【Mobile World Congress 2010】
MS越川氏が語る「Windows Phone 7 Series」


マイクロソフトブース

 マイクロソフト(MS)のブースでは、15日に発表された次世代プラットフォーム「Windows Phone 7 Series」についてブース内のセミナーなどで紹介していた。

 「Windows Phone 7 Series」は、マイクロソフトが「Windows Mobile」の後継に位置づけるモバイル機器向けの次世代プラットフォーム。タイル状のホーム画面は、片手操作での使いやすさを考慮したもので、メニュー画面は「People」「Pictures」「Games」「Music+Video」「Marketplace」「Office」の6つに分けられている。そして、その6つのセグメントのそれぞれがサービスやアプリなどと連携できる「ハブ」の機能を持っている。

 米マイクロソフトのCEOであるSteven Ballmer氏が陣頭指揮をとっており、同氏は15日の発表会において、2010年末の「ホリデーシーズン」に最初の端末が投入されると語った。このため、展示ブースにはまだ対応端末は展示されておらず、説明員は大きなデモ用ディスプレイで次世代プラットフォームを紹介していた。

Windows Phone 7 Seriesの紹介

 

MS越川氏が語る「Windows Phone 7 Series」

 17日、マイクロソフト日本法人のコンシューマー&オンライン マーケティング統括本部 本部長の越川 慎司氏に現地で話を聞く機会を得た。同社が考える「Windows Phone 7 Series」の世界、そして日本国内での展開について話を聞いた。

 

マイクロソフトの越川氏

越川氏
 「Windows Phone 7 Series」では、これまでのWindows mobileのユーザーインターフェイス(UI)から大きく変更され、「People」「Pictures」「Games」「Music+Video」「Marketplace」「Office」の6つの「ハブ」が用意されます。

 たとえば、「People」では、人を起点とした情報のハブであり、従来見られた情報から人にたどりつくものから、人から情報へたどり着くものとなります。そのほかのセグメントについても「Pictures」は写真を起点に、「Office」はOffice製品のハブとなり、SharePointのドキュメントライブラリもVPNを使わずに更新できるようになります。

 「Games」は、Xbox LIVEゲームとそのアバターなどが表示できるゲームを起点としたハブ、「Music+Video」は音楽サービス「Zune」や動画などのハブです。また、「Marketplace」では、Xbox LIVEでは提供されていないゲームやツールなどが提供されます。

 発表会でBallmerは、ソフトとハードの深い統合について語りました。我々はこれを車の構造に例えて「シャーシ」と読んでいます。つまり、基本構造をマイクロソフト側で規定し、必要条件とオプション条件を満たさなければ「Windows Phone 7 Series」を採用・対応できないことにしました。これには、ハードウェアに求める条件を規定することで、部材調達がしやすくなり、より低価格なスマートフォンが提供されやすくなること、開発期間の短縮化によってコストが低減できること、ソフトウェアの互換性が保てるため、ソフト開発がしやすくなること、といったメリットがあります。垂直統合モデルにすることで、ソフトウェアが数カ月で提供できるようにもなるでしょう。

――発表会では日本のメーカーがパートナーに入っていましたが、キャリアには日本の事業者の名前はありませんでした。国内提供について考えを聞かせてください。

 まず、日本のキャリアが検討していないわけではないことをお伝えしておきます。Ballmerが発表したのは最初に提供される事業者であり、日本は最初の事業者からは遅れる可能性があるということです。

――「Windows Phone 7 Series」に対応するための「必要条件」とはどのようなものでしょうか?

 最初に登場するモデルについては、Windows Mobileのようにメーカー独自のUIなどはかぶせられません。メーカーが差別化できない面もありますが、UIの開発コストは抑えられます。今回の新しいUIでは、マニュアルを使わずに操作できるようなものを提供しなければならないと考えています。

 条件には、必要メモリやCPU、解像度、静電式タッチパネルのディスプレイといった規定はありますが、開発環境について具体的にはまだお伝えできません。おそらく3月には発表できると思います。少なくとも我々は、開発者の創造力を止めるようなことはしません。

 なお、条件はあるものの、端末の形状などは1種類というわけではありません。「Windows Phone 7 Series」はあくまでも「シリーズ」で、「シャーシ」は同じでも今後の可能性はいろいろ考えられます。

――「Windows Phone 7 Series」はマルチタスク対応ですか? iPhoneのようなシングルタスクのスマートフォンになるのでしょうか? たとえばアプリケーションなどを後ろでダウンロードさせながら、ほかの機能やサービスを利用するといった利用方法は可能ですか?

 実はまだ話せない部分も多く、今の時点では不明とさせてください。

――新たなプラットフォームの発表によって、現行のWindows Mobile 6.5は今後どう扱われるのでしょうか?

 6.Xについても革新を続けていきます。開発の自由度といった面では6.Xの方が自由度が高いでしょう。もしかしたら、ブランドが分かれる可能性があるかもしれません。

 また、現行のWM6.5端末から「Windows Phone 7 Series」へのアップグレードについては、従来のWindows Mobileと同様にメーカー側の判断になります。可能性はゼロではないと思います。

 なお、今後Windows Mobileのバージョン6.5.3をアナウンスする予定です。UIが変更され画面左上にあった「スタート」ボタンを下に移すほか、IEのレンダリング速度が改善されます。また、開発メーカーが静電式タッチパネルを選択できるようになる予定です。

――本日はありがとうございました。

 



(津田 啓夢)

2010/2/18/ 13:56