ケータイ Watch
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iモード FeliCa関係者インタビュー
柔軟にニーズを捉えて「Edy」普及を図るビットワレット

 NTTドコモが7月開始予定の新サービス「iモード FeliCa」は、“おサイフケータイ”と銘打たれている。財布と言えば、お金を扱うことになるが、iモード FeliCaにおいて、その役割を果たすのが、ビットワレットが提供する電子マネーサービス「Edy」だ。

 コンビニエンスストアのam/pmなどで買い物する際に使える「Edy」は、これまでFeliCaチップを内蔵したカードで利用されてきた。パソコン向けのリーダ/ライタも用意されており、実際の店頭だけではなく、インターネット上のショッピングサイトによっては、決済手段の1つとして利用可能だ。

 iモード FeliCa開始時に発売される携帯電話全てに、「Edy」のiアプリが最初から用意されており、端末購入直後に専用アプリ内でちょっとした手続きをすれば100円分のEdyがすぐ使える状態になる。

 このようにiモード FeliCaの各種サービスの中でも、利用頻度が高まると予想される「Edy」は、いったいどのようなサービス内容なのか。ビットワレットの担当者へのインタビューを交えてその詳細を紹介しよう。


iモード FeliCaにおけるEdyとは

 カード型で展開してきたEdyと、iモード FeliCaにおけるEdyは、基本的に似た使い方になる。つまり、店頭で何か物品を購入する際に現金の代わりに決済するという形だ。もちろんプリペイド型なので電子マネーとして使うためには、あらかじめ入金しておかなければならない。これは「チャージ」と呼ばれる行為で、カード型では加盟店のレジや専用端末「Edyチャージャー」でチャージできる。

 iモード FeliCa対応端末へのEdyのチャージは、カード型と同様にレジや携帯電話対応の「Edyチャージャー」に加えて、iモード経由でも行なえるようになっている。iモード経由の場合は、クレジットカードで“現金相当の価値を買う”という形になり、1回あたり3,000円以上かつ1,000円単位で、最大25,000円までチャージ可能だ。ちなみに端末内の残高上限は50,000円となる。

 通信と連携できるというiモード FeliCaの特性を活かした新たなサービスとしては、iモード経由のチャージのほかに、キャンペーンなどで企業などからエンドユーザーにプレゼントされるEdyをその場で受け取れるようになる「Edyギフト」や、iモードサイトなどでショッピングする際に決済手段として利用可能な「Mobile Edy」といった機能が用意されている。

 また、携帯電話が水没などで故障した際に、スムーズに残高を返還してもらえるよう「Edyレスキューサービス」が用意される。事前登録の場合、同サービスは登録料105円で利用可能だが、故障後に返還を望む場合は、事務手数料315円で返還される場合がある。

 なお、iモード FeliCa対応端末を購入した場合、Edyのiアプリを立ち上げて初期設定を指示に従って行ない、その後「Edyギフト」を見ると、“100円がプレゼントされる”という状況になっている。これを受け取ると手元の端末内にEdy100円分がチャージされる。


iモード FeliCaに対応する4機種 iモード FeliCa発表会で披露された、携帯電話対応のEdyチャージャー

7月1日からは一部のサークルKとサンクスでも利用可能に

ビットワレット ネットワークビジネス部 ビジネス推進課 課長の藤田 憲彦氏
 これまで、通信とほとんど無縁だったEdyが、iモードと連携することになるまで、どのような経緯を経たのか。同社ネットワークビジネス部 ビジネス推進課 課長の藤田 憲彦氏に話を聞いた。

−iモード FeliCaがスタートして、最初にEdyが使えるのはどのようなところになるのでしょう?

藤田氏
 「7月1日から新たに東海地域のサークルKとサンクスで使えるようになります。サンクスについては北海道の道央・道南にある店舗も新たに利用できる店舗です。また、『甘太郎』などを展開するコロワイドグループですね。こういった新規加盟店を含め、7月末時点で全47都道府県、約9,000店でEdyが利用できるようになる見込みです。大崎周辺のようにどこでも使えるというわけではありませんが、加盟店への申込が急増していますので、手応えは感じています。これはやはりiモード FeliCaの存在が大きいと思ってます」

−ビットワレットとして、特定の地域を強化するという施策は採れるんでしょうか?

