スマホ販売数は249万台――ドコモ第1四半期決算


ドコモ加藤社長

 NTTドコモは、2012年度第1四半期(2012年4月~6月)の連結業績を発表した。

 営業収益は前年同期比2.4%増の1兆723億円、営業利益は前年同期比1.9%減の2626億円、税引前利益は前年同期比2.0%減の2648億円、当期純利益は前年同期比3.5%増の1643億円となった。

 NTTドコモの加藤薫社長は、「年間利益目標9000億円の達成に向けて、堅調な決算であると考えている。増収に向けて力強い成果が出ている」とし、年間目標に対して、営業収益では進捗率が24.1%となったこと、営業利益では29.2%、最終利益で29.5%の進捗率とそれぞれ達していることを強調してみせた。

第1四半期決算のポイント概況

7月のスマホ販売は100万台

 第1四半期のトピックスとして、パケット収入で前年同期比9.0%増の4851億円となったこと、総販売数で前年同期比11.2%増の517万台になったこと、そのうち、スマートフォンの販売が前年同期比92.0%増の249万台になったこと、Xiの契約数が49.1%増の332万台に達したことなどをあげた。

 「スマートフォンは、7月にも約100万台を販売しており、今日時点で今年度累計(7月分含む)350万台を上回っている。年間目標の1300万台に向けて、力強く動いている。GfKの調査によると、量販店におけるスマートフォンの販売シェアでは49%とドコモが5割近いシェアを獲得している。夏モデルは83万台を販売しており、そのうち6月28日に発売したGALAXY S IIIは34万台を販売し、約4割を占めている。美しい画面、大きな画面が好評であり、手応えを感じている。夏モデルでは、他社を圧倒する17機種の製品ラインアップを発表。そのうち11機種がXi対応となっていること、ほとんどの機種で防水、おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線といった日本の強みを持つ機能を搭載している。スマートフォン向け放送のNOTTV(ノッティービー)も5機種で対応している」と語った。

 続けて、「日本初のシニア向けスマートフォンの『らくらくスマートフォン』を8月1日から出荷する。らくらくホンは、累計2100万台の累計販売実績があり、らくらくタッチパネルを搭載することで、見やすさ、使いやすさ、聞きやすさにも配慮したスマートフォンになっている」などとし、シニア層へのスマホの販売促進にも取り組む姿勢をみせた。

ラインナップらくらくスマートフォンを投入

 また、「秋にはiPhoneの新たな製品も見込まれ、さらに現行のiPhoneの値下がりの影響といったことも考えられ、一定の影響は受けるだろう。7月、8月には、家族セット割を全国規模で認知を高めることをはじめ、各種料金プランの提案などを通じて、秋の市場の動きに対応していきたい。エリアの強さ、サービスの多様さで十分対抗できる」と語った。

 一方、決算会見の冒頭には、7月25日に発生したspモードの不具合に対して謝罪。「ご迷惑をおかけしたことを、お詫びを申し上げる。再発防止に取り組む」とし、「一般のメールや電話の利用には影響がなく、対象となっているのは1000人以下。ユニークユーザー数ではさらに減るだろう。原因は究明しているところであるが、各種設定を司るソフトウェアの機能を強化する際に、不具合が発生した。テーブルのところでデータが違っていた。なぜそれが発生したのかを調査中である。不具合が発生した人が特定できることから、電話をかけ、お詫びを申し上げ、個別に対応している」などと語った。

スマートフォン販売数Xiの契約数

MNPの転出超は改善傾向

 第1四半期のパケット収入は前年同期比9.0%増の4851億円。前年同期から399億円増加した。音声収入ではバリュープランの影響のほか、課金MPUが減少したことが影響して、412億円の減少。また月々サポート割の影響で283億円の減少となった。その一方で、ケータイ補償お届けサービスなどによる収入の増加、端末販売収入の増加などがプラス要因になったという。

 また、総販売台数は517万台となり、前年同期を52万台上回る実績となったことを示し、「通期計画の2380万台の達成を目指す」と意欲をみせた。

パケット収入について総販売数

 純増数は27万契約、解約率は0.74%となったが、プリペイドデータプランの影響を除くと純増数は40万契約、解約率は0.67%になったという。

 さらにMNP転入出は、依然として転出増だが、「厳しい競争のなかで、各種割引施策が効を奏し、4~6月にかけて改善傾向にある。7月もこの傾向が続いている。夏モデルの強化により、さらなる改善を進めていきたい」と語った。

純増数。解約率、MNP料金施策

Xiは402万契約、基地局は約9800に

 Xiについては、第1四半期には契約数が332万となり、「順調に増加しており、現時点では402万契約に達している。2012年度末には1000万以上の契約を目指す。Xiのエリア拡充については、第1四半期で約9800局となっており、これを2012年度末には約2万1000局、エリアカバー率70%まで増やしていく。第1四半期までのXiへの累計設備投資は1600億円だが、今年度末までに累計で2900億円を投資する。端末、料金、エリアといった点で強みがある考えており、今後、他社が参入するなかでも優位性を発揮したい」と語った。

