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第458回:フィーチャーフォン とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「フィーチャーフォン」とは、通話に主眼を置きながら、カメラや音楽再生といった機能を搭載した、多機能タイプの携帯電話のことを指す言葉です。日本で現在、主流となっている、いわゆる「ケータイ」のほとんどがこのカテゴリーに属します。

 フィーチャーフォンの“フィーチャー”とは、「特色」「特徴」を意味する英単語“feature”から来ています。

 海外では、フィーチャーフォン、スマートフォンのほかに、通話とSMSのみしか機能がないような基本的な携帯電話のことをベーシックフォンと呼ぶことがあります。海外では、低価格なエントリー機としてベーシックフォンが販売されているケースがまだ多くあります。フィーチャーフォンは、このようなベーシックフォンよりも“特色や機能を多く持った携帯電話”と分類されます。

 日本国内では、市販されているほとんどの機種に、通話やメール以外の機能が数多く用意されているため、「フィーチャーフォン」というカテゴリーにはピンと来にくいのですが、海外の携帯電話事情を知った上で接すると、わかりやすい単語なのかもしれません。

ベーシックフォンより多機能、スマートフォンほど自由度はない

 フィーチャーフォンとよく対比として使われる単語には、「スマートフォン」があります。スマートフォンは、アプリケーションの仕組みとして、かつてPDAなどで用いられたものをそのまま取り入れた携帯電話のことです。最近ではiPhoneや、Windows Mobile、Android搭載の携帯電話などがスマートフォンと呼ばれます。

 フィーチャーフォン、スマートフォンの両方に搭載される特徴として「多機能」であることが挙げられます。たとえば、カメラや音楽再生、PCサイト対応のWebブラウザなどです。また、フィーチャーフォンでは、FeliCaのようなICチップを搭載することで、電子マネーなどを利用できる機能や、加速度センサーを利用して歩数計として利用できるものもあります。また、一部のフィーチャーフォンとスマートフォンでは、サードパーティが制作、提供するアプリケーションを実行することもできます。

 では、フィーチャーフォンとスマートフォンの違いで最も大きな点は何か、それはアプリケーション開発者へ与えられた自由度です。フィーチャーフォンでは、アプリケーションをサードパーティが作成できるものの、その環境はクローズドで、アクセスできる機能も厳しく制限されていることが多いと言えます。特にアプリケーション間のデータ交換、個人情報を保管するミドルウェアへのアクセスといった部分が厳しく制限される傾向があります。

 たとえば、日本の携帯電話をフィーチャーフォンとした場合、NTTドコモのFOMAでは、「iアプリ」と呼ばれるJavaで書かれたアプリケーションをサードパーティが作成し、携帯電話にダウンロードして実行できます。しかし異なる開発者によるiアプリ同士でデータ交換はできません。メモリ上にデータを書くことはできますが、他のアプリから、それを参照・変更することは、セキュリティ上の制約事項として基本的にはできなくなっています。また、いわゆる公式サイトから提供される「iアプリDX」でなければ、携帯電話内のアドレス帳へアクセスできませんし、ダウンロードしたサーバー以外のサーバーにはアクセスできないという制限もあります。

 一方、スマートフォンの場合、多くの場合、フィーチャーフォンと比較するとOSやミドルウェアのAPIへのアクセスの自由度が高く、それを活用したアプリケーションが多くあります。

 たとえば、iPhone用アプリでは、iアプリとは異なり、どのサーバーにでもアクセスできます。そのため、コミュニケーションサービスの「Twitter」用アプリは、誰でも作成できます。Windows MobileやAndroidでは基本的に、アプリケーションは、アドレス帳やデータベースへ自由にアクセスできますし、サーバーへのアクセス制限もありません。もちろん同じスマートフォンと分類されていても、機種によって自由度に差があります。iPhoneではアップルの審査を通過しないとアプリケーションを配布できませんが、AndroidやWindows Mobileではそのような制約はありません。ハードウェアを直接操作する、ドライバーソフトのようなものさえ、自由に作成、配布できます。

明確の定義はない

 非常におおざっぱに言えば、フィーチャーフォンは、いわゆる“携帯電話”的な使い方をされるもので、スマートフォンはパソコン的なテイストが多分に含まれたものと言うこともできるでしょう。しかし、「ベーシックフォン」「フィーチャーフォン」「スマートフォン」といった用語は明確に基準を定めた標準があるわけでありません。そのため、用語を使う人の立場によって違うこともしばしばあります。

 今回紹介した、スマートフォンやフィーチャフォンの例は、比較的一般的と考えられるもので、場合によっては違う意味で使われることもあります。

 たとえば、ノキアの携帯電話で用いられるソフトウェアプラットフォーム「S60」を搭載する携帯電話はスマートフォンと呼ばれることが多いのですが、マイクロソフトのフィーチャーフォン向けミドルウエア「One App」では、「S60」をフィーチャーフォンに分類しています。

 日本でも、「スマートフォン」ほど認知されている言葉と言いづらいのが現状で、これからも普及するかどうかわかりません。ただし、国内外の携帯電話関連事業者の幹部は、講演などで用いることもある言葉です。現時点では、だいたい「(日本における)一般的な携帯電話のこと」という意味で捉えておくのがいいでしょう。

 



(大和 哲)

2010/3/9 11:58