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AVプレーヤーへの進化を目指した「SO505iS」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるVAIO 基本編 2004年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


スマートになった180°スタイル

 昨年発売されたNTTドコモの505iシリーズの中でも最も注目を集めたSO505i。そのユニークな回転式ボディを進化させ、AV機能を強化することにより、「モバイルAVケータイ」として生まれ変わったSO505iSが発売された。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。


なぜか進まないケータイのオーディオ対応

SO505iS

 NTTドコモ/ソニー・エリクソン『SO505iS』。サイズ:51×110×25mm(折りたたみ時)、133g。マンダリンオレンジ(写真)、プラチナブラック、ハニーベージュをラインアップ
 私たちが普段、持ち歩くアイテムを次々と飲み込んでいくケータイ。アドレス帳やスケジュール帳はもちろん、時計やカメラもほとんどの機種で凝ったものが搭載されるようになり、年内にはICカードによって、財布(というより小銭入れ?)や定期券の機能まで取り込もうとしている。

 これだけいろいろなものを取り込んできたケータイだが、意外にも苦戦しているジャンルの製品群がある。それはオーディオプレーヤーだ。1979年にウォークマン「TPS-L2」が登場して以降、日本はもとより、世界中で『好きな音楽を持ち歩く』というライフスタイルが普及し、完全に定着している。音楽を記録するメディアもカセットテープがCDに置き換わり、DATやMDが登場し、最近ではメモリーカードやHDDを利用したデジタルオーディオプレーヤーが人気だ。

 このオーディオプレーヤーの機能を取り込むべく、ケータイも過去に何度となく、メモリーカードを利用したオーディオプレーヤーにチャレンジしてきているのだが、意外なことに他の機能ほど、普及するに至っていない。たとえば、メガピクセル級のカメラ付きケータイを購入したユーザーから「デジタルカメラが欲しかったけど、これなら1台で済むワ」といった声はよく耳にするが、「ケータイで音楽を聴けるから、もうMDはいらないの」という話はあまり聞いたことがない。新入学シーズンにはポータブルタイプのMDプレーヤーが相変わらずよく売れており、ケータイにとって、ポータブルオーディオプレーヤーの壁はなかなか厚いようだ。しかし、昨年来、カメラ付きケータイがメガピクセル化し、メモリーカードスロットが標準で装備されたことで、再びオーディオ再生に注目が集まっている。

 今回紹介するNTTドコモのソニー・エリクソン製端末「SO505iS」もそのひとつだ。メモリーカードを利用したオーディオプレーヤー機能とモバイルムービー機能を搭載し、「モバイルAVケータイ」として進化を遂げている。同社はソニーとして端末を開発していた時代に「SO502iWM」や「C404S DiVA」などでメモリースティックウォークマンの機能を取り込み、オーディオプレーヤーを実現した実績がある。当時は注目を集めたものの、残念ながら、大ヒットにはならず、その後のモデルには継承されていない。つまり、今回のSO505iSは以前紹介したauのA5404Sと並び、AV機能へのリターンマッチでもあるわけだ。

 また、ソニー・エリクソン製端末と言えば、昨年発売されたSO505iが「180°スタイル」と呼ばれる回転式ボディで人気を集めたが、今回のSO505iSも同じスタイルを継承している。しかし、ボディを大幅にスリム化することで、従来モデルよりも一段と魅力的な端末に仕上げている。AV機能の出来なども見ながら、その出来をチェックしてみよう。


ステレオスピーカーを搭載

折りたたみ時

 SO505iに比べ、約8mmのスリム化を達成。通常の折りたたみデザインの端末と変わらないレベルに仕上げられている
 製品のスペックや細かい仕様については、NTTドコモとソニー・エリクソンの製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。

 まず、ボディは前述の通り、回転式の「180°スタイル」を採用しているが、ボディの厚さや回転機構、ボタン類などが見直されており、全体的に別のケータイに仕上がったという印象に近い。ちなみに、ボディの厚みはSO505iが33mmだったのに対し、SO505iSは25mmまでスリム化されている。この25mmという数値は最近の折りたたみケータイとほぼ同等であり、実際に持ったときの印象もほとんど変わらない。これだけのスリム化を図ったにも関わらず、本体の左右側面にはステレオスピーカーを内蔵し、AV機能へのこだわりを見せている。

