ケータイ Watch
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キーパーソンインタビュー
ドコモ辻村氏に「DoCoMo 2.0」時代の戦略を聞く

 904iシリーズの発表と共に、NTTドコモは「DoCoMo 2.0」と題したプロモーションを展開している。「DoCoMo 2.0」という言葉が登場するに至った背景と、その内容について、NTTドコモ取締役常務執行役員の辻村清行氏に聞いた。


MNP以降の動向分析

NTTドコモ辻村氏

NTTドコモ辻村氏
――DoCoMo 2.0という言葉が話題となっていますが、その前に、昨年10月の携帯電話番号ポータビリティ制度(MNP)開始〜904i登場までを、ドコモではどのように分析・判断しているのでしょうか?

 MNPについては、インパクトとしては当初言われていた数値よりも流動数は少なかったと思います。ただ、MNP利用者数で見るとドコモからのポートアウトが多く、“1人負け”と言われてますが……このあたりは、やはり反省すべきところがあると思います。たとえば、エリアに対する不満ですね。FOMAでは、それまでも一生懸命エリア拡大に努めてきましたが、その部分は乗り切れなかったと思います。また、料金についても「高い」という認識に対して十分に対応できなかった。そういったところで、不満を抱く層が出てきたと思います。

――MNPに対して、一部報道で言われているように「敗北した」と考えたのでしょうか?

 数値上で、ポートアウトのほうが多かったというのは事実です。ただ、(ユーザーの)絶対数が多いですから、同じ率の流出量であれば、当社のほうが他社より数値上では大きくなります。とは言え、こういった状況がわかるようになってきましたから、マイナスが続いていることは反省しなければいけないと思います。

――それでも、結果的には純増となっていますね。

 もちろん敗北したとは受け止めていません。むしろ、MNPの影響がどんどん少なくなってきています。3社間の出入りにこだわって、本当にやるべきことを怠るのが一番まずい。ドコモとしては、流通業や交通、コンテンツホルダーとともに、有用でさまざまなサービスを展開していくというのが重要なのでしょう。


DoCoMo 2.0は、ドコモのメッセージ

――MNP開始から現在までの流れは「DoCoMo 2.0」に繋がっていったのでしょうか?

 完全に無関係というわけではありませんが、直線的には繋がっていません。“反撃”という言葉はちょっと刺激的ですが、「DoCoMo 2.0」は、将来の携帯電話に対して、ドコモとして他社より一歩先に決意表明したという意味になります。つまり、携帯電話としては今後、何らかの“クァンタムリープ”(量子的な飛躍、ここでは革新的な変化の意)があるのではないかということです。

 たとえば当社が推進してきたおサイフケータイは、小売店や流通網など、マクドナルドやファミリーマート、イオンなど各社と提携してきました。これらの動きを受け、おサイフケータイは、広告宣伝やCRMとして、マーケティングのやり方を変えていくのでしょう。

 もう1つは携帯のブロードバンド化ですね。HSDPA搭載を今後ますます強めていこうと考えています。一度、HSDPA対応機種でiモードやメールを利用すると、そのスピーディさはもう辞められません。これから音楽や映像、地図情報をどんどんダウンロードしていくことになるのでしょう。これまでもサービスとしては提供していますが、今後は、さまざまな局面で従来と異なるフェーズに移行すると思います。

 さらにユーザーインターフェイスについても、革新すべきところがあります。たとえばブラウザの拡大縮小はもっとスムーズに動作していい。そうなると、たとえば地図サービスはもっと使いやすくなるはずです。最寄りのマクドナルド店舗がどこにあるか調べ、トルカのクーポンで購入するという流れで使えるわけです。こういった携帯ならではの機能が新しい局面として出てきます。いわば「携帯のPC化」が今後進められていくことになるのでしょう。

――そのような内容は、おサイフケータイが登場した頃から語られてきたと思います。


4月22日に開催された904iシリーズ発表会で、「DoCoMo 2.0」というメッセージが明らかにされた

4月22日に開催された904iシリーズ発表会で、「DoCoMo 2.0」というメッセージが明らかにされた
 ええ、イメージとしては語られてきましたが、現実感がありませんでした。しかし、他社との提携やブロードバンド化が実現し、かつて想像されてきたことが、いよいよ現実的になってきた。そこで「DoCoMo 2.0」と打ちだしていくことになったのです。

――904iと新サービスの発表とともに、「DoCoMo 2.0」と打ちだされたことで、「904iや2in1が2.0?」とも考えましたが、実際はどうなのでしょうか?

