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「一家に一台」、タブレットの普及目指すドコモ山田社長


 NTTドコモは8日、2011年秋冬モデルの1つとなる、「Xi」(クロッシィ)対応のタブレット2機種を発表した。同日午後に開催された新製品発表会に登壇した、代表取締役社長の山田隆持氏は、まず台風12号の被災地への見舞いの言葉や対策を述べ、その後、今回の製品の特徴が紹介された。

一般層普及を目指し「一家に一台、タブレット」

 「Xi」は、昨年12月よりサービスが開始された新世代のデータ通信サービス。ドコモの携帯電話サービスであるFOMAでは、W-CDMA方式という通信規格を用いているが、「Xi」は、W-CDMA方式を発展させたLTE方式を採用している。一部の屋内では下り最大75Mbps、屋外では下り最大37.5Mbpsで通信できる。

 これまではデータ通信端末、モバイルWi-Fiルーターが対応機種として用意されていたが、初めて単体で楽しむ機種として、タブレット端末が投入されることになった。山田社長は、サムスン製「GALAXY Tab 10.1 LTE」についてプライベートやビジネスで役立つグローバル端末であり、法人でも利用できる機種と説明。もう一方の富士通製「ARROWS Tab LTE」は防水対応が最大の特徴であり、どちらかと言えば個人ユーザー向けの機種と位置付けた。

 ただ、個々の機種の位置付け以上に、今回の新機種発表会では、先端層だけではなく、一般層での普及を目指す姿勢が強く打ち出された。

 これまで、山田氏は、タブレットがスマートフォンほどの売れ行きではないこと、法人向け市場での拡大が見込めることを本誌インタビューなどで明らかにしている。個人ユーザーという市場でのタブレットはまだまだ成長の余地があると言える状況で、発表会の途中には、ドコモ社員が登壇して、朝〜夜など一日を過ごす中で、タブレットをどう活用するか具体的な利用シーンを紹介する場面も用意された。

 さらに山田氏はプレゼンテーションの終盤に「ぜひ一家に一台、ドコモタブレット」と語った。「一家に一台」と述べた背景について、囲み取材で問われた山田氏は「1人1台が我々にとって望ましいが、通信費がその分かかる。すると、タブレットは、あるときお父さんが使い、別の時は子供が使う、といった使い方があるのではないか。(これから普及させるために)一番最初に使っていただくために“一家に一台”とした」と述べ、タブレット導入期であることを踏まえたアプローチとした。

Hulu CEOのカイラー氏

 より幅広い層への普及を目指すため、今回、製品に加えて紹介されたのがタブレット向けコンテンツだ。動画やゲームを中心に紹介される中、プレゼンテーションには、日本向けサービスを発表したばかりの米Hulu(フールー) CEOのジェイソン・カイラー氏が登壇。同氏は、Huluにとって、ドコモ向けサービスが初のLTEタブレット向けとなるとしたほか、コンテンツホルダーと提携し、日本でも人気の「24」「デスパレートな妻たち」「CSI」などをはじめとする、海外ドラマ・映画をラインナップして提供する「Hulu」の特徴を紹介した。また将来的に日本の映画やテレビ番組、アジアで人気のコンテンツなども配信する考えが明らかにされた。

握手する山田社長とカイラーCEO 料金やコンテンツのラインナップをアピール

 このほか、これまで同社ラインナップのカテゴリーでは、スマートフォンの1つとして扱われていたタブレットだが、今回より新たに「ドコモ タブレット」というカテゴリーが設けられる。

 販売目標は20万台とのこと。ドコモでは年間のタブレット販売目標が80万台、そのうち4割を法人向けとしているが、これまでの実績は10万台。6月から月々サポートセット割を導入したことで、販売数は倍増したものの、「スマートフォンほどの勢いではない」(山田氏)とのことで、ドコモにとって20万台という販売目標は高い目標とした。

 今後は、Xi対応スマートフォンが4機種提供されること、サービスエリアが今年度末までに全国の政令指定都市、県庁所在地でカバーされることに加え、東京〜博多間の新幹線全駅構内をエリア化することも紹介された。