 本体を閉じた状態の左側面にはメモリースティックDuo対応スロット、右側面には平型コネクタのイヤホンマイク端子を備える。背面側にはレンズカバー付きカメラを装備しており、カメラ部横には自分撮りなどに使う「フォトミラー」、暗所での撮影に便利な「フォトライト」を備える。フォトミラーは従来のものより、ひと回り大きくなっている。SO505iではテンキー部の下にユニークな可動式アンテナを装備していたが、SO505iSではほぼ同じ場所に内蔵されるようになり、見た目もスッキリまとめられている。回転機構もSO505iSではテンキー部側が回転部に向けて、カーブしたデザインになっていたが、SO505iSではカーブが緩やかになり、端末を開いた状態の角度がフラットに近くなっている。

 液晶ディスプレイは240×320ドット/26万色表示が可能なTFTカラー液晶を採用する。SO505iでは表示フォントの粗さがたいへん不評だったが、SO505iSではQVGAサイズに合わせた精細なフォントを採用している。SO505iのレビューでは厳しいことを書いたが、QVGAサイズの液晶を搭載するなら、やはり、最初からこのレベルのフォントを採用するべきだろう。ちなみに、SO505iSは回転機構を採用しているため、サブディスプレイは装備されていない。


カメラ ディスプレイ
 背面のカメラはレンズカバーで保護されている。自分撮り用ミラーはSO505iよりも大きくなっており、多少は撮りやすくなっている  液晶ディスプレイはQVGAサイズの表示が可能なTFTカラー液晶を搭載。表示フォントもQVGAサイズに合わせた視認性の良いものに変更されている

ディスクジョグ

 SO505iSで新たに採用されたディスクジョグ。周囲のディスク部を回転させることで、カーソルを動かすことができる。ディスク内側には方向キーと決定ボタンも備える
 SO505iSが従来のSO505iに比べ、外見上で最も大きく変わったのはボタン類だろう。ソニーおよびソニー・エリクソン製端末ではセンタージョグが採用されてきたが、今回のSO505iSでは「ディスクジョグ」と呼ばれる新しい機構が採用されている。構造的には決定ボタンと方向キーを組み合わせた部分の周囲に円盤状のディスクを装備し、それを回転させることにより、従来のジョグダイヤルと同じようなスクロール動作を可能にしている。操作性はやや独特で、若干の慣れを必要とするが、動きそのものは非常に軽快な印象だ。むしろ、気になるのは耐衝撃性だろう。特に、ディスクの下側部分は本体面よりも少し出っ張っているので、あまり乱雑に扱わないようにしたい。

 ディスクジョグの周囲には右上から順に[iモード]ボタン、[電源/終了/応答保留]ボタン、[マイセレクト]ボタン、左側には上から順に[メール]ボタン、[発信]ボタン、[クリア]が並んでいる。テンキー部側のレイアウトは基本的に従来と同じで、最下段には[マナー]ボタンと[メモ]ボタンが備えられており、これらはコンテンツやメール閲覧時に一画面単位のスクロールボタンとしても機能する。

 端末を閉じた状態の右側面にはカメラのシャッターボタン、マクロ撮影切替スイッチ、左側面にはスライド式の[ロック/ライト]キーを備える。[ロック/ライト]キーでロックを掛けることにより、各ボタンの誤操作を防ぐことができる。ちなみに、ロック状態は端末を閉じた状態でも開いた状態でも有効になる。


キーレイアウト ロックキー
 ディスクジョグの周りに各機能を呼び出すためのキーをまとめたレイアウトを採用。SO505iよりも段差が少なくなり、操作性は改善されている  液晶ディスプレイ部の左側面にはスライド式の[ロック/ライト]キーを備える。ロック状態にすれば、キーの誤操作を防ぐことができる

ディスクジョグ対応の新デザインメニューを採用

 次に、機能面について見てみよう。ソニー・エリクソン製端末ではセンタージョグを採用していたため、メニュー画面なども他製品と少し異なっていたが、今回のSO505iSではディスクジョグを搭載したため、メニュー画面のデザインも一新されている。