藤田氏
 「ビットワレットが自立的にターゲットを広げていくというのは限られた範囲になってしまうと思います。できたとしても、たとえば首都圏の再開発地域だけという形になるのではないでしょうか。これまで北海道や九州、沖縄といった地域に対しては、全日空さんとの提携によって、“マイルが貯まる店を広げましょう”という形で拡大してきました」


携帯との連携は宿願だった

Edyの使い方を案内する「おさいふ犬」も誕生した
−そもそもiモード FeliCaでEdyを使えるようにしようという話は、どのような経緯だったのでしょう?

藤田氏
 「iモード FeliCaというものに対して動き出したのは2年前なんです。しかし、さかのぼると(ビットワレット執行役員の)宮沢がドコモさんの門を叩いたのは1999年です。ビットワレットが誕生する際から、構想は立ち上げメンバーの中にあり、ドコモさんに対してこういうことをやりませんかと言って、会社を設立したわけです」

−ようやく願いが叶ったということなんですね。

藤田氏
 「そうです。宿願、悲願に近いものがありますね。ビットワレットが誕生したのは2001年で、当時はFeliCaの知名度もさほどなかったと思います。我々はその年の11月にEdyの提供を開始しましたが、同じ月にJR東日本さんのSuicaも登場しましたので、“FeliCa元年”と言えるでしょうか。最初は、タッチして支払えるという形は理解されにくいだろうと考えましたので、社員証にEdyの機能を入れてもらうことで認知度を高めようとしてきました。

 プリインストールの話は、10カ月ほど前から構想がありました。プリインストールする理由は、やはりiアプリを使うものですから、お客様にダウンロードしていただく必要があります。これは1つのハードルですから、ドコモさんも我々も気にしていたんです。そこでプリインストールされていれば、お客さんに訴えかけやすいというメリットがあります」

−他社に対しては大きなアドバンテージになりますね。

藤田氏
 「確かに初期設定さえしてもらえれば使える状態になってるわけですから有利とは思っています。社内も盛り上がってますね」

−「おさいふ犬」というキャラクターも発表されました。

藤田氏
 「携帯電話にEdyが載れば、従来のユーザーに加えて、学生も含まれるようになるだろうと考えました。それまでは全日空さんと提携して、マイルと連携できるようになっていましたし、東京の汐留など再開発地域でどんどんEdyが使えるようになっていますので、ビジネス層にはアピールできているとは思いました。しかしそれでは、新たなユーザー層には届かないだろうと。そういう視点で、1年前から『おさいふ犬』の開発に取り組んできたのです」


プリインストールされる“100円”

−最初から使える「100円」という金額はどのように決まったのでしょう?

藤田氏
 「1つは景品表示法ですね(※景表法では、懸賞以外でプレゼントする、つまり“総付景品”の場合、上限がある)。それから50円や80円という金額はどうなのかという議論もありましたが、それは中途半端ですから最大限の額にしようということです。また100円だけでは、たとえば飲料水を買う場合、あと少しはチャージする必要がある金額ですよね。ちょっと強引かもしれませんが、プリインストールされていますし、ちょっと使っていただければと思います」

−総額としてはかなりの投資になりますね。

藤田氏
 「新しいものを普及させるためには、ある程度大きな投資がなければなかなか広がりません。少額では認知されませんから」


iモードとの連携で新たに生まれた課題

−カード型のEdyとiモード FeliCaのEdyでは、どのような違いがあるのでしょう?