 “one of them”(全体の一部)ということですね。「DoCoMo 2.0」については、たとえば半年後に「3.0」と言い出すつもりはありません。「DoCoMo 2.0」という言葉で提起する概念は、プロモーション活動は別として、少なくとも2〜3年は続くものです。それは携帯のPC化や、先述した内容であるということです。


競争環境について

ドコモの強みは新たな価値創造と高速化が強みと語っていた辻村氏

ドコモの強みは新たな価値創造と高速化が強みと語っていた辻村氏
――他社との競争が続くわけですが、NTTドコモのアドバンテージ、あるいは課題はどのように捉えていますか?

 強みは、おサイフケータイを核としているところでしょうか。つまり、リアルとサイバーの融合という話がありますが、ショッピングしたり鉄道を利用したりするリアルの世界をサイバーの力で、より便利にできる。この新しい価値の創造という点は、当社が先行していますね。

 また、ブロードバンド化についても、他社も進めていますが、当社も着々と進めています。そしてグローバル化という点ですね。当社のラインナップにもGSM方式に対応した機器を増やしており、日本だけではなく、世界どこでも使えます。これはauさんに対しては有利な点でしょう。ソフトバンクさんとはイーブンと思います。

 一方、課題ですが、やはりユーザーが5,000万以上いるということで、セグメントごとに分けて気配りしなければいけません。たとえばauさんは、若年層をターゲットにして、そこに受けやすい端末やコンテンツ、プロモーションを展開しており、そこに焦点を絞れるのが(auの)強みかもしれませんね。一方、ソフトバンクさんは基本的に安さを全面に打ちだしていると思います。

――ソフトバンクモバイルは、端末の多色展開を行なっています。

 彼らとの違いは、我々のほうが機種数が多いということです。当社の携帯電話で、1機種あたりのカラーが3色程度でも結果的に多くのカラーがラインナップされていることになります。また、多くのカラーを用意しても、人気色とそうでもない色という形になってしまいますから在庫管理が問題になってきます。

 とは言え、今のカラー展開でいいのかというと、それは違うな、もっといろんな色があっていいな、と思いますね。これは今後の検討課題になります。

――将来的には、携帯電話のオーダーメイドという形もあるのでしょうか。


904iシリーズは5機種

904iシリーズは5機種
 要望に応じて、外観やユーザーインターフェイスのデザインを変えられるようになることはあり得るのでしょう。たとえばiモードの公式メニューも、自分の使うコンテンツにあわせた形でレイアウトできてもいい。ただ、こういった話は、もう少し端末が進化してからの話ですね。現時点ではまだ、現実感を伴った構想ということではありません。

――904iシリーズを見ると、HSDPA対応は1機種、ワンセグ対応も1機種です。これで他社と戦うことになるわけですが、他社との競争においてラインナップは十分だと見ているのでしょうか?

 ワンセグで言えば、AQUOSケータイ(SH903iTV)なども投入していますし、HSDPA対応機種についても先に発売しているモデルがあります。私は今のラインナップでこの夏を戦えると思います。

 905iになれば、さらにワンセグやHSDPAの搭載率がどんどん上がりますので、もっとラインナップは強化されていきます。

――904i発売時点で、次の905iの話が各所から出てきていますが、将来の機種について触れるというのは、これまでにないことだと思います。なぜ現時点でそういったことを紹介されるのでしょう?

 それは、基本的に「DoCoMo 2.0」で世の中に問うている、メッセージを出しているのと同じ考え方です。今までのドコモ、「DoCoMo 1.0」としましょうか。それと「DoCoMo 2.0」ではサービス面で段差があります。それを905iでもっと強化するということですから。今回、904iシリーズ5機種のうち、HSDPAとワンセグは1機種ずつですが、それを905iではどんどん搭載していく。もっと強化していくということです。

――そうなると、904iを買い控えて、905iを待つユーザーも出てきそうです。

 仮に904iをパスして、905iを待つ方がいたとしても、長期的に見れば当社としては良いことだと言えます。毎月発表される契約数を見て、「勝った」「負けた」と言われますが、そういった短期的な数値は、率で見ると非常に小さい。市場の半分のシェアを持っているものの責務としては、新しい価値を世の中に提供しなければいけないと思います。1人でも多くの方にとって、便利なケータイにしていかねばなりません。そこが我々の責務であり、その部分を問われているのではないでしょうか。


ケータイはどう進化する?

