シャープ、ソフトバンク向け端末開発者インタビュー

ユーザーニーズにあらゆる角度から応えるラインナップ


106SH

 シャープはソフトバンクおよびウィルコム向けの2012年夏モデルとして、スマートフォン、フィーチャーフォン、PHSというバリエーションに飛んだ展開で計6モデルを投入する。

 スマートフォンとしては、ハイスペックなフラッグシップモデルの「106SH」、フィーチャーフォンで人気を博したPANTONEのスマートフォン版であり、放射線センサーを搭載した「107SH」、ベーシックな人気モデルのプラチナバンド対応版「102SHII」の3モデル。さらにフィーチャーフォンでは、ハイスペックモデルの「109SH」と、シニア向けモデルの「108SH」を用意。また、ソフトバンク傘下に入ってから調子を取り戻しているウィルコム向けにも、PANTONEモデルの「WX01SH」を供給するなど、広いニーズをカバーしている点が特徴といえる。

 今回は、全体のコンセプトや各モデルの特徴、そして多くの方が気になっているであろう放射線センサーについて、シャープの通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部 部長 林孝之氏と、同部係長 河本幸生氏、グローバル商品開発センター プロダクト企画部 係長 澤近京一郎氏に伺った。

ソフトバンク向け2012年夏モデルの特徴

林孝之氏

――まずは、夏モデル全体の特徴があればご紹介ください。

林氏
 今回、ソフトバンクさん向けの夏モデルとしてご用意させていただいたのは、スマートフォン3モデル、フィーチャーフォンが2モデル、そしてウィルコムさん向けのPHSが1モデルの、計6モデルになります。今回のラインナップは、ソフトバンクさん向けはすべてプラチナバンド対応を行っています。同時に、ULTRA SPEEDもサポートしていますので、お客様には全方位でご活用いただける内容になっていると思っています。

 まずスマートフォンですが、ますます需要が広がっており、フィーチャーフォンからの乗り換えを検討されている方や、初めてスマートフォンをご利用いただく方にも快適に使っていただけるような端末を、ニーズにあわせてご用意させていただきました。

 インターネットの活用、通話、SNSなど、何から何まで使いこなしたいというハイエンドユーザー向けなのは、「106SH」です。スペックにこだわる方にはおすすめのモデルですね。「102SHII」は、昨年12月に発売させていただいた102SHのプラチナバンド対応版になります。「107SH」は、カラーバリエーションを8色もご用意させていただいた、PANTONEのスマートフォン版ですね。「放射線センサー」が入っているということで、その点について注目を集めておりますが、それだけではなく大画面化する中で、手のひらにすっぽり収まるコンパクトさで携帯性を損なわないモデルも大事だろうということで、幅広いお客様に使っていただきたいと考えて開発したモデルになります。

 フィーチャーフォンの2機種ですが、1つは「108SH」。これはシニア向けの「かんたん携帯」です。「109SH」は、ハイスペックなフィーチャーフォンです。キー付きのモデルに関しては、まだまだニーズがございますので、我々としてもきっちりとサポートしていきたいと考えております。

ハイスペックなフラッグシップ「AQUOS PHONE Xx 106SH」

澤近京一郎氏

――では、始めに「106SH」の機能的な特徴についてご紹介ください。

澤近氏
 これは104SHの後継機で、今回のラインナップの中では、もっともハイスペックなフラッグシップモデルです。名前の「Xx」は「ダブルエックス」と読みますが、「extreme excellence」の略です。日本仕様といわれている、ワンセグ、赤外線、おサイフケータイ、これらが全部入ったスマートフォンなんですが、単に全部入りというわけではなく、ご利用いただく方に感動体験をご提供したいと考えて開発した自信作です。

 注目していただきたいポイントは3つあります。1つめは4.7インチのHD液晶。2つめは動作スピード、3つめは弊社が新しく開発した、新ホームUI「Feel UX」を搭載していることです。

 液晶はただ大きいだけではありません。非常に明るく綺麗に見えるのに、高画質と省エネ両立させている点がポイントです。これは「S-CG Silicon液晶システム」により実現しており、また、さらなる省エネのため液晶システムにメモリを搭載しており、静止画など、画面が動いていないときはメモリに情報を保持できるので、CPUからの画像伝送を停止し、システム全体で高い省エネ性能を実現しています。

