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月390円で使い放題「auスマートパス」、高橋氏に聞くKDDIの狙い


 auの新サービス「auスマートパス」が3月1日、スタートする。月額390円で、500本以上のアプリが使い放題で、さらに10GBのオンラインストレージ、クーポンなども提供されるなど、さまざまなスマートフォン向けコンテンツを1つにまとめ、手軽な価格で利用しやすい形になっている。

 「auスマートパス」の狙いや背景、そして今後KDDIが提供しようとする未来について、今回、KDDI代表取締役専務の高橋誠氏に話を聞いた。同氏からは、固定・携帯・CATV・WiMAXを擁する同社のネットワークを存分に活かした戦略であることがあらためて紹介された。同氏が語るKDDIの取り組みからは、これまでの携帯電話サービスから視点を変えて“ゲームチェンジ”することが示され、デバイスや回線の垣根を超え、オープンでインターネット的なサービスの姿が見えてきた。
KDDIの高橋氏

アプリ使い放題、クーポンやオンラインストレージも

 「auスマートパス」で利用できるアプリは、文字入力の「ATOK for Android」、ナビアプリの「NAVITIME」、辞書アプリの「大辞林」、家庭向け医学書の「家庭医学大全科 for au」、学習アプリの「山川日本史一問一答」、ゲームアプリの「オセロ」「不思議のダンジョン 風来のシレン 月影村の怪物 for Android」「ラグナロクオンライン Mobile Story」など、幅広いジャンルになる。

 一方、クーポンはローソンやニッセンオンライン、ピザハット、HMV ONLINE、ルートインホテルズなど、小売店や飲食店、宿泊施設といったリアル店舗のほか通販サイトなども含まれる。そしてオンラインストレージは、10GBが利用でき月額105円で10GBごとに容量を増やせる。

 月額390円で、さまざまなアプリが使い放題となり、クーポンやオンラインストレージも利用できるという点にお得感を感じる人もいるだろう。しかしユーザーが得をするばかりというサービスは考えづらく、コンテンツプロバイダやプラットフォーム事業者(この場合はKDDI)が利益を得る形が整っていなければ長続きしない。この点についてKDDIは、1月の記者会見で「auスマートパス」において収益を分配する“レベニューシェア”型の採用を明らかにしている。

“KDDIの強み”に導く

――KDDIでは、2011年度から「3M戦略」を掲げています。まずはそのあたりから、あらためて教えてください。

高橋氏
 KDDIの特色は固定、移動体、CATVが揃っていることです。これは他社にない点で、その特色を活かすサービスとして、以前からFMC(固定と携帯の融合サービス)に取り組んできました。だが、ユーザーにとっては利用する必然性がありませんでした。

 以前はFMCと言っても、フィーチャーフォン(従来型の携帯電話)はBREWというプラットフォーム、パソコンはWindows、テレビはまた別で……とバラバラでした。しかし、通信速度の向上や機器の性能向上などを背景に、クラウドサービスが広がってきたことで、今ではある程度、スタンダードなプラットフォームで統一されてきている。FMCが実現しやすくなってきたのです。

――FMCと言われても、これまで利用していなかったサービスだけに、エンドユーザーにはピンときにくいかもしれません。

高橋氏
 そこで“とっかかり”としてわかりやすいサービスが「auスマートパス」です。500以上のアプリを揃えて、これがスマートフォンでもタブレットでも、さらにテレビでも使える、となっていく。これから映像や音楽についても(新サービスを)発表していきますが、そうしたコンテンツもスマートフォン、タブレット、テレビのどれでも楽しめるということが実現できるのです。

 たとえば音楽の状況を見ると、著作権での課題はあるとはいえ、欧州発の「Spotify」(音楽ストリーミングサービス)がFacebookと密接に連携して加入者を確保する、ということになったように、世界的に見ても際限・制限がないアンリミテッドな時代になってきたと思ってよいでしょう。これは映像も同じです。

――利用できるアプリは、さまざまなジャンルになっているようですが、どういった方針で揃えられたのでしょうか?
KDDIの繁田氏

繁田光平氏(KDDI新規ビジネス推進本部ビジネス統括部)
 高校生が楽しめるゲームアプリもあれば、英語学習でTOEICに役立つアプリもありますし、電子辞書や家庭向けの医学書もあります。四方八方のニーズをとらえるアプリのラインナップにしていますし、クーポンというコンテンツを揃えることで、多種多様なニーズを受け入れられるようにしています。
――500種類というのはどういった基準で決められたのでしょう?

