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第338回:デュアルコアプロセッサ とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「デュアルコアプロセッサ」とは、2つのCPUコアを内蔵しているチップ(マイクロコンピュータ)のことを言います。

 「CPUコア」とは、CPU内の命令制御部や演算部、キャッシュメモリが含まれるブロックです。命令の実行や演算などがここで行なわれます。コアという名前の通り、CPU内の“核”となる部分であるといえるでしょう。

 コンピュータのプロセッサは、設計する際に、このCPUコアを複数内蔵する「マルチコアプロセッサ構成」にできます。

 デュアルコアは、コアが2つということで、マルチコアプロセッサの中でも最も基本的な構成であると言えるでしょう。コア構成としてはこれまで、CPUコアを1つしか搭載しないシングルコアが最も一般的ですが、パソコンなどで使われるCPUでは、4つのクアッドコア、サーバー用のものでは8つのオクトコアというものも存在しています。


CPUパワーを上げるための工夫

 シングルコアと比べて、デュアルコア、クアッドコアとコア数が増えるにしたがってプロセッサ内の回路は大きく、複雑になってしまいます。ですが、マルチコアのプロセッサが開発される最も大きな理由としては、シングルコアのプロセッサで同等の処理性能を持つものを作るより、安価にできるという点が挙げられます。

 コンピュータの処理能力を上げる、つまり一定時間内により多くの処理をするには、いくつかの方法があります。たとえば、プロセッサに供給するクロック数を上げる方法です。

 プロセッサは、命令を実行するために一定の時間間隔でタイミングを取って、その間にメモリからデータを読み、演算する……という処理を行なっています。このタイミングを取るために一定感覚でクロック信号を供給しているわけですが、クロック数が倍になれば、時間内に処理できる命令は倍に増えることになるわけです。

 ただし、このクロック数を上げるという方法には欠点がいくつかあります。たとえば、対応クロック数が高ければ高いほど設計が難しくなります。また、消費電力も増えますから、携帯機器に搭載する場合は電池の持ちや発熱なども問題になってしまいます。メモリも倍の速さで読めなければなりませんが、高速なメモリは高価ですし、メモリが以前と同じ性能のものであればデータやプログラムを読み込むためにかかる時間が変わりませんから、最終的な処理スピードは向上しません。

 ここで発想を転換します。1つのプロセッサの仕事を倍にするのではなく、命令を実行するCPUを2つ内蔵すれば、1つのプロセッサで2倍の仕事ができます。この考えで、プロセッサ内にCPUコアを2つ入れて作られたのがデュアルコア構成のプロセッサです。もし、プロセッサが処理しなければならない仕事の内容が同時並行に処理させることができるものならば、プロセッサが複数あれば、実行にかかる時間は、並行に処理した内容のうち、一番長いものの長さで済むことになります。

 マルチコアプロセッサ構成では4つ、8つとコアをさらに大きなマルチコア構成とすることでさらに処理能力を上げることも可能です。

 注意しなければならないのは、2つ、4つ、8つとCPUコアが複数あるからといって、どんな場合でもプログラムの処理能力は2倍、4倍、8倍にはならないということです。

 というのも、CPUコアが複数あるとしても、処理するプログラムが並行に処理できるものでなければならないのです。並行に処理できるようなものでなければ、デュアルコアプロセッサでも、1つのプロセッサが動作している間、もう1つは待ち時間に入ってしまいます。

 たとえば、単純な繰り返し計算では、前の計算の結果が次の計算のために必要となるためマルチコアでもあまり意味がありません。例としては、サーバーのCPUのように、複数のユーザーから接続要求があってそれぞれに処理をする、というような全くお互いに関連しない複数の仕事を、それぞれのユーザーに待たせないように処理をしたい、というような仕事にマルチコアプロセッサは向いていると言えるでしょう。


携帯電話でもデュアルコア

SH-Mobile G2

SH-Mobile G2
 最近では、パーソナルコンピュータ用のCPUでデュアルコアプロセッサが使われるようになってきていますが、携帯電話のチップセットでもデュアルコア構成のチップが登場しています。

 これは、携帯電話の中でプロセッサが司る部分が「通信ベースバンドの処理」と人が使う「アプリケーションの処理」に分けることができるためです。

 この2つの作業は、多くの場合、全く独立してそれぞれ携帯電話内で実行されます。そのため、1つのプロセッサを使って倍の作業をやらせるよりも、2つのプロセッサにそれぞれの作業をするプロセッサを割り当てたほうがリーズナブルに処理能力をあげることができる、というわけです。ただし、シングルチップでもユーザーを待たせれば処理自体は可能ですので、比較的、高い性能が求められるハイエンドの携帯電話や、携帯端末用のチップセットでデュアルコアプロセッサが用意されています。

 具体的には、携帯電話用のチップセットでは、たとえば、クアルコム製のチップセットMSM7200、MSM7500などが、このデュアルコア構成となっています。日本ではMSM7500がauの次世代プラットフォーム「KCP+」で採用されることが決まっており、今後このプロセッサを搭載した携帯電話が秋冬モデルから発売されるとされています。また、NTTドコモやルネサス テクノロジなどが開発している「SH-Mobile G2」は、ベースバンド、アプリケーションと複数のCPUコアを搭載しており、SH-Mobile G2と関連するプラットフォームは2007年秋に登場する携帯電話での採用が予定されています。また、NECエレクトロニクスでは、CPUコアを3つ搭載した「MP211」という製品を2004年に発表しています。


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(大和 哲)
2007/09/12 12:41

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