2006年にはモバイルSuicaが登場した

2006年にはモバイルSuicaが登場した
――たとえばおサイフケータイの機能が先端層だけではなく、より多くの層に利用されるには、まだ3〜4年かかると見ているのでしょうか。

 いえ、もう少し早いと思いますね。私自身はNTTドコモ創業時から携帯事業に携わっていますが、たとえば携帯電話は1990年頃、100万契約にも達していません。NTTドコモ設立時に100万を超えたくらいです。当時、「公衆電話がこんなにあるのに、携帯電話なんて必要ないのではないか」と言われていましたが、わずか10年後にはとんでもない契約数になっていた。将来は本当にわかりません。結局、便利であれば利用されるということなのでしょう。

 たとえば、当社のサービスに「プッシュトーク」があります。あまり利用されていませんが、それでも7〜8%の方に利用していただいています。そこでの利用シーンとして、おじいちゃんが孫と話すのにプッシュトークを使っているという話を聞きました。どうも、孫が学校から帰るときに一斉にコールして、返事できる孫と話すという使い方をされているようです。「孫と話したい」という要望がリテラシーの壁を超えてしまったのでしょう。

 もちろん、携帯電話はもっと使いやすくしていかねばなりません。アップルさんの「iPod」が画期的な操作法を採用し、1つの証明になったと思います。使い勝手は磨いていかなければなりません。

 そしてドコモショップについても、これまでは販売店としての役割が大きかったのですが、たとえば「2in1」の使い方、あるいは地図サービスの使い方を分かりやすく説明できるようにしなければなりません。携帯電話の多機能さを使いこなしていない、リテラシーの高くない方でも気兼ねなくショップに入ってもらい、満足してもらうように、サービスの提供体制を変えていかなければなりません。そういう点でも大きな変更になって、「DoCoMo 2.0」ということになります。物を売るだけではないのです。

――非常に大きな変更で、実現するには時間がかなり必要と思えます。


 動き出したら、2〜3年というペースでいくと思います。ドコモが設立された1992年から、1995年頃から非常に成長して、当時「世の中のスピードはもの凄い」と感じました。動き出すと、それが当たり前のことになっていくのでしょう。

――2〜3年での変革ということであれば、現時点である程度イメージが固まっているということでしょうか。

 ええ、そういう意味で現在、着々と他社との提携を進めています。たとえば流通業について、我々は何もできません。イオンさんの業務はイオンさんしかわからない。しかし「携帯をこう使えますよ」と提案はできますよね。コンビニ業界は競争が激しい世界ですが、携帯を実際にどう使うか。当社と彼らの真剣な思いがぶつかりあって新しいバリューが産み出されていく。そうやっていく中で、どこかでブレイクすれば、(変革の訪れは)早いのではないかと思います。

――現時点で、期待できる分野とは?

 1つは航空ですね、ANAさんもJALさんもさまざまな携帯向けサービスを提供しています。かなり前から提供されていて、数字にも反映されるころではないでしょうか。また、JR東日本さんのSuicaは当たり前のように利用されていますが、これが携帯で良いんだとなれば、カードよりも携帯電話のほうが取り出しやすい位置にあるわけですから、断然便利です。現在はそこに至るまでの障壁、ハードルがありますが、我々の体制が変わっていけば「ドコモショップに行けば使い方がわかる」ということも可能になるでしょう。いつブレイクするか、全て予測することはできませんが、ある程度リスクを覚悟して展開していかなければ後手に回ってしまいます。現在は交通系が先に進んでおり、その後に流通系が続くと見ています。

――徐々に、生活の中でのケータイの使われ方が変化していくということですね。

 おサイフケータイは、いわば「オーギュメンテッドリアリティ(Augmented Reality、拡張現実感)」です。これは、バーチャルリアリティと相対するするもので、“強化されたリアリティ”という意味です。つまり、サイバーとは、リアルの生活をサポートして補強するもの。より便利に、より効率的にするものなのです。これは現実感のある言葉だと思っています。


携帯はPC化する

iPhoneに学ぶことがある、という

iPhoneに学ぶことがある、という
――その上で、現在の携帯電話での課題は何でしょう?