繁田氏
 選んで飽きないレベルがどのあたりか、価格帯もどの程度なら高すぎず安すぎず、納得してもらえるか、というところで月額390円、500種類、という形にしました。

高橋氏
 使う際におトク感のあるイメージ、というところでしょうか。いずれはマルチデバイス化していきたいのです。デバイスが増えると利用料が増えるのではなく、390円のままで、という形ですね。さらに当社内ではテレビ用のAndroidベースのセットトップボックス(STB)を開発しており、AndroidアプリがSTBで全て使えるようになります。「Angry Birds」のようなゲームもテレビの大画面でキレイに動作しますよ。それからユーザーインターフェイスについては、どちらかと言えば、ポインティングデバイスのようなもので工夫する必要があるかなと思っています。

基本はクラウドベースの世界に

――テレビとスマートフォンで同じコンテンツ、というのは数年前には考えられなかった世界ですね。

高橋氏
 それが当たり前になっていくのでしょう。そしてテレビと言えば「ショッピングもできれば」という発想に繋がります。「auスマートパス」では、ニッセンさんやピザハットさんなどのクーポンがありますから、テレビでの活用といったシーンが想像しやすいではないでしょうか。

――最近スマートテレビが話題ですが、以前から家庭用ゲーム機でもそういった取り組みがあります。

高橋氏
 だからこそ(STBを使う)CATVでしょう。ゲーム機はなかなか電源をONにしませんが、CATVというかテレビはとりあえず電源をONにしますよね。それがAndroidベースになって物流の仕組みをアプリベースで構築していけば、というところです。

繁田氏
 スマートフォン向けとは別の有料サービスでは、なかなか利用されません。「auスマートパス」であればスマートフォンで利用して、それがテレビでも、となりますからコンテンツによっては「大画面のほうがいい」こともあると思います。

高橋氏
 「auスマートパス」ではオンラインストレージ「au Cloud」を用意していますが、写真を加工できるアプリを7種類用意しています。加工した写真は「au Cloud」で保管できます。今後は、この「au Cloud」のAPIを開示しようと思っていて、そうすればデータをアップロードするアプリが多く出てくると期待しています。もう200円支払っていただければさらなる付加価値が利用できる、といったサービスも可能でしょう。そうなればコンテンツプロバイダの収益化にも繋がります。こういった取り組みは、当社がベンチャーを支援する「KDDIオープンイノベーションファンド」などを通じながら進めていきます。さらに最近では、ARアプリを開発する「SATCH(サッチ)」のSDKも公開しましたし、たぶんLISMOもそういった流れになるでしょう。ここまで来ると(auスマートパスを通じた)世界観が見えてこないでしょうか。それは全てクラウドベースになると。
さまざまなアプリが揃う 10GBのストレージ「au Cloud」

繁田氏
 「auスマートパス」は月額390円で使い放題、という形での提供です。我々が提案することで、ユーザーさん自身がアクティブにサービスを使っていただけるようになればいいな、と思っています。というのも、最近スマートフォンを購入された方は、アプリを数個ダウンロードして、それで終わり、という利用動向になりつつあります。ユーザーさんがアクティブになっていただければ、その先の展開が期待できるようになります。基本的に全てクラウドベースでしていこうと思います。ネットワークストレージにアプリがある、というイメージです。好みのアプリを手元のスマートフォンに残しつつ、使わなくなればクラウドに戻すという形ですね。

――機種変更も関係なくなりますね。

高橋氏
 わかりやすいですよね。音楽は既に「LISMO Unlimited」と言う聴き放題サービスであれば、機種変更は関係ない形ですし。

繁田氏
 「LISMO Unlimited」では物足りなくなって、もし楽曲購入ということになれば……。

――ユーザーがアクティブな方向に成長した、ということですね。

iPhoneは?