Xi対応スマートフォンは今冬4機種に エリア拡充も

 

サムスンの特許係争について

 タブレット端末を巡っては、アップルがサムスンに対して特許侵害について争っている。日本でもアップルが提訴したと報道され、それに対する考えを問われた山田氏は「結論から言うと、販売に支障はない、とサムスンから聞いている。欧州で差し止めがあったとのことだが、欧州の特許の状況と、日本の状況は違い、訴訟の内容が違うと聞いている。日本でも提訴されたそうだが、サムスンから支障はないと聞いている。いずれにしても注意深く見守っているのは事実だが、特許係争が販売に支障をきたすものではない、と思っている」と述べた。

 この点について、あらためて囲み取材で問われた山田氏は「欧州の著作権の決まりと、日本では違いがある。欧州で決まったことが日本に持ち込まれることは極めて少ないと思う」とあらためて説明した。サムスンからも、問題ないとの見解が伝えられていることもあり、ドコモも現時点では販売に支障がないと考えた、と述べた。さらに同氏は「サムスンは良い端末を提供してもらっている。これからも継続してもらいたいと思っている」と語った。

 

料金プラン

今後1年、通信量が7GB以上でも速度制限などはない

 今回の発表会では、「Xi」の新たな料金プランも発表された。これに関し、囲み取材で数多くの質問が投げかけられた。

 米国の通信事業者が定額制サービスをとりやめる方向であることを踏まえ、ドコモとしての考えを尋ねられた山田氏は「できるだけ3Gの定額制は維持したい。その代わりLTEには段階制を入れた。ドコモでは、1%のヘビーユーザーが1/3のトラフィックを使っており、公平に負担いただくための仕組みとして段階制をLTEに導入することになった。3GよりLTEは快適に通信でき、ヘビーユーザーはLTEへ移行してくれるのではないかと見ている。3Gは当面、定額制を維持したい」とした。

 定額制を維持できるかどうかは、通信量の増加傾向に影響を受ける可能性もあるが、山田氏は「2010年〜2011年にかけてパケットトラフィックは1.7倍に伸びた。ドコモは同時期に2倍になるだろうと想定して対策してきた。設備の増設は、基本的にLTEで行いたい。LTEは、3Gの3倍もの収容能力がある」と説明した。

 7GBという基準を定め、それを超えると128kbpsに速度を制限する方針を示したことに対して問われた山田氏は「全体の98%が7GB以下。(これまでの基準である)5GBは全体の96%。128kbpsという速度は、高品質な動画の視聴は難しいかもしれないが、かなりのことはできる」とした。

 音声通話対応の機種では、テザリング(端末をモデム代わりに通信する機能)すると、さらに追加料金が発生するが、Xiのプランではテザリングを利用しても追加料金はない。これは、「Xiはもともとデータ通信専用。テザリングを行っても、同じデータ通信ということで追加料金がかからない、ということ」(山田氏)とのこと。

 

その他

 ドコモが取り扱う予定のソニー製タブレット2機種については、「ソニーブランドの製品で、私どもでも扱わせていただく、という位置付けで、ソニーさんがコンテンツを持っていらっしゃるので、そちらはそちらで、となる。(通信サービスの)中身はドコモのタブレットと同じ」と説明した。

 Xi対応機種として、スマートフォンではなくタブレットが先にリリースされた背景として、山田社長は「メーカーさんに怒られるかもしれないが、通信機能だけのタブレットのほうが、音声通話も必要なスマートフォンよりも作りやすい。Xiのサービス開始時もデータ通信端末を先に用意し、これまでにモバイルWi-Fiルーターを提供しており、そこで今回タブレットとなったのも同じ理由」と説明した。

 来年以降の割当が想定されている、700MHz帯、900MHz帯という周波数について、山田氏は「原則としてLTEで増設したい」と述べ、免許を獲得できれば、3Gよりも高い収容能力が期待できるLTEでエリアを構築する考えを示した。

 




(関口 聖)

2011/9/8 17:50