 待受画面で[決定]ボタンを押して表示されるメニューは、「エンターテインメント」「電話」「ツール」「設定」「iモード」の5つにグループ分けされており、画面左半分に選択したグループ名とアイコン、右半分にグループ内の各項目が表示され、ディスクジョグを回転させることで、それぞれのグループを選択することができる。この状態で[決定]ボタン、もしくは方向キーの右を押せば、選択したグループ内の各項目を選ぶことができ、[決定]ボタンを押せば、それぞれの機能や設定メニューが表示されるという仕様だ。文章にするとわかりにくいが、要するにメニューはグループメニューと各項目メニューの二階層で構成され、項目やグループの選択にはディスクジョグの回転操作を使うということだ。


メニュー 第二階層
 ディスクジョグと連動したメニュー画面。画面左半分に表示されているのが各機能のグループ  メニュー画面の第二階層は各機能の項目を選択できる。ディスクジョグを回せば、第一階層に戻ることなく、次のグループにカーソルが移動する

 ちなみに、出荷時設定ではディスジョグを右回転(時計回り)させると、グループや各項目は左回転(反時計回り)する仕様になっているが、設定を変更すれば、ディスクジョグの回転とグループや各項目の回転を同じ向きに設定することもできる。また、505iSシリーズの共通仕様であるメニューアイコンのカスタマイズ機能は、画面左半分のグループアイコンを変更する仕様となっており、カメラで撮影した画像などもアイコンに設定できる。


設定 マイセレクト
 ディスクジョグの回転方向は時計回りと反時計回りのどちらにも設定可能  ディスクジョグ右下の[マイセレクト]ボタンで表示される[マイセレクト]メニュー。ユーザーがよく使う機能を登録しておくことが可能

メール

 メールはフォルダによる管理に対応。自動振り分けはメールアドレスだけでなく、題名なども設定可能
 メールはフォルダによる管理に対応し、メールアドレスや題名、グループ指定による自動振り分けにも対応する。振り分けは受信メールだけでなく、送信メールもフォルダに自動振り分けをすることが可能だ。他機種であまり見ない機能としては、送受信メールのランキング表示、一覧画面での並べ替え、特定の文字で検索などが挙げられる。ソニー・エリクソン製端末では予測変換機能「POBox」とセンタージョグによる候補選択の組み合わせで実現される「スピードメーラー」がおなじみだが、操作デバイスがディスクジョグに変更されたSO505iSでも基本的に同じ仕様が継承されている。SO505iではセンタージョグとテンキー部が離れていたため、従来の折りたたみデザイン時代のSOシリーズの快適性が損なわれていたが、今回のSO505iSはSO505iよりもディスクジョグ部とテンキー部が近くなったため、操作性は改善されている。折りたたみデザイン時代のものに比べれば、やや違和感が残るが、慣れてしまえば、それほど苦にはならないだろう(ただし、手の小さい人は注意が必要)。


カバーを開ければ、瞬時に起動するカメラ

撮影画面

 カメラの機能設定はSO505i同様、ソニーのCyber-shotのユーザーインターフェイスを模したデザインを採用
 カメラは130万画素CCDを採用し、ガラスレンズにより、温度変化によるピントの変化を抑えている。従来のSO505iでは背面のスライド式レンズカバーを開けてもカメラが起動しなかったが、SO505iSではレンズカバーを開くと、自動的にカメラモードが起動する。レンズカバーを閉じてもカメラは終了しないが、設定メニュー内で「オートカメラオフ」を設定することで、使わないときに終了させることもできる。自分撮り用のフォトミラーもひと回り大きくなっており、SO505iよりは使いやすくなっている。ユーザーインターフェイスは従来同様、ソニーのCyber-shotのユーザーインターフェイスを模したものを採用しており、ヨコ撮りスタイルで構えたときにディスクジョグの下側に位置する[メール]ボタンで起動する。

 撮影できる静止画サイズは、「1280×960ドット」「640×480ドット」、320×240ドットの「待受画面」、288×352ドットの「iショット(L)」、120×120ドットの「iショット(S)」の5種類から選ぶことができる。メールには利用できないが、動画撮影にも対応しており、160×112ドットの「標準:なめらか」と320×240ドット「標準:大画面」の2種類から設定することが可能だ。


切