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NTTグループ、陸上自衛隊と連携した防災訓練を実施

 NTTグループと陸上自衛隊 東部方面隊は、共同総合防災訓練を実施した。会場は陸上自衛隊 朝霞駐屯地で、NTTグループからはNTT東日本、NTTドコモなどが中心となって参加した。

陸上自衛隊 朝霞駐屯地の訓練会場
訓練内容

 NTTドコモはこれまでも自衛隊と連携し防災訓練を実施してきたが、NTT東日本などを含めたNTTグループとして自衛隊と連携した訓練を公開するのは今回が初めて。訓練の内容は大きく2つに分けられており、大規模災害発生時の初動として行われる自衛隊による人命救助を、NTTグループが通信設備の面で自衛隊と連携して支援する訓練と、被災地やインフラの復旧活動を、自衛隊の支援と連携して行う訓練が実施された。

 訓練会場ではこのほか、使用した車両の展示や衛星携帯電話、NOTTVによる災害時専用のデータ放送の画面などが紹介された。

初動では自衛隊の人命救助を通信面で支援

 NTTグループは「指定公共機関」として、災害発生時には自衛隊や自治体に対し通信面で支援を行うこととなっており、物資輸送訓練や搭載検証、搭載訓練も実施している。

 今回、埼玉県の朝霞駐屯地で実施された訓練では、首都直下型地震の発生を想定。地震発生後、災害対策本部を設置し、自衛隊のヘリコプターによる観測映像を共有した後は、人命救助活動の支援として自衛隊の活動拠点に対し、通信手段の構築を支援する訓練が実施された。ここでは、自衛隊のヘリコプター「UH-1J」による通信機材の搬送と、回線の設置や携帯電話の貸し出しが行われる。ヘリにはNTT側の人員も同乗、ヘリが着陸するとトラックに機材を積み替えて搬送、ドコモは衛星携帯電話を、NTT東は可搬型ディジタル無線装置による専用回線の設備の構築を行った。

訓練開始と災害発生時の様子。災害対策本部が設置され、通信網の状況が共有される
自衛隊の観測ヘリからの映像。写っているのは被災地と想定している訓練会場。近年になってデジタル伝送で高画質化されている
訓練会場を撮影している観測ヘリ。地上からは遠くに見える
自衛隊のヘリコプター「UH-1J」による通信機材の搬送
自衛隊員の誘導により「UH-1J」が着陸
機材の搬出を開始。積み替え先のトラックも到着
トラックに機材を積み替え、自衛隊の拠点に向かう
「UH-1J」が離陸
自衛隊の拠点で通信機材を搬出
搬出時の確認
衛星電話や可搬型ディジタル無線装置を設置、自衛隊の初動の人命救助を通信面で支援する
自衛隊の拠点に設置された電話
固定電話やドコモの衛星電話

エリアの応急復旧を自衛隊が支援

 人命救助活動の後か、平行して行われるという、避難所の通信確保では、通信が途絶している避難所に対し、衛星回線を利用して携帯電話のエリア化を行う。交通網が遮断されている地域に対応するため、自衛隊の輸送ヘリ「CH-47JA」による、機材や機材を搭載した車両の搬送を行い、ドコモは可搬型衛星基地局によりエリア化を実施、NTT東は可搬型衛星通信装置により特設公衆電話の設置やWi-Fi環境の構築を行った。また、車両が進入できる地域では、衛星移動基地局車や、衛星IP電話のIP-STARと移動基地局車を組み合わせたエリア化を行い、これらも車両が登場して装備を展開する訓練が行われた。

自衛隊の輸送ヘリ「CH-47JA」による機材の搬送
ヘリの後部ハッチから搬出を開始、積み替え先のトラックも到着
NTT、自衛隊と協力して積み替えていく
人員もトラックに同乗
輸送ヘリからは機材を搭載したNTTの車両も
トラックとともに避難所に向かう
「CH-47JA」の離陸。大型輸送ヘリで、操縦士以外に最大55名が搭乗できる
避難所に移動基地局車などが到着
ドコモの衛星移動基地局車
ドコモの衛星移動基地局車
「IP-STAR」のアンテナの設置
「IP-STAR」のアンテナ(訓練後)
「IP-STAR」と連携する移動基地局車の展開
NTT東による可搬型衛星通信装置(新型ポータブル衛星装置)の設置。特設公衆電話の設置に使われる
ドコモの可搬型衛星基地局のパラボラアンテナを組み立てている最中。発動発電機で動作する
ドコモの可搬型衛星基地局
NTT東による避難所へのWi-Fi環境の設置
Wi-Fiルーターはアンテナを経由し、離れた場所にある衛星装置と無線で接続されている
NTT東の可搬型Wi-Fi装置の設置。バイク部隊の隊員が設置している
NTT東 千葉支店のバイク部隊の車両