106SH

 また、従来から搭載している、余分な反射を抑える「リフレクトバリアパネル」ですとか、「アウトドアビュー」といった屋外での見やすさはもちろんですが、加えて「SVエンジン 3」により、「ナチュラルカラーモード」という機能を追加しています。これまではスマートフォン上の鮮やかさが強調されてきましたが、できる限り現実の色に合わせるようチューニングするというものです。これにより、スマートフォンでWebショッピングされる際に、買ってみたら実際の色と違っていたということが防げます。

 レスポンススピードとしては、デュアルコア1.5GHzのCPUを搭載しておりますので、サクサク動きます。104SH同様に「ダイレクトトラッキング」技術にもしっかり取り組んでおり、指の動きと画面の動きがなめらかに連動するので、ストレスのない自然なスクロール操作が可能です。カメラ機能でも起動時間の高速化に取り組んでまいりましたが、今回約0.4秒という超高速の起動を実現いたしました。

 高速に動くだけではなく、いかに電池を長持ちさせるかという、こういったところにも注力しておりますので、2011年の秋冬モデルから搭載した「エコ技」も引き続きご利用いただけますし、バッテリーそのものの容量も前モデルの1520mAhからパワーアップさせ、1900mAhを標準で搭載しております。

 新ホームUIの「Feel UX」は、Androidに慣れてない方にも、いかに視覚的に分かりやすく操作していただくかということで開発しました。従来のロックスクリーンは、情報窓として活用でき、壁紙も楽しめる「ウェルカムシート」になり、ホーム画面は、アプリのアイコンが並ぶ「アプリケーションシート」、ウィジェット専用の「ウィジェットシート」、ショートカット専用の「ショートカットシート」の3つに分類された、シンプルな「3ラインホーム」になっています。従来のUIがお好きな方のために、従来のSHホームもプリインしておりますので、ホーム切替をして使っていただけます。

 さらに今回は音にもこだわろうということで、ホームシアターに相当するバーチャル5.1chサラウンド対応の「Dolby Mobile v3」を搭載しました。これはソフトバンクさん向けのシャープ製端末では初搭載になります。イコライザーがあるので、映画や音楽など、利用シーンに応じた最適なもしくはお好みの設定をしていただくことで、臨場感あふれるAVコンテンツをお楽しみいただけます。

 ハイスペックになってくると、当然メモリの容量も気になってきますので、32GBと大容量メモリを搭載しております。さらに、本体内の32GBのメモリの一部をSDカードとして使うことを可能にしています。従来は外付けのSDカードがないと、写真を撮っても保存できなかったんですが、この商品は写真を撮ったら本体メモリ内に保存できるようになります。もちろんSDカードスロットもございます。

――デザインは、これまでのものとちょっと違った印象を受けるのですが、どういった工夫をされていますか。

澤近氏
 今回は、初めての試みとして、表面にガラスを露出させているんです。今までは商品落下時の液晶割れ防止のために、周囲にリブを立て、ガラスを1段低くしていました。今回は時計のガラス面に見られるクリスタル感のある表現がしたいと考えまして、ガラスを一番上に出し、厚みを増して強度を保ちつつ、周囲をカッティングしてエッジを作りました。マルチコーティング処理により見る角度によって色が違って見えるんですよ。10種類のイルミネーションも搭載しましたので、綺麗な高級感のある光をお楽しみいただけます。

――ソフトウェア面で進化させた部分はありますか。

澤近氏
 文字入力関係に力を入れていますが、特にこだわったのは「漢字かな混じり手書き予測変換」ですね。従来は書いたままの文字を認識させていましたが、今回からは手書きで「会ぎ」と書いても、変換項目に「会議」と出てくるようになりました。タッチパネルでキー入力しづらいというお声もありましたので、手書きでもしっかり入力できるよう配慮しました。

 もう1つ、弊社独自で取り組んでいる機能として「どこでもコピー」があります。これは何かといいますと、テキストだけでなく、グラフィックで作られた文字も含めて、手軽にコピーできるという機能なんです。もともとスマートフォンはコピー&ペーストがしにくいというユーザーアンケート調査結果がありました。社内でも、なんとかここを使いやすいものにできないかと考えた結果です。

――「どこでもコピー」とは、具体的にはどのような状態になることなんでしょうか?