藤田氏
 「iモード FeliCaでのEdyは、基本的にカード型と全く同じ機能でありながら、携帯電話向けのアドオンとして新たなサービスであるという位置付けです。わかりやすい大きな違いは、携帯電話に搭載されることで、残高確認ができるようになることでしょうか。やはりカード型を利用されているお客様からの要望がありましたから。それからチャージという行為は面倒くさいという声がありましたので、iモード経由でのチャージも要望に応えた機能の1つです。

 携帯電話ならではの課題としては、機種変更が挙げられるでしょうか。それまで使っていた端末にEdyの残高があり、新機種に乗り換えるからと言って、残高を諦めてくださいとは言えません。どの程度利用されるかわかりませんが、機種変更への対応としてEdyの“お預けサービス”を用意しました」

 Edyの「お預けサービス」とは、Edyの残高をサーバー経由で別の携帯電話へ移し替えるための機能だ。登録手数料として105円必要だが、iアプリのメニューから「Edyのお預け」を選択し、必要事項を入力すればサーバー側にEdyの残高が移行する。そして機種変更後に新たな端末で初期設定してiアプリ内の「Edyのお受取り」からサーバー上のEdyを新端末に移せる。なお、預けられる期間は最大で90日間となっている。


−そういった手続きは、はたしてユーザーに理解してもらえるでしょうか?

藤田氏
 「お預けサービスや、故障時のレスキューサービスは、既存のEdyカードを利用しているユーザーにとっても新たなサービスですから、認知されるには時間がかかるかもしれません。ただ携帯電話のユニークな点は、ユーザー間の口コミ速度が非常にスピーディという点です。コアユーザーの方が1人でも使い方をマスターしていただければ、次々に伝播していくことを多少は期待しています」

−お預けサービスやレスキューサービスは新たに提供されるサービスとのことですが、どのようなリスクがあると認識されているのでしょう?

藤田氏
 「カード型との比較になるんですが、カードが破損したり、強力な磁石に接触したりした場合でもEdy番号は判明します。Edy番号があればサーバー側のデータを参照することで返金できました。しかし携帯電話にはEdy番号が刻印されるわけではありません。携帯電話が水没などしてしまうとiアプリも立ち上がらず、FeliCaチップも壊れてしまう可能性がある。この状態で正しくお客様に返金しなければならないというハードルをクリアするところからサービスの設計がスタートしました。お客様のEdy番号をどうやって突き止めるのか、これが大きな課題で非常に悩みました。

 今回ドコモさんと端末メーカーさんとは、膝をつき合わせて、運用面を含め、何度も打ち合わせを行ないました。さまざまなアドバイスや働きかけをしてもらって、多くのことを学びました。ですからビットワレットだけではなく、ドコモさんやメーカーさんと共にやってきたという思いがあります。

 そうした話し合いを通じて、結局解決法としては、最初にお客様に個人情報を登録してもらえば、その情報を通じてEdy番号がわかるだろうということになりました。そのEdy番号の残高は、サーバーに記録された入金と利用額の論理値で突き止められるのです」


−キャリアとメーカーを通じて、各ユーザーとEdyを紐付けられるわけですね。

藤田氏
 「そうですね。ただしドコモさんやメーカーさんからは一切個人情報を頂いていません。ですからEdyを利用していただくにあたっては、任意ですが、最初に個人情報を登録していただくわけです。そうなれば、もし携帯電話が故障してもなんとか残高をお返しできるのです。個人情報さえ登録していただければ何らかの方法があるとお客様に伝えたいですね」

−もし、個人情報の取り扱いが緩やかであれば、携帯電話を紛失した場合、NTTドコモへ連絡するだけでEdyを使えないようにするということも可能なんですね。

藤田氏
 「個人情報を全て共有できれば、確かに可能です。しかしそれはできないわけですから、Edyを利用していただく場合は、任意で登録していただくわけです。もちろん個人情報を取り扱うという点もハードルの1つでした。というのも、カード型の特徴の1つが匿名性でした。たとえばコンビニエンスストアで買い物される場合に、個人情報を明かすことなく決済できるということです。

 今回、iモード FeliCaのEdyで個人情報の登録を求めることは、既存のカード型とポリシーが異なるわけですから、整合性をとらなければなりませんでした。そこで、今回は任意の登録にしたわけです。どうしても登録したくないというお客様は、カード型同様に決済などに利用していただけますが、いくつか利用できない機能があるという形にしました」


紛失しても返金される可能性がある

現金でiモード FeliCa対応端末にチャージしているところ。それだけの価値が入っていることを常に意識すべきだろう
−iモード FeliCa対応の携帯電話を紛失して、Edyの残高が手元から無くなった場合は、財布を無くしたのと同じ危険性があるということはまだまだ納得されていない状況です。ビットワレットは、どのようにアプローチしていくのでしょう?