 月3GBまでの利用を対象にしたXiパケ・ホーダイライトを開始したことにより、「利用量、利用形態にあわせた多彩な料金プランを用意することで、他社に先行する形でXiの普及拡大をはかる。これにより、Xi利用者の裾野が拡大することで、トータルでは増収になると考えている」と語った。

 同社では、Xi契約者のうち、7~8割が3GBでの契約になると見込んでいる。

Xiの料金プラン家族セット割を導入

 さらに、家族2回線以上の同時購入により1回線あたり1万円割引とする家族セット割では、「一部で先行導入し、その手応えがあった。これを8月末までの限定であるが、全国に展開する。様々な世代の人にあった幅広い端末を持っているドコモの強みを生かした施策だといえる」としたほか、「ドコモの料金体系がたくさんあってわかりにくいという声もあるが、それぞれの世代と利用形態を捉え、ドコモの求めやすい端末価格と料金プランを積極的にアピールしていく」と述べた。

クラウドサービスはマルチデバイス対応へ

マルチデバイス対応について

 そのほか、しゃべってコンシェルについては、サービス開始から5カ月で300万ダウンロード、約1億3000万アクセスに達し、6月からサービスを開始したメール翻訳コンシェルが現時点で約10万ダウンロード、約150万回のアクセスを達成。

 また、6月から試験提供中の「通訳電話」では、約2カ月で22万アクセスを記録しており、「通訳電話は、同様の5つのサービスのなかでも、もっとも評価が高い。2012年秋の商用化を目指している」と語った。

 また、オンラインアルバムサービス「フォトコレクション」を8月から開始することや、複数のデバイスで電話帳やメールへのアクセスが可能になるクラウドサービスを今年冬から開始することにも言及した。

しゃべってコンシェルメール翻訳コンシェル
通訳電話フォトコレクションは8月開始予定

NOTTVは9万5000契約

 dマーケットについては、VIDEOストアでは、サービス開始から5カ月で100万契約、8カ月で200万契約に増加したことに触れながら、「MUSICストアでは、(ストリーミング型聴き放題サービスの)MUSICストアセレクションを開始したほか、アニメストアを7月から開始しており、今後もさらにストアを拡大する」と語った。

dマーケットスマートフォンあんしん遠隔サポートの利用拡大

 スマートフォンあんしん遠隔サポートは、夏モデルでは全機種を対象としたことや、直近で13万契約を突破したことを紹介。さらにあんしんスキャンは500万近いダウンロードに達しており、セーフブラウジング機能の追加に加え、10月から危険なサイトにアクセスした場合には警告画面を表示する有料機能も追加するという。

 4月にスタートしたNOTTVは、9万5000契約となり、対応端末は夏モデルの5機種を加えて、7機種に増加。対応端末販売時の契約率は60%以上になっているとした。

ドコモ あんしんスキャンに新機能NOTTVの動向

Wi-Fiスポット、年度末には12万~15万カ所

 docomo Wi-Fiの利便性向上に関しては、6月には1万4200スポットへ拡大。2012年度末には12~15万スポットに拡大し、docomo Wi-Fiかんたん接続アプリにより、都度のユーザーIDやパスワードを不要にするなどの使い勝手の向上をはかるという。

docomo Wi-Fiのスポットを拡充総合ARPU

 なお、第1四半期の総合ARPUは、前年同期比6.3%減の4650円。そのうち音声ARPUは440円減の1900円、パケットARPUは130円増の2750円になった。年間では、音声ARPUで20.0%減、パケットARPUでは12.3%増を見込んでいるが、第1四半期は音声ARPUが15.6%減、パケットARPUでは9.0%増と、音声ARPUの落ち込みが少ないものの、パケットARPUの増加は「弱含み」とした。

 加藤社長は、「2012年度第1四半期は、ドコモならではの総合力生かした競争力強化のもと、様々な施策を展開してきた。その結果、パケット収入の向上、スマートフォン販売の推進、Xiサービスの展開、新領域の拡大といった課題に対して、着実な成果をあげることができたと考えている。純増数、解約数は厳しい状況が続いているが、セグメントごとの施策、家族セット割、Xiパケ・ホーダイライト、夏モデルのラインアップとあいまって、さらなる改善に手応えを感じている。今後もクラウドを活用した魅力的なサービスの提供、新たな事業領域の拡大に、私のモットーであるスピード感をもってチャレンジしたい。年間目標に最大限の努力をしていく」と総括した。

【お詫びと訂正 2012/07/27 20:12】
 初出時、記事タイトルに、7月分を含むスマートフォン販売数を用いておりましたが、第1四半期分だけの数値に修正いたしました。




(大河原 克行)

2012/7/27 20:02