記事検索
インタビュー過去記事

気になるケータイの中身

NEC埼玉の生産現場で見たマイセレクトモデルの進化


NEC埼玉

 携帯電話の外装を自分だけのスタイルにカスタマイズしてオーダーできるNTTドコモの「マイセレクトモデル」。今冬のラインナップの中では、「N-02C」と「F-01C」「F-03C」がこれに対応している。こうしたオーダーメイド端末がどのように製造されるのか、NEC埼玉(埼玉日本電気)の生産現場を訪れた。

手間隙かけて一つずつ組み立て

パネル1枚ごとにレーザー刻印
オーダー通りに正しく印字されているか確認する

 まず、N-02Cの通常モデルとマイセレクトモデルとの違いを確認しておきたい。通常モデルのボディカラーは、Platinum、Black、White、Pinkの4色。マイセレクトモデルでは、これら全てのカラーバリエーションをベースに、フロントパネルのデザインやキーシートのデザインが変更できる。自由に選択できるのは、キーシート(各色2パターン)、フロントパネル(各色3パターン)で、さらにフロントパネル上には最大10文字までの英数字(フォントは2種類)、パネルアイコン(93種類)を配置できる。

 マイセレクトモデルは、N-08A、N-01Bに続く3代目ということになるが、見た目上、従来のモデルと大きく異なるのは、ユーザーが任意に設定できる英数字(ネーム/メッセージ)の部分だ。この部分はレーザー刻印という形で処理されるが、オーダー通りにきちんと刻印できているかどうかを慎重に確認するという工程が加わった。

 さらに重要なのは、今回のモデルが防水にも対応しているという点だ。従来の生産ラインは、一通り組みあげた後にカスタマイズパーツを装着する、という流れになっていたが、キーシートの選択が可能になったこともあり、同パーツを組み付けた時点できちんと防水性能を確保できているかどうかを組み立てていく途中でチェックする必要が出てきた。このため、通常の組み立てラインとは別にカスタマイズパーツを組み立てるスポットを用意し、そこで組みあがったパーツを順次ラインに投入するという流れに変わった。

 こうした生産現場の様子はノウハウの塊ということもあって、撮影が許可された場所が少なく、なかなか全体像をお伝えするのは難しいが、カスタマイズのバリエーションが増えたことで、何度も目視確認するなど、より手間隙がかかるようになった印象だ。

 筆者が工場を訪問したのは12月16日。この日製造された端末はクリスマスプレゼントになったのだろうか。

キーシートのピックアップもこの時点で行う カスタマイズパーツはまとめて組み立てラインに送られる
製造番号を書き込むとともにシールが貼られる N-02C マイセレクトモデルの梱包が完成

元祖マイセレクトモデルとしてのこだわり

NECカシオの高須愛氏

 「マイセレクトモデルは、NECのケータイを愛してくれるユーザーを大切にしたい、という思いの表れ」と語るのは、NECカシオ NTTドコモ事業部 商品企画グループ マネージャーの高須愛氏。ベースのボディカラーごとに選択できるキーシートとフロントパネルのパターンが限定されているが、これは、ユーザーがオーダーした際のイメージと、実際に手にした際のイメージが異なり、結果的にがっかりしてしまうということが無いように、との配慮だという。

 スマートフォンではカバーケースによるカスタマイズが主流となっているが、NEC埼玉 技術部 技術課長の横田真司氏は、「取って付けたような物は作りたくない。セットメーカーとして、カバーにはない価値を提供したい」と語る。

カスタマイズパーツ

 例えば、愛用しているN-02Cのマイセレクトモデルを壊してしまったら、修理は可能なのか? 答えはイエスだ。NEC埼玉では、製造番号でカスタマイズパターンを管理しており、万が一、端末が破損した場合でも、パーツがある限りはこれを元に再現できるという。

 マイセレクトモデルの面白い活用法として、NEC埼玉 携帯端末開発部 技術課長の金子康浩氏が教えてくれたのは、スポーツのチームで背番号と名前を刻印するといった使い方だ。NECの女子バレーボールチーム「NECレッドロケッツ」の選手17人にN-02C マイセレクトモデルのリクエストを聞いたところ、予想以上に好評だったという。「監督まで欲しいと言いはじめた」(金子氏)のだそうだ。

NEC埼玉の横田真司氏 NEC埼玉の金子康浩氏

事業再編の影響

 なお、2010年5月のNECカシオモバイルコミュニケーションズ(以下、NECカシオ)事業開始に伴い、NEC埼玉は、NEC本社からNECカシオの100%子会社となった。こうしたNECグループ内での事業再編により、埼玉では携帯電話端末の開発・製造と基地局の開発を担うことになった。

 「同じケータイでも、設計の思想や文化が大きく異なり、勉強になっている」と語るのは、NEC埼玉 第一製造部長 兼 生産革新推進部専任部長の栗原孝佳氏。カシオ日立チームが開発現場に合流したことで、かなり刺激を受けたようだ。

NEC埼玉の菊地克則氏

 11月に開催されたNECカシオの新商品発表会では、同社からも2011年上期にAndroid端末が国内投入されることが明らかにされた。NEC埼玉としても、当然、ここに大きく関わっていくことになる。

 NEC埼玉 第一製造部 主任の菊地克則氏は、「今回導入したレーザー刻印をはじめとする製造技術は、今後の機種でもいろいろと活用できる」と語る。

 スマートフォン版のマイセレクトモデルの登場も近いのかもしれない。

(上段左から)第一製造部の菊地氏、同 佐藤氏、同 栗原氏、同 坂西氏、(下段左から)経営企画室の森泉氏、同 内田氏、携帯端末開発部の横田氏、同 金子氏


(湯野 康隆)

2010/12/17 19:19