藤田氏
 「そういった声は真摯に受け止めなければいけないと考えています。安心して使っていただるものでなければ、サービスとして生き残れませんから。従って、そういう声に対して、何らかの対処をとっていくことが大前提になります。まもなく正式サービスが提供されますが、現時点では可能な限り最善を尽くしたものとなっています。これからユーザーさんの声を聞いて、使い勝手の向上や安心感を提供していきたいですね。

 たとえばF900iCには、“遠隔FeliCaロック”という機能がありますが、携帯電話を紛失してもロック状態になればEdyを返金するということが将来的には考えられます。技術面で進化していけば、我々もそれに沿ったサービスを提供していきたいですね」


 たとえば財布をどこかで紛失した場合、運が良ければ無傷で手元に戻ってくることもあるだろうが、その一方で中に入れていた現金がそのまま消えてしまうケースも考えられる。これはカード型で提供されているEdyでも同様だが、iモードと連携できることで、Edyは返金される可能性がある。これは現金にないメリットに育っていく可能性もある。

 iモード FeliCaでEdyを利用するのは、カード型を使う場合とほぼ同じ意識で利用できる形になっているが、藤田氏は「携帯電話に現金と同価値が入っているという意識は持って欲しい」と語っていた。

 従来の携帯電話でも、機能が高度化する中で友人などの電話番号を含めて、さまざまな個人情報が記録されている。それだけに重要な存在ではあるが、Edyが使えるということは、さらに携帯電話へ注意を払わなければならないと言えるだろう。なお、Edy番号はカード型では刻印されていることもあり、他人に知られても問題ないという。


実装での苦労したポイント

−実際にiモード FeliCaでEdyを提供するにあたって困難だったことは?

藤田氏
 「まずiアプリそのものが初めてのことでした。現在は、ドコモさんや端末メーカーさんと話し合ったおかげで、iアプリだけではなく運用についてもさまざまなノウハウが蓄積されたと思っています。

 実装する際にあたって、苦労したポイントとしては、携帯電話は機種ごとに特性が違っているということ。Edyは、パソコンでも利用できるもので、これまでは基本的にWindowsなどのOSに対応するだけでした。iアプリは、Javaと言う意味では同じプラットフォームと言えるかもしれませんが、実際は、画面表示が崩れないようにしたり、効果音が同じように鳴るようにしたりするという点で、機種ごとに異なります。それをどれだけiアプリで吸収できるかという点で非常に苦労しました。

 Edyのiアプリは、軽いものに仕上げています。トップ画面はローカルですが、主なメニューはオンライン経由で表示されることになります。これは後から機能やサービス、あるいはキャンペーンを追加しても動的に変更できるというメリットがあります。これによって4機種にプリインストールされるという難問をクリアしたのです。もし各機種ごとに個別のiアプリを制作するのであれば、10カ月間というスケジュールでは間に合わなかったでしょう。

 このiアプリの構造は、iモード FeliCaにおけるEdyの姿勢に基づいたものと言えます。正式サービスがスタートすれば、どう利用されるのか、全てを想像することはできませんので、お客様や加盟店さんの声に臨機応変に対応していく必要があります。完成された状態にすると対応できないものがでてくるでしょう」

−PDC端末で利用する場合、パケット通信料が気になりますね。

藤田氏
 「決済自体は、FeliCaチップ内の残高を使います。また、iアプリを利用するケースというのは、ほとんど残高照会になると考えています。これはローカルに保存されている情報ですから、iモード通信は行ないません。もし通信するとすれば、iモード経由でのチャージやEdyギフトになるでしょう。これも一度チャージすれば数日後に再チャージというケースになるでしょうから、毎日通信するというケースはほとんどないのではないでしょうか。従って、月間のパケット通信料は大きなものにはならないと思います」


iアプリでEdyの使用履歴を確認しているところ
−iモード FeliCaのプレビューサービスではFOMA端末は利用されていませんでした。しかし今回の正式サービスでは、「F900iC」が提供されますが、不安ではありませんか?