――「auスマートパス」はクラウドを中心にした形ですが、「auスマートパス」においてiPhoneは今後どうなるのでしょうか。

高橋氏
 我々はどんどんやりたいと思っています。実際に、AndroidからiPhoneへ乗り換えるユーザーからすると、それまでauスマートパスが利用できたのにiPhoneでは利用できない、という状況になります。それはアップルも好ましくないと考えてくれるのではないでしょうか。

――昨年12月、「KDDI∞Labo(ムゲンラボ)」の第1期表彰式の後に行われた会見で、オープンな世界のままではiPhoneの世界に追いつけないのでは、と述べておられました。「auスマートパス」は、そうした考えの上に立つ、という面もあるのでしょうか。

高橋氏
 「オープンな世界にクローズドな世界を持ち込むKDDI」と書かれるかもしれませんが(笑)、実際はそうではなく、「オープンな世界は否定しない。ただ、水先案内人がいてもいいのではないか」ということですね。それに、auスマートパスを提供したからといって、Androidがクローズドになるでしょうか。ならないですよね。

繁田氏
 私自身、かつて商品企画を担当し、その後コンテンツ関連を担当しはじめたのですが、スマートフォンを提供してオープンな世界でどうぞ、とユーザーの利用を待っていました。しかし、オープンなままでは、あまり利用されない傾向であることがわかってきたのです。

――ユーザーは案外保守的な面があるのですね。

70億円を初期投資

――さまざまなコンテンツを提供するということですが、コンテンツプロバイダにはどういった説明をしてきたのでしょうか。先述のFMCのあたりを説明してきたということになるのでしょうか。

高橋氏
 そういった話はしました。KDDI側の担当者のプレゼンテーション能力の違いがあるかもしれませんが(笑)、コンテンツプロバイダのなかには納得していただける方と、そうではない方はいます。最近、コンテンツプロバイダへあらためて話をする機会があったのですが、そこで「いかに我々の気合が入っているか」を伝えようと考えました。

 では、どこが“気合の入っているポイント”なのか、と言えば、当社の初期投資です。「auスマートパス」はいわゆるレベニューシェアで、収益をKDDIとコンテンツプロバイダで分配する形です。通常、レベニューシェアと言えば、加入者に応じた金額の分配になると思いますが、今回はユーザー数が少ない初期段階でも、KDDIが多額の資金を投入することで、分配する金額を一定規模にします。これだけで数十億円、その他の施策と合算すると70億円ほど投じます。

――そこまで多額の資金を投じることに、疑いの声はなかったのでしょうか。

高橋氏
 赤字覚悟の取り組みでそこまでしなければ市場は立ち上がらないと考えており、そこまでしないとコンテンツプロバイダはauスマートパスに入って良いかわからないのではないかと。1つはその投資が本当に分配されるのか、という声で、それに対して当社は最初から「KDDIは今後、一定数のユーザー数を確保できる、という考えを前提にしている」と宣言し、初期投資をいずれ回収できる見通しを示しました。もう1つの声は500ものコンテンツがどんどん増えてしまうと、分配額が少なくなるのではないか、ということでしょう。これについては、コンテンツの数を500前後で維持していこうと考えています。これまでの経験では、だいたい100くらいのコンテンツプロバイダのビジネスがうまく展開されていました。auスマートパスでは、まず試験的に200社、500種類程度のコンテンツになっています。

 利用傾向としては、いわゆるロングテールになると見ています。1カ月経つと、徐々に使われなくなるコンテンツが出てくるでしょうし、「auスマートパス」としてもコンテンツの入れ替えを行っていきます。

――徐々に使われなくコンテンツが存在する、というのは仕方がないことですね。

高橋氏
 ただ利用されるコンテンツが一定数あって、今後のユーザー数がある程度見込めるという前提に立つと、これまで「スマートフォンでは月額課金による収益は成り立たないかもしれない」とあきらめかけていたコンテンツプロバイダが蘇ると思うのです。そしてこれを実現できるのはキャリアだけではないでしょうか。

――キャリアにはユーザーとの接点も豊富にありますね。

高橋氏
 その点もありますし、「auスマートパス」は、今後のKDDIの戦略に合致し、収益にも繋がるサービスです。さらにここまでの初期投資ができる事業者はキャリアしかいないでしょう。こうした考え方で取り組むのは、これまでの事業の組み立て方と異なる、“ゲームチェンジ”と言える状況だと思います。

auスマートパスでアプリを提供するメリット

――サービス開始直前になって、数多くのコンテンツプロバイダから「auスマートパスでアプリを提供する」というリリースが発表されました。これは直前まで調整していた、ということなのでしょうか?