澤近氏
 画面に表示されている文字を認識して、テキストデータとして抽出し、メールなどにコピーできるということなんです。たとえば、Webページを見ていて、コピーしたいページのURLが書かれていたとしますね。これまでは、そのURLの書かれた部分だけコピーしようと思うと、うまく選択できなくて大変だったと思います。そこでノーティフィケーションパネルを出していただき、「どこでもコピー」を選択していただきます。すると、コピーモードになるので、画面上の文字で抽出したいエリアを指でぐるりと囲むんです。するとそのエリア内だけが認識されて、画面の下にテキストが抽出されます。あとはそれをメールに貼り付けたり、連携できる他のアプリに送ることができるんです。

 コピーバッファも10件まで拡大しています。従来モデルは、コピーバッファは1件までしか保持できなかったんですが、コピー履歴が10件まで保持できるようになったので、古いコピーでも遡って、再びペーストすることが可能になりました。

――それはかなり使い道がありそうですね。御社は以前から名刺の読み取りアプリなどに力を入れていましたが、その辺りのOCR技術がベースになっているのでしょうか。

澤近氏
 その通りです。今回はいかに文字を入力しやすくするかを課題として取り組んできまして、とにかくまず簡単にコピーして、テキストに落としてみようよということで、弊社が従来から持っている技術を応用し、チューニングすることで、非常に高い認識率を実現しました。

――「どこでもコピー」が利用できるのは、Webブラウザ上だけですか?

澤近氏
 ノーティフィケーションの通知エリアが出せるところであればどこでも利用できます。「ギャラリー」では利用できませんが、今回「おまかせアルバム」という機能を搭載しておりまして、そこからも利用できるようになります。写真などの画像にも使えるので、メモとして撮影した写真から、文字だけ抽出するといった使い方もできます。

――ソフトバンク向けモデルだけの機能なのでしょうか。

澤近氏
 そうですね。コピーバッファ10件というのは共通機能ですが、「どこでもコピー」は、現時点では、この端末と、このあとご説明する「107SH」のみでご利用いただけます。

女性に優しいサイズで放射線センサーも搭載「PANTONE 5 107SH」

河本幸生氏

――「107SH」は、今もっとも注目されている端末だと思われます。まずはコンセプトなどを教えてください。

河本氏
 「放射線測定機能」がかなりフィーチャーされておりますが、基本的には、幅広い方に使っていただきたいという思いから企画した端末です。ポイントは、手に取ったときのサイズ感、ラウンド感、そしてカラーの3点ですが、特にこだわったのは、もちやすさと操作しやすさですね。3.7インチフルワイドVGAの液晶を搭載しながら、幅が58mmで、かつラウンドを持たせることによって、非常に持ちやすく、特に手の小さな女性でも片手で操作ができるよう配慮しました。さらに、プラチナバンドに対応し、ワンセグ、赤外線、おサイフケータイ、防水対応と、全てそろっておりますし、ウェルカムシート上では、お父さんのウィジェットなど、遊べる楽しい仕掛けも用意しています。

――「放射線センサー」による放射線(ガンマ線)測定機能についてですが、相当反響があったのではないでしょうか。

河本氏
 そうですね。ソフトバンクさんの発表会で、かなりインパクトのある形でご紹介いただきましたので。

107SH

――なぜ放射線測定機能を搭載することになったのでしょうか。

河本氏
 原発の事故以来、非常に不安が高まっていますよね。どうして不安かというと、放射線は見えないからです。今どういった数値なのか分からない。これをデータとして見えるようにすることで、安心感をご提供したいなと思ったことがきっかけです。ソフトバンクさんと意向が一致して開発がスタートしました。ただ、我々は放射線については専門家ではありませんから、本当に自分たちの思いだけで作っていいのかという悩みもありましたので、慶應義塾大学の「地球環境スキャニングプロジェクト」に監修をお願いし、測定方法から文言に至るまで、細かい部分を相談しながら開発いたしました。

林氏
 いろんな市場の状況もありましたし、ソフトバンクさんからもご相談をいただいておりましたが、最近になってようやく実現できる技術が見えてきたという背景もあり、この商品に載せてはどうかというご提案をさせていただきました。

――フラッグシップモデルではなく、「107SH」を選んだのはなぜでしょうか。

河本氏
 この問題を特に気にされているのが、お子さんをお持ちのお母さんであるというアンケート結果がありました。この端末は幅広い方に活用いただきたいというコンセプトもあり、女性もメインターゲットになっていますから、そういう点からも、この端末に入れるのが一番意味があるだろうと考えました。