 強化しなければならないのは画面サイズ、そしてQWERTYキーですね。特にQWERTYキーは、どこかで対応しなければならないと思います。テンキーと完全に入れ替わるかどうかは議論の余地がありますが、さまざまな技術がありますので、テンキーと入れ換えるという形もあるでしょう。QWERTYキーボードを付属品にしてBluetoothで繋ぐということも考えられます。あるいは、画面上でのソフトウェアキーですね。そのあたりは研究を進めています。

――2画面搭載した「D800iDS」も、携帯電話の変革に関わる製品でしょうか?

 そうですね。2画面は、コンテンツからすると面白いことができると思います。その発展性は今後も追求していきたいところです。

――余談ですが、米国でリリースされるiPhoneはどう見ていますか?

 私は、フィンガータッチで操作できるという点など、非常に面白い端末だと思っています。日本の携帯電話はどちらが表か裏かはっきりしていますが、同じアップルさんのiPodは、表裏の区別があまりない、凹凸感のなさ、すっきりした外観や、クリックしたりなぞったりして操作する点などは画期的だったと思います。

 国内外の携帯メーカーにとって、(iPhoneは)今後の進化に向けて、良い意味で脅威になるのでしょう。そして、iPhoneのユーザーインターフェイスは、直感的に操作できるという点で見習うべきですし、学んでいかなければならないでしょう。

――音楽やゲームは、携帯できる専用機器があります。全てを携帯電話1台でカバーするのでしょうか。それとも「携帯+α」ということになるのでしょうか。

 携帯電話の中には、携帯にしかできない本質的な機能と、付加的な機能があると思います。WebブラウジングしてGoogleなどを見に行く、あるいはFeliCa、GPSなどは本質的な機能だと思います。たとえば現在地周辺のマクドナルド店舗を探してクーポンを使って買う、ということは常に持っている携帯電話ならではの利便性です。

 では付加的な機能としては、カメラが挙げられます。そして音楽再生機能ですね。本当に良い写真を撮影したいならデジタルカメラを、良い音楽を聴くならば専用プレーヤーが高音質。でも、全部持つのが面倒くさいという方にとっては携帯電話がピッタリです。

――端末もまだ進化させなければ、ということですが、そこにかかる時間は、DoCoMo 2.0と同じく今後2〜3年の内に実現されるのでしょうか。


シンプルな機能に、GSM方式対応で国際ローミングが利用できるSIMPUREシリーズも登場している

シンプルな機能に、GSM方式対応で国際ローミングが利用できるSIMPUREシリーズも登場している
 それくらいで進化しますね。携帯電話のPC化が進みますよ。たとえばN904iに搭載された、ピクセルテクノロジーズ製フルブラウザは、拡大縮小が非常にスムーズです。地図を見るときも、全体を小さく見て、見たい場所を拡大する。この使い勝手は1つの進化でしょう。そうなると、ACCESSさんのブラウザも進化しなきゃということで、どんどんブラウザの使い勝手が良くなるのでしょう。

 また、今考えているのはフォントですね。現在は3種類程度、大中小のサイズという形ですが、たとえばパソコンにはゴシックや明朝体など、さまざまなフォントが入っています。携帯でも同じように複数のフォントが利用できるかもしれません。きせかえツールや待受画面などだけではなく、どんどんPC化して、中も自由にカスタマイズできるようになるのでしょう。

――その分、必要なハードウェアのスペックが向上すれば、コスト高になりそうです。

 現在、90Xiシリーズは5万円台です。ただし、ワンセグのような新しい機能を入れてもコストアップしていません。代わりに、ベースバンドとアプリケーションのワンチップ化するなどのコストダウンを図っています。

 コストダウンによって安くなるというよりも、新しい物を入れていって、進化しながらも同じ価格ということになりますね。90Xiシリーズは常にフラッグシップであり続けることになります。