高橋氏
 いえ、そうではないのです。ユーザーからすると3月1日開始のサービスですから、近いタイミングで発表したほうがいいかなと考えていました。各社と相談しながら「auスマートパス」の登場感というか、足並みを揃えて「auスマートパス」を示したいというイメージを抱いていたのです。他社の例ですが、かつてiモードが登場したときに、対応コンテンツには「iモードのマーク」が付いていた、といった感じです。そういった現象がどんどん起こってくればいいなと。

 そのなかで、「auスマートパス」で提供するアプリの1つに、ナビタイムさんの「NAVITIME」を入れるかどうか、実は最後まで調整していました。既に会員組織を抱えている彼らからすれば、auスマートパスで提供するかどうか、迷いがあったようです。しかしKDDIが「auスマートパス」にかける戦略をきちんとお伝えしたところ、「やりましょう」と言っていただけたわけです。

 その後、「NAVITIME」のプロモーションでは「auスマートパス対応」という文言を入れる、という話が伝わってきました。そこで大西さん(ナビタイムジャパン社長)に聞いたんですよ。「せっかくNAVITIMEを利用しているユーザーが、auスマートパスに行ったらレベニューシェアの対象になって、収益が減るかもしれませんよ。大丈夫ですか?」と。

 で、話を聞いてみると、彼らからすれば、スマートフォン時代になって“入口”がいっぱいあったほうがいいそうなんです。月額315円の「NAVITIME」に加入しようかどうか迷って、最終的にグーグルの無料サービスを選択するユーザーが、「auスマートパスなら他のアプリもあるから」と選択してくれればナビタイムにレベニューシェアが入ってくる、それならばauスマートパスでNAVITIMEを提供してもいいだろうと判断したというのですね。

 その話に感心して、他のコンテンツプロバイダにもその考え方をお伝えして、どんどんリリースを出して盛り上げていこう、ということになったのです。

連鎖の獲得を狙う

――多額の初期投資とレベニューシェアでコンテンツを揃えたということですが、この形態はどういった経緯で開発されたのでしょうか。

高橋氏
 「3M戦略」を掲げるときから、上位レイヤー、つまりコンテンツについてはどうするんだ、フィーチャーフォンのビジネスモデルのままで行けるのか、という指摘が多くありました。

 そこで考えたのが、ユーザーからすれば、オープンなスマートフォン時代になって多くのコンテンツへ利用料を支払いたくはないよな、ということでした。フリーミアム(一部を無料で提供し、有料ユーザーを獲得する手法)モデルというものも台頭してきた。そこで我々が「フリーミアムのハブになればいいのか」と考えて、値頃感のある料金を設定して、土台を作ってレベニューシェアをすればいい、ということなのです。

 コンテンツプロバイダは、数十万規模で月額課金のユーザー獲得を目指しつつ、スマートフォンではそれが難しい。一方、我々は数千万規模でユーザーを獲得する戦略で、その規模でレベニューシェアすれば、コンテンツプロバイダにも納得してもらえるのではないか、と検討しはじめたわけです。

――そこまでの初期投資を行ってまで「auスマートパス」を展開することは、KDDIにどういったメリットをもたらすのでしょう。

高橋氏
 あわせて発表した「auスマートバリュー」もそうですが、“連鎖”がキーワードになっています。固定・携帯の割引によって、CATVやケイ・オプティコムさんといった固定通信事業者もauの携帯電話を競って売ってくれます。逆にauユーザーがそうした固定通信サービスを契約することもあるでしょう。そうなれば、まず解約率が低くなるでしょう。コンテンツについても、「auスマートパス」を用意して、コンテンツプロバイダも一緒にプロモーションを実施してユーザーの獲得に繋がる。ここでも連鎖でユーザーを獲得していく形になると。

 さらに昨年からFacebookとの連携を進めていますが、今年はさらに新サービスを導入していきます。ソーシャルサービスを通じたユーザー間の連鎖もあり得るでしょう。そうしたイメージで「3M戦略」を進めているのです。