基地局など既設のインフラも復旧へ

 避難所などでのエリアの応急復旧が済んだ後には、通信インフラの復旧が行われる。ドコモは光回線が断となるなど被災した基地局に対し、5GHz帯マイクロ無線システムを構築、非常用のマイクロエントランスで伝送路の応急復旧を行い、既設の基地局の復旧を行う。NTT東は可搬型ディジタル無線装置により、各家庭への回線の応急復旧や、携帯電話基地局の復旧を行う。

 訓練では、上記の内容が実際に行われ、機材の輸送、設置、動作といった一連の流れが確認された。また、通信ビルなど大型施設にも電源を供給できる2000kVAの移動電源車がドコモ、NTT東から1台ずつ参加。ジェットエンジンのような音を響かせる巨大なガスタービンエンジンが稼働する様子も披露された。

被災した既設の基地局のアンテナを模した鉄塔に、応急復旧用の機材を取り付けていく
既設の基地局を応急復旧した様子
既設の基地局の応急復旧にはドコモ、NTT東の機材で連携
NTT東の可搬型ディジタル無線装置。伝送路の応急復旧に使われる
ドコモの5GHz帯無線アクセスシステム。人力で持ち運べ、基地局と交換局との間を接続する
ドコモの非常用マイクロエントランス。基地局と交換局などを無線で接続するための大型システムで、収容数が多い
通信ビルの停電や、基地局の予備電源も停止した場合に出動する移動電源車。最大2000kVAの電力を供給できる
設備を展開、実際にガスタービンエンジンを稼働させた
移動電源車のガスタービンエンジン。自走できる範囲で最大のサイズという
移動電源車の操作盤
NOTTVの取り組み
災害時に提供されるNOTTVのデータ放送。復旧エリアマップを確認できる
衛星携帯電話
衛星電話
自衛隊が調達している通信用の衛星アンテナ
訓練会場で稼働していた自衛隊の通信科部隊の車両

初動の連携を強化「いち早く連携し動き出すことが重要」

 訓練に先立って行われた説明会で、NTTドコモ サービス運営部 災害対策室 室長の山下武志氏は、「3.11以降、さまざまな対策を行ってきたが、いかに運用していくかが重要。自衛隊の人命救助では、被災地が広範囲になると通信面からの支援も要請される。今回の訓練では、初動や人命救助などを迅速に行う」と語り、自衛隊の活動を通信面で支援する取り組みを解説した。

 なお、無線通信を担当するドコモは、これまでも共同訓練を実施してきた陸上自衛隊のみならず、海上自衛隊、航空自衛隊とも連携できる体制を構築している。海自、空自との共同訓練については、実際の災害の発生などもあって実施には至っていない。

 共同防災訓練が終わると、陸上自衛隊 東部方面総監部 幕僚副長(防衛)の沖邑佳彦氏が訓練を総括した。沖邑氏は、NTTドコモとの共同訓練が9回目で、朝霞駐屯地では5年ぶりの実施になることに触れた上で、「着実に成果が出ている」とし、2013年の伊豆大島への災害派遣では、NTTグループの協力のもと、いち早く通信回線を復旧できたことを紹介。「人命救助は最初の3日間が重要で、いち早く動き、連携することが重要。通信は“神経”であり、NTTグループとの協定に基いて、一層連携を強化していく。双方の能力をきちんと認識し、災害時にどういう連携をしなければならないか、イメージアップしながら連携を深めていきたい」と締めくくった。

訓練に先立ち説明を行うNTTドコモ サービス運営部 災害対策室 室長の山下武志氏(左)、NTT東日本 ネットワーク事業推進本部 サービス運営部 災害対策室 室長の久保田伸氏
訓練の概要
訓練を総括した陸上自衛隊 東部方面総監部 幕僚副長(防衛)の沖邑佳彦氏

(太田 亮三)