイクに乗る時にmont-bellを使っている。それなりに高級と人に思わせるようなアウトドアブランドを身にまとって、一般のバイクウェアとは違う個性を見せびらかしたい。こんなに性能が高くて、機能も優れていて、デザインだって大好きだ。まあちょっと値が張るかもしれないけれど、こんなに実用的で、見た目もいいのに、むしろなんで使わないの? と周りのバイク乗りに言いたい。

 「Galaxy S6 edge」も、会う人会う人に見せびらかしたい。なんか今までのスマートフォンとちょっと違わないか? 画面が大きいのにコンパクトだし、軽い。エッジスクリーンの控えめなカーブもよく見てほしい。それにこのエッジ部分でいろんな情報を表示できたりする。いいからちょっと使ってみてくれ。8コアで性能もすごいんだ。なんだか素人くさいアピールだけれど、たぶんその場で魅力を伝えるのに「Galaxy S6 edge」のディティールを事細かに言う必要はないのではないか。見てもらって、気付いてくれるだけでいい。

 親子そろって同じmont-bellのウェアを着て、保育園の先生にブランドにこだわっていると思われた時、正直に言えば悪い気はしなかった。そうだよ、もともとおしゃれには興味はないが、自分がいいと感じたものは長く使い続けたいと思うし、そのこだわりにも気付いてほしいんだ。「Galaxy S6 edge」だって、少し使っただけで気に入ったわけで、新たなこだわりの一品としてずっと使い続けていきたい。

 いつかウェアではなく、子供とおそろいのスマートフォンを持って行ったら、学校の先生に気付かれて「いいね」と言われるような日が来るのだろうか。だとしてもまだまだ先の話だし、「Galaxy S12 edge」くらいにはなっているだろうし、あるいはもうその頃には今の形のスマートフォンではないかもしれないけれど。

(日沼諭史)

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