――なるほど。では、具体的にどんなことができるのかを教えてください。

河本氏
 このアプリでできることは「放射線量の測定」と、「測定した放射線量を見る」の2つです。測定には「常時測定」と「しっかり測定」の2種類がありまして、「常時測定」は携帯している間、周辺の放射線量を見える化するとともに、独自に設定しておいた数値を超える高い線量を測定したときには、音とバイブとインフォメーションでお知らせします。「しっかり測定」は特定場所の放射線量の見える化を行います。測定結果は、カレンダーやマップを使って見られるようになっています。

 まず、アプリを起動すると、現在の放射線量が確認できます。これは8段階のゲージと数値により、線量を見える化したものです。ゲージの色は、文部科学省で採用している色に準拠しております。ここで使われている測定値は、常時測定データから過去5分ぶんの線量を取り出して算出し、10秒ごとに値を更新します。

 常時測定に関しては、ウェルカムシートにウィジェットとして、常時測定値のゲージを表示できます。常時測定がオフだった場合は、「放射線常時測定がオフになっています。オンにしてください」というメッセージを告知します。常時測定のオン・オフは、上のノーティフィケーションでワンタッチで切り替えできるようになっています。

 「しっかり測定」は気になる場所の線量を把握するのに用います。ボタンをタップすると、測定方法の説明画面が表示されるので、内容に従って準備し、「しっかり測定を開始する」をタップしていただければ測定が始まります。測定時間は基本2分ですが、さらに精度を上げたいときは最大40分まで延長して測定し続けることができます。その精度については、測定された数値の下に「精度」として★印で表現しています。★が5つのとき、±20%です。

 なぜこのような測り方をするかというと、線量率と測定時間によって精度が変わってくるからなんですね。放射性物質がセンサーの中を何回通ったかというものから線量率を出すんですが、線量率が高いと、短い時間でも精度が出ますが、線量率が低いと時間をかけないと出ないんです。出ていないことを証明するには、かなり時間がかかってしまうということです。計算上、0.05マイクロシーベルトを±20%に入れようとすると、約30分くらい必要です。

――★が5つで±20%というのは、精度が良いということなんでしょうか?

河本氏
 弊社では、スペック上、±20%という精度を言ってるんですが、これは先程も申しましたが線量率と測定時間によって、精度っていうのは変わって来ます。ですので十分な時間をかけて測定し★が5つになった場合、このセンサーの性能としては、最も高精度で測定できているという意味になります。

林氏
 今回の測定機能は専用機器ではないので、ある程度の目安としてお使いいただくのが一番いいのかなと思います。当然、我々としては不安を煽るというつもりは全くございませんし、携帯に入れたことによって、常に量れるような環境をお客様に提供できる、そういった点を重視しておりますので、実際に測れるセンサーとして、まず目安としてご利用いただきたいです。高い線量が検出された場合は、改めて専用器で計り直すなど、次のアクションができるのかなと思います。

――しかし、素人が数値の妥当性を評価するのは難しそうですが。

河本氏
 そうですよね。ですから、アプリケーション画面の現在の放射線率の下には「放射線について」というボタンを用意しました。これは「日常生活と放射線」ということで、文部科学省のご了承をいただいて、Webページに公開されている放射線に関する情報を紹介しているものです。胸部X線の検査ではどれくらい、飛行機で東京とニューヨーク間を往復するとどれくらい、という日常生活で浴びる放射線量について知っていただくことで、表示される現在の放射線率の値がどういうものか判断していただけると思います。さらにガイドからは用語集も表示できるようになっております。

 また、「しっかり測定」でも、「精度」の下に「目安」という項目がありまして、そこに参考数値を示しており、現在の測定値はほぼその範囲内に入っていますよという目安となります。たとえば、測定値が0.07で、精度の★が3つくらいのときに、「目安」が0.04~0.12と表示されていた場合、お客様がこの範囲であれば問題ないと感じられたら、そこで測定を終了してもよいという判断材料にしていただけます。

――確認画面の「累積放射線量を確認する」とはどんなものなのでしょうか。

河本氏
 そこでは、常時測定にて測定された値を元に、このまま推移すると、年間でだいたいこれくらい放射線を浴びるのではないか、という予測値が分かる「今年の累積予測」や、時間別、日別、月別、年別の累積線量を確認できます。ちなみに政府が出しているガイドラインでは、年間の一般公衆の線量限度が1ミリシーベルト、放射線従事者の限度値は50ミリシーベルトとなっております。

――履歴の確認ではどこまで分かりますか?

