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GPSケータイを忘れずに!
KDDI総研 恵木真哲
KDDI総研社長。過去2年間は主として世界の携帯電話市場の調査・分析を担当。豪州駐在経験を活かして、オセアニアのケータイ事情を随時紹介する。


 2月20日、北海道ニセコでスキーに来ていた27歳のオーストラリア人男性が行方不明となり、最終的には2月28日に捜索打ち切りとなった。この男性は、友人とバーで飲んだ後、一人で店を出て吹雪に遭遇したと見られている。皮肉にもこの男性はGPSシステムを利用する装置を開発するIT企業の経営者だったとのこと。この装置はスキーヤーが万一、遭難に遭遇した際には、遭難者の位置確認信号を送るというものだったらしい。開発途中だったのか、それとも、スキー中でなかったためか、運悪く、行方不明となった男性はこの装置を身につけていなかったらしい。

 そうかと思えば、1月中旬、一人のルーマニア人男性がオーストラリア北部準州の観光地のユララ(Yulara:かつてエアーズロックと呼ばれたUlulu近郊)から乾湖として有名なレーク・アマデウス(Lake Amadeus)までの45kmのハイキングに出発した。男性は4リットルの水とわずかな食料を携えてのハイキング敢行であった。携行した水は3日間で飲み干してしまい、疲労と脱水症状で最終的には道に迷ってしまったとのこと。ユララの1月の最高気温の平均は38.6℃は1年で最も暑い。豪州内陸部の過酷な気象条件の中でのトレッキングで、生命線である水が尽きたことは最大のピンチであったと容易に想像できる。

 6日間荒野を彷徨った男性は1月21日、ようやく携帯電話の電波域にたどり着いた。運よく、携帯電話を携行していた男性はすぐさまルーマニアの自宅に電話し、救助要請を行った。この際、携帯電話のGPS機能は男性の居場所をユララから20kmと表示したが、実際にはユララから22kmの地点で無事に救助されたとのことである。ちなみに、このルーマニア人男性は、南アフリカとアジアを徒歩旅行したベテランであるが、地元警察はデザートトレッキングには十分な水、食料や衣類等を準備するように警鐘を鳴らしている。

 今回の救出を可能にしたのは携帯電話のGPSと国際ローミング機能である。1980年代に某クレジットカード会社の「Don't leave home without it.(出かける時は忘れずに)」というCMが一世を風靡した。今やスキーやトレッキングにはGPS機能付き携帯電話が必需品。事前のGPSマップ確認は是非実行したいものであるし、ソーラー式充電器の携行も検討に値するかもしれない。トレッキングやスキーを計画される皆さんへ――「Don't leave home without mobile phone!」



KDDI総研 恵木真哲)
2009/04/24 11:51

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