藤田氏
 「iアプリをブラウザに近い形、できるだけ軽いものにしたのは、FOMAで何らかの問題が出る場合に、その影響を最小限に抑えられるように備えたものでもあります。開発段階からFOMAで利用されることは想像していました。そういう対策がありますので不安はありません」

−ちなみにFOMAカードを従来使っている端末から、別の端末へ移し替えた場合はどうなるのでしょう?

藤田氏
 「それまでEdyを使っていた端末は、FOMAカードがなくとも、残高がある限り、使用できます。ただし通信できませんのでiモード経由でのチャージなどは不可能です。新端末でEdyを使う場合は、お預けサービス経由でEdyを移すといった手続きが必要ですし、まず初期設定からスタートする必要があります」

−お話を伺っていると今回のサービスは、iモードに特化したものと思えます。他の携帯電話事業者も非接触型ICを利用することに意欲を見せていますが。

藤田氏
 「新たにサービスを構築する必要があるのではないでしょうか。先に述べたように、今回はドコモさんと端末メーカーさんとかなり話し合いを重ねていますから、他のキャリアが非接触ICをやるという話になった場合、既存のシステムがそのまま適応できるかどうか正直わかりません。もちろんこれはEdyを提供しないという話ではありません。インフラとしては、より多くの対応端末がある方が良いでしょうし、それに対してお話があれば、我々もやっていきたいですね」

−ちなみにプレビューサービスの間、問題はなかったのでしょうか?

藤田氏
 「なかったですね。むしろiモード経由でのチャージなどは便利だと言っていただけましたが、その場合、現金にまったく触れないままEdyの残高を増やせますので、お金を使ってる感覚がなくなり、やや使いすぎるとも言われました。これで内需喚起に寄与できるかもしれませんが(笑)、我々としては楽しく使っていただければ嬉しいですね。堅苦しいスタイルではなく、さまざまな声を謙虚に受け止めて、どう対処していくかというのが主眼です。

 また、上限が50,000円になっていますが、確かにこれは一般的なユーザーさんにとっては常に満額になっているかどうかわかりません。ポイントは“上限がある”ということですね。100万円入れられるのであれば、落としたときのリスクが高すぎます。この上限額については、現時点で特に要望などは寄せられていませんので妥当な水準なのかなと思います」


−Edy側で対応した新たなセキュリティ対策はあるのでしょうか?

藤田氏
 「社内では、個人情報を取り扱うようになるということで、取扱レベルを数段上げました。またサポートセンターを設けたことも変更点の1つでしょうか」

−大げさな話かもしれませんが、“電子スリ”というものに気をつける必要があるのでしょうか?

藤田氏
 「Edyの場合、“シャリーン”という音が鳴るようにしています。これは1つ、大きな対策になるのではないかと思います。カメラ付き携帯電話のシャッター音に近い存在かもしれません。元々は、使用感を与えるために音を入れたのですが、結果的に防犯対策になり得ていると思います。もう他の音には変えられないですね」

−極端な例ですが、“クローンEdy”の心配はありませんか?

藤田氏
 「それは無理でしょう。店頭で使用したとしても、レシートに残るのはEdy番号と残高程度です。それを元にクローンを作るのは、よほどシステムに精通していないと不可能です。システム側のセキュリティレベルにもいろいろあって、FeliCa側でやっているものやEdy側でもデータを暗号化しています。クレジットカードであれば、高額使用も考えられますが、Edyでは上限額が50,000円ですから、そういった犯罪をするメリットも少ないのではないでしょうか」

−たとえばEdyの決済をした瞬間に、通話などの携帯電話の処理があった場合どうなるのでしょう?