 その一方で、全ての方がハイエンドを求めるわけではありません。音声とメールだけで良いという方は2,500万人ほどいらっしゃいます。そういった層に向けて、現在の70Xiシリーズを縮小したものが必要になるでしょう。ただし、本質的な機能であるGPSの搭載、あるいは海外で役立つGSM方式のサポートは行なわれるでしょう。その分、カメラや画面サイズなどが縮小するでしょう。70Xiシリーズは、新しい機能を追加しませんから、どんどん安くなります。90Xiシリーズと70Xiシリーズをあわせた、平均的な価格は下がっていきます。90Xiシリーズの進化は止めるべきではありません。

――たとえばGSM方式のサポートは、特許料を支払う必要がありますから、メーカーさんなどの技術的な努力ではコストダウンにも限界がありそうです。


 たしかにGSM方式は料金が結構かかります。W-CDMA方式もクアルコムさんに支払う料金があります。メーカーさんにとってバカにならない金額です。しかし、日本メーカーが海外にもう一度出て行くためには、GSM方式は絶対に必要ではないですか。GSM方式の特許を持っていない韓国メーカーが展開しているわけですから、日本メーカーもやるべきだと思います。

――日本メーカーの海外進出をキャリアが率先していくべきということの意味は?

 1つは、GSM方式をサポートすることで日本国内のユーザーさんにとっては、安心して海外で利用できるようになります。GPS機能に関連して、いずれは海外でも地図をダウンロードできる機能を提供していきたいと考えていますから、初めて訪れた都市でも美術館などの場所を日本語のインターフェイスで調べられる。

 もう1つは、日本メーカーの海外進出が実現すれば、スケールメリットが効いて端末コストが下がるはずです。少し長期になりますが、利便性が高まり、コストダウンに繋がるということで、ユーザーとメーカーにプラスになると思います。


販売形態、料金について

――モバイルビジネス研究会では、奨励金モデルなどについて議論が進められています。このあたりの動向はどう見ていますか?

 私の理解では、同研究会で取り上げられている奨励金モデルは、ずっと昔から問題点が指摘されています。奨励金そのものは悪いわけではありません。安く端末を買って、長期にわたって利用料を支払うことで、トータルコストは同じになるということですから、奨励金自身に問題はない。

 ただ、短期に機種変更を頻繁にする方と、長期間買い替えない方の間に不公平感があるということかなと思います。そのあたりは、欧米などで利用されている期間拘束型や、ソフトバンクモバイルさんが導入された割賦モデルも良いでしょう。ユーザー間の不公平は解消すべきですが、奨励金そのものは経済的合理性がありますね。

――現在とは異なる契約形態が今後出てくると?


販売奨励金制度、料金面についても語っていた辻村氏

販売奨励金制度、料金面についても語っていた辻村氏
 出てくるでしょう。たとえば、期間拘束で、2年〜3年契約であれば端末が安くなるという形ですね。長期契約ならば(奨励金を)回収できますので、端末価格を安くできます。そうなると、機種変更の頻度は低くなり、機種変更までの期間が長くなるのでしょう。間接的には、メーカーさんの売上に関わってきますし、ドコモショップの収入にも影響があるでしょう。業界的なインパクトは、決して小さくない。しかし、時代の要請に応じて、変化しなければなりません。新しい形に徐々に変わっていかなければなりません。

 こうしたビジネスモデルの在り方は、先述したDoCoMo 2.0、そして端末メーカーの海外展開といった話と関連があります。全て1つの流れの中のことですね。

――料金面で、パケット通信料に関わるトラブルが伝えられています。

 DoCoMo 2.0の中でも料金面は重要な点です。直近で問題になったのは、パソコンに携帯電話を接続して、というケースだったと思いますが、今後はパソコンにインストールするソフトを工夫して、ある金額に達したらポップアップで警告するといったことを積極的に推奨していきたいですね。アラートを頻繁に出したりするなど、いろいろなやり方を重層的にやっていきたいと思います。パケ・ホーダイとパケ・ホーダイフルの関係も直感的に理解しづらいですから、対応していかなければなりません。今後の課題ですね。

 DoCoMo 2.0とは何だと問われますが、これは「これから変わります」というメッセージです。プロモーションは別として、その成果は短期間に集中して出すのではなく、2〜3年のスパンで現実になっていくことでしょう。我々の考えていることがうまくいくかどうか、将来、振り返ってみればわかるかもしれませんが、これは歴史が判断することになるのでしょう。

――ありがとうございました。



URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/

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(関口 聖)
2007/06/14 11:14

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