河本氏
 「放射線履歴を確認する」では、「しっかり測定」で測った過去のデータが、日表示、カレンダー表示、住所別表示、測定値順表示の4パターンでチェックできます。地図マーカーをタップすると、地図を表示して、実際にどのポイントだったかが分かるようになっています。

――測定精度を保つために、ユーザー側が何か気をつけたほうがいいことや、ケアしなくてはいけないことはありますか。

林氏
 筺体のどこかに穴があって、そこから測定しているというわけではないんです。ですので、特にお客様が気にしていただく必要はありません。ただ、万が一放射性物質が端末に付着してしまった場合は、次回から正しい測定ができなくなる可能性があります。本端末は防水ですので、本体が汚れたら水で洗っていただきたいと思います。

――普通に持ってるだけでOKということですね。常時測定ということは、常にセンサーが動いているということだと思いますが、そうすると、バッテリーが心配なんですがその点はいかがでしょうか。「エコ技」の通常モード以外で使えないなどの制約はありますか。

河本氏
 「エコ技」のお助けモードのときは使えませんが、「技あり」までは常時測定できます。

林氏
 バッテリーも、通常お使いいただいている状況では、ほとんどお客様が意識しなくてもいいくらいの消費電力量です。メールを見たり、何かをチェックしたり、そういったものでしたら、影響ない範囲だと思っています。

――親としては、子供が放射線量の多いところで遊んでいるのではないかというのが気になると思うんですが、たとえば、子供と親の端末で測定情報をシェアして、親が把握するといった機能は今後考えられそうですか?

林氏
 あり得ると思いますね。今回はこのモデルに搭載しましたが、お客様の反響を聞かせていただきながら、今後の検討をしていきたいなと思います。

――測定アプリの起動に右下のボタンを押しましたが、押し方によって動作は変わりますか。

河本氏
 「クイック起動キー」ですね。まず画面消灯時から押すと、画面点灯にいきます。画面消灯時、1回押すと画面がつきます。通常の画面が点灯しているときの短押しはアプリの起動に紐付いています。長押しは、必ずしっかり測定の測定画面、測定中に紐付いています。

――サイドキーではなく、手前にあるというのが親切だと思いました。このボタンの割り当てアプリは固定なのでしょうか?

林氏
 通常お使いいただいている中で、そこが結構重要な部分だと思っています。このモデルについてはスマートフォンのファーストユーザーに多くお使いいただきたいと考えております。お客様に心地よく使っていただくためには、何かしらのボタンがいるよね、ということで、このボタンを付けました。今回、初期設定では放射線センサーアプリを起動する設定にしていますが、カメラでもメールでも、お客様の使い方によって設定は変えられます。

――ちなみに、SIMカードを抜いても放射線センサーは利用できますか?

河本氏
 できます。

人気モデルをプラチナバンドに対応「AQUOS PHONE 102SHII」

102SHII

――「102SHII」について、前モデルとの違いを教えてください。

林氏
 こちらは前モデル102SHのプラチナバンド対応モデルになります。102SHは年末に出させていただいたモデルなんですが、まだまだ根強い人気機種ということで、マイナーバージョンアップになります。

 4.5インチでHD液晶、3D液晶付きで、スペック的に前モデルから特に変更点はございません。CPUはデュアルコアの1GHzを使っております。「エコ技」、ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイはもちろん、防水にも対応しております。カメラに関しては、今回の夏モデルの中では唯一、光学手ぶれ補正を搭載してます。カメラの部分にこだわるユーザーにはお勧めですね。

――カラーバリエーションには変化がありますね。

林氏
 カラーに関しては若干色を変えてます。前機種は、ホワイト、ブラック、パープルという展開だったんですが、今回はブラック、シルバー、ピンクの3色です。シルバーについては、ホワイトにちょっとパールを入れたもの、ブラックはマット調で、なめらかで優しい触感にしています。

――OSに関しては、Android 2.3で出して、今後4.0にアップデートされるそうですね。その場合のUIはどうなるのでしょうか。

林氏
 UIに関しては、Feel UXと従来のSHホームの2つを入れさせていただく予定です。

通話機能が進化した「かんたん携帯 108SH」

108SH

――「108SH」の特徴を教えてください。

林氏
 つながりやすさと使いやすさを追求している、かんたん携帯シリーズの3モデル目になります。こちらもプラチナバンドに対応しておりますが、それだけではありません。高機能なものを求めるというより、シンプルに使いこなせるもの、しっかりとした基本機能がこのモデルのキーだと考えておりますので、通話機能、特に聞き取りやすさを進化させています。具体的には、マイクを2つ入れ、ノイズキャンセラ、音声強調、エコーキャンセルといったこの3つの要素を入れた「トリプルくっきりトーク」に対応しました。

 また、使いやすさの点では、「まるごと音声パネル」を引き続き搭載していますし、他にも緊急地震速報、緊急速報メールに対応しています。地図を見たいというニーズは高いようなので、専用のアプリケーションを開発いただきまして、通常のモデルより大きく、視認性も非常にいい地図アプリが搭載されているのも特徴ですね。さらに卓上ホルダを同梱していますので、気にしないでポンと入れていただければ簡単に充電できます。

――「まるごと音声パネル」のまるごとというのは、どういう状態ですか?