藤田氏
 「問題ありません。繰り返しになりますが、プリインストールされることで、端末メーカーさんとさまざまなやり取りがありました。携帯電話の試験は数多くありまして、Edy関連でも多くの試験項目をこなしました。Edyの決済を行なった瞬間に着信があった場合というのもその1つですね。また、Edyの使用中にトンネルに入ったり、サービスエリア外になったりして圏外になった場合のテストも行なっています」

−チャージ中に圏外になった場合はどうなるのでしょう?

藤田氏
 「チャージが完了するのは、完了画面が出て残高が表示された時点です。それ以前に圏外になって通信が途絶した場合、もう一度ユーザーが通信するとサーバー側から端末側へ、途絶した時点のデータになるよう同期します。もし途絶したまま、つまり同期しないまま、Edyを利用しようとした場合、FeliCaの機能として、いつもと違う音が鳴るというように何らかの形でユーザーさんに通知されます。このほかにも使用中に手が滑って、トイレの中に携帯電話を落としてしまうというケースもテストしましたね」


これからのEdyの姿

−iモード FeliCaで使えるようになることで、どうなっていくと考えていますか?

藤田氏
 「携帯電話ですから、未成年の方々に使っていただける機会が増えると思います。そういった面で現金対応のチャージ端末を普及させたり、たとえば銀行口座からチャージできるというようなチャージ方法を増やしていきたいですね」

−電子マネーを扱う他社の動きはいかがでしょう?

藤田氏
 「どこまで競合するのか、という点がありますが、我々の基本スタンスとしては敵対するわけではありません。FeliCaを使うと言うのであれば、一緒に広めていきたいですね。後はユーザーさんや加盟店さんからの声に応えて、競争力をつけていくことになるでしょう。今回は最初にサービスを開始できるといったアドバンテージがありますから、それを活用して新たなサービス、ソリューションを提供していきたいと考えています」

−JR東日本のSuicaは大きな脅威になるでしょうか?

藤田氏
 「ある部分で脅威にはなるでしょうが……電子マネーの場合、小銭を扱う必要がないからという点だけ、あるいは単なる決済手段というだけでは、店舗側は導入しようという気になりません。そんなに甘い物ではないんです。CRMと深く結びついて、どういったメリットがあるか、きちんと提案していかなければなりません。我々は、加盟店を増やすために、全日空さんと提携するといった施策を行なっているわけです。加盟店の厳しい要求に応える形にならなければ、どんな電子マネーでも簡単に導入されないでしょう。

 また、他のiモード FeliCa向けサービスには、Edyを利用されるケースがあります。これらの事業者にとってはFeliCaに精通するよりも、Edyを軸にしていただければ、新たなサービスを提供することができます。極端な話、携帯電話やFeliCaについて全く知らなくても、Edyの加盟店になれば携帯電話を有効なツールとして活用していただける。そういう点をもっとアピールしていきたいですね」

−ありがとうございました。

 日本において、現金への信頼感は絶大なものがある。その一部の役割を担おうとするEdyは、利用できるシーンが拡大すればするほど利便性が飛躍的に高まることが期待される。一方で藤田氏は「従来は存在しなかったサービスであり、そういったものに対する恐怖感、警戒心は人間として本能的に持ってしまう」とも指摘していたが、それに対する短期的な解決手段は存在しないだろう。今後NTTドコモやビットワレット、本誌も含めて、正しい情報を広く伝えていくことが重要だ。

 また同氏は「Edyは、固有の番号があることで、ドアの鍵としても活用してもらっている」ことも明かした。Edyは、貨幣と同等の価値を持つだけではなく、まったく異なる機能を持てるという非常にユニークな存在だ。iモードとの連携によって、我々の生活にどのような影響をもたらすのか、これからも本誌ではさまざまな疑問に応えるべく取材を続けていく。



URL
  ビットワレット
  http://www.edy.jp/

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(関口 聖)
2004/07/06 12:56

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