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第50回:TFD液晶とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


アクティブマトリクス液晶のひとつ、TFD

 現在、携帯電話のカラー液晶パネルにはいくつかの方式がありますが、大別すると、パッシブマトリクス方式とアクティブマトリクス方式の2つに分けられます。

 NTTドコモのF503iやP503iなどで採用されているSTN液晶はパッシブマトリクス方式の液晶パネルです。多くの携帯電話・携帯機器用で使われ、カラー液晶のものは256色の色を発色できるものが主流です(現在では携帯電話用として6万色以上発色できるものも発表されています)。

 一方、J-フォンのJ-SH07やNTTドコモのSO503iで採用されているTFT液晶パネルはアクティブマトリクス方式の液晶です。J-SH07の特長でもわかるように非常に鮮明でコントラストの高い画像を表示する事ができます。

 TFD液晶はTFT液晶と同様にアクティブマトリクスタイプ方式に属する液晶パネルです。パッシブマトリクス方式のSTN型液晶パネルと比較して画質、発色ともに鮮明であることが特長です。携帯電話の機種としては、NTTドコモD503iやN503iで利用されていて、これらの機種では4096色表示の可能なTFD液晶モニタを搭載しています。


ダイオードが使われているTFD液晶

 TFD液晶は、その名前「TFD」(Thin Film Diode=薄膜ダイオード)が示すように、各画素にダイオードを搭載し、アクティブマトリクスを作っています。

 同じアクティブマトリクス方式のTFT液晶は、やはり名前「TFT」(Thin Film Transister=薄膜トランジスタ)で示されるように各画素にトランジスタを含む回路が作られています。

 簡単に言えば、TFTでは、トランジスタを含む回路だった部分がダイオードを含む回路になっていると思えばだいたいあっているでしょう。

 アクティブマトリクス方式であるため、TFD液晶はTFT液晶と同様にコントラストの高い綺麗な画像を表示することができます。

 また、TFD液晶は構造がTFT液晶と比較するとシンプルなため、TFT液晶と比較して「明るく見やすい液晶が作りやすい」というメリットもあります。

 トランジスタとダイオードは両者ともそれぞれ「半導体」で作られた部品です。ただし、トランジスタはP型N型P型(あるいは逆にN型P型N型)と3種類の半導体の組み合わせで作られますが、ダイオードでは、これがN型P型の2つだけで作られています。

 つまり、トランジスタでは3つの電極が必要ですが、ダイオードでは電極は2つのみすみます。そのため構造的にはTFT液晶パネルでは、縦方向と方向に配線をしなければなりませんが、TFD液晶ではひとつ減らして、縦横どちらかの配線だけでOKです。

 そのため、画面の配線が少なくてすみ、液晶パネル内での光の通り抜けがよくなります。つまり、それだけ明るい液晶が作りやすい、のです。


TFD液晶とTFT液晶の簡単な画素の図解。TFD液晶はパネル中の配線を1方向だけで済ませることができる。その分、明るい液晶を作る事ができ、また安価に作ることができるというメリットがある

 加えてTFD液晶では、ダイオードと液晶(LC素子)以外に余分な回路が存在していないため、TFT液晶と比較すると低消費電力化が容易であるとされています。

 実際に、セイコーエプソンから出荷されているカラーMD-TFD(Mobile Digital-Thin Film Diode)液晶パネル「MD20SBTシリーズ」では消費電力が2.5mWとかなり小さく抑えられています。

 当然、TFD液晶搭載の携帯電話は、TFT液晶搭載の携帯電話と比較して電池の持ちなどでも有利になるだろう、という推測ができます(もちろん、携帯電話の消費電力は画面だけで決まるわけではないので、これだけで一概に電池の持ちが良くなるとは言い切れませんが)。


セイコーエプソン製のMD-TFDが多くの機種に採用

 現在、携帯電話用のTFD液晶としてはエイコーエプソン社のMD-TFD液晶パネルが有名で、同社から各携帯電話メーカーに提供されて、携帯電話に組み込まれています。

 このMD-TFTとはMobile Digital-Thin FilmDiode(モバイル・デジタル・薄膜ダイオード)の略で、駆動回路がすべてデジタル回路で構成され、COG(チップオングラス)、MCM(マルチチップマウンティング)といった技術が採用された液晶パネルです。

 もともとは、デジタルカメラの液晶パネルとして使われているD-TFTをモバイル用途向けに改良したもので、STNタイプの液晶と同様の低消費電力でありながら動画や自然な色を再現できる液晶パネルとされています(なお、セイコーエプソン社はSTN方式のカラー液晶モジュールも出荷しています)。

 ほとんどが6万色以上の表示ができるTFTと違い、現在出荷されているTFD液晶パネルはみな4096色しか表現できないパネルです。

 が、次世代のMD-TFT IIでは26万色表示のものが登場し、また4096色のものでも「EPSON ColorModulation」という少ない色数でも多くの色を鮮やかに表現する技術を使うことで、物理的には4096色しか表現できない液晶パネルでも、26万色相当のカラー画像を表現を可能にする、などといったタイプの液晶モジュールも登場してきています。



(大和 哲)
2001/07/03 00:00

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