林氏
 液晶面がそのまま振動して音声が聞こえる仕組みです。スピーカー穴やレシーバー穴を気にせず、どこに耳をあてても聞こえるんです。耳当てのような印はつけていますが、これはただの印です(笑)。ここから鳴るわけではなくて、この面全体から鳴ります。

――背面のパネルで工夫されているところはありますか。

林氏
 この背面のパネルは常時表示が可能になっています。サイドキーを押すことで、時計だけ、日時、アナログ時計風、あとは歩数計付きなどに切り替えられるので、何かボタンを押して画面を起こして時間を確認するという手間なく、見たいときにパッと見て確認できます。持ったときに、自動的にライトがつくようにもなっています。

プレミアム防水ケータイ「109SH」

109SH

――「109SH」の特徴について教えてください。

林氏
 この端末の前モデルは004SHになります。プラチナバンドに対応したのはもちろんですが、いかに綺麗な形に仕上げるかというデザイン性にこだわりました。カメラも10メガのCCDから、12メガの裏面照射型CMOSカメラに進化させております。ワンセグ、赤外線、おサイフケータイ、防水対応で、卓上ホルダーも同梱しています。

――スマートフォンへの流れが加速する中でのフィーチャーフォンですね。もっとも使いやすい1台で、必要なものにはすべて対応し、さらにデザイン性に磨きかけたという感じでしょうか。

林氏
 その通りです。普及モデルのPANTONEだけでなくて、004SHのような、画面も大きい上位クラスのモデルをご要望いただく機会がまだまだ非常に多いんですね。そういったお客様のニーズにお応えするためにご用意させていただいたのが、今回の「109SH」になります。

ウィルコム向けのPHSで人気のPANTONE「WX01SH」

WX01SH

――これまではソフトバンク向けの端末をご紹介いただきましたが、最後はウィルコム向けの1台ですね。見た目はもう完全にPANTONEなんですが、どういった特徴があるのかをご紹介ください。

林氏
 まさに、ソフトバンクさん向けのPANTONEのデザインを踏襲したPHSになります。

――PHSにするのに苦労した部分はありますか。

林氏
 かつてPHSも開発しておりましたので、ノウハウは当然ございましたが、簡単だったかというとそうでもないですね。音声部分の最適化などは苦労しました。

――デザイン的に全く変えなかったというのは、何か意図があるんですか。

林氏
 逆に変える必要がなかったんです。この筐体、このサイズ感に入れることで、商品性としては十分だと判断しました。端末としては、それだけ完成系だったと言えると思います。

――PHSにはまだまだ高いニーズがあるということでしょうか。

林氏
 我々メーカーが言うのも変ですが「だれとでも定額」と「もう1台無料のキャンペーン」の人気は高いですね。若年層だけでなく、ビジネスパーソン含め、非常に幅広い層のお客様がお使いだとお聞きしております。

 こうした料金プランの効果により、ビジネスでもしっかり使える端末へのニーズが高まったのではないかと思います。2台持ちも当たり前になってきてますから、今までシャープの携帯電話を使っていたお客様であれば、違和感なく操作できたりとか、そういうのは大きいと思いますね。法人様のニーズも結構あると聞いています。このPANTONEは、ソフトバンクさん向けの端末としては、かなり認知いただいているモデルですので、見た目も従来のPHSとは違う印象になると思いますし、いい効果が出るんじゃないかなと思います。そういった部分を我々としても期待してます。

――従来のPANTONEより、電池の持ちもよくなりそうですか?

林氏
 まだスペックはきっちり出ていないんですが、PHSは消費電力が全然違うので、よくなると思いますよ。元々弊社はW-ZERO3などの情報端末を納入させていただいた実績もありますし、PHSに関しては、今後相乗効果を出せるような展開にして行けたらと考えています。

――本日はどうもありがとうございました。




(すずまり)

2012/7/3 11:47