鍵になる「au ID」

――マルチデバイスになったとしても、1端末につき1回線という形になるのでしょうか。

高橋氏
 Wi-Fiもありますから、そうはなりません。今後は「au ID」を基点にして契約していくことになるでしょう。

繁田氏
 回線契約というより「au ID」に紐づく契約、ということになってくるのだと思います。

高橋氏
 この考え方が腑に落ちるまで時間がかかったのですが、「au ID」の上にさまざまなデバイス、回線、コンテンツが載っている、という形ですよね。こういう設計をしている会社はなかなかないと思います。

――電話会社からすれば、回線ではなくIDというのはなかなか考えにくいですね。

高橋氏
 これってインターネットっぽいですよね。これを今後1〜2年かけてやっていくのが「3M戦略」の構想なのです。

ゲームチェンジに向けて

――腑に落ちるまで時間がかかった、ということでしたが、KDDIとして考え方はどう変わってきたのでしょうか。

高橋氏
 ずっとコンテンツを担当してきた部門や私自身は、上位レイヤーがクラウドに変わっていくイメージは抱いていました。田中(孝司氏、2010年12月に就任した同社社長)は、インターネット好きで、IDをベースに管理するという構図はセンス的に理解していたのです。ただ、携帯電話やFTTHというように回線を売る体制では、(au IDを核とした)FMCと言ってもなかなか浸透しない。今回は、不退転の覚悟で取り組むと決意したことと、田中自身が「これからの世界は(インターネット的に)こうなる」と考えたことで進めることができ、ようやく「これからゲームチェンジする」とわかる人が少しずつ増えてきた状況です。

――これまでは純増数やARPUといったところが通信事業者の評価軸の1つでしたが、インターネット的になると、どうなっていくのでしょうか。
繁田氏(左)と高橋氏(右)

高橋氏
 来期、来年くらいから変わっていくのでしょう。たとえばauスマートパスの加入者数やau IDの利用数といったところです。ただ、現場は一足飛びにせず、徐々にしなければいけないと思います。また1年前から「3M戦略」を掲げて、ようやく2012年春商戦で商品を提供できるようになりました。かつてFMCをやろうとしてうまくいかなかったことの反省点は「商品がなければうまくいかない」ということです。ですから、これまではモメンタム(勢い)を回復することを優先し、その上で新商品、という順番を守ったわけです。だからこそ、「MNPの転入超過数、4カ月連続で1位」というのは社内的にも大きな実績になっています。

繁田氏
 (今回のサービス設計が)グランドデザインから入った、というのは今までと本当に違う点だと思います。

――ショップの店員さんも考え方を変えるというのは大変そうですね。

高橋氏
 今は大変だと思います。ただ、去年から関西ではCATVと相互に販売する形を進めてきたので、ずいぶん店員の練度が上がっており、特に「auスマートバリュー」は、今、関西の業績がすごいのです。「auスマートバリュー」でケイ・オプティコムさんが入ってきたことで、CATVと競い合って「auスマートバリュー」の販売が行われている。競争環境はやはり重要だなと思います。

――「auスマートパス」では、今後どういった課題があるのでしょう。

高橋氏
 多くの方に使ってもらうのが今年の目標です。その過程でマルチデバイス化しつつ、auスマートパス上でクラウドベースのエンターテイメントサービスをやっていくことになるでしょう。テレビでの取り組みもさほど遠くない時期だと思います。また、KDDIからすれば、これまでは音声ARPU、データARPUを求めてきましたが、音声ARPUが減少している中で今後は“付加価値のARPU”を目指すことになります。社内でもそうした考え方の認知度を広めていこうと考えています。これが固定回線、CATVとなると、顧客層が拡大して収益の安定化に繋がります。

繁田氏
 どのデバイスでもコンテンツが使えるとなれば、結果的に携帯ネットワークにかかるデータトラフィックをオフロードすることもできます。

高橋氏
 Wi-Fiでも今後、さまざまな提携をしていきます。「このコンビニを訪れると、EXILEがARで踊っている」「この場所で人気タレントのコンテンツ」といったことを考えてまして、近日発表できると思います。

――付加価値のARPUやコンテンツがデータオフロードにも繋がる可能性がある、ということですか。今日はありがとうございました。




(関口 聖)

2012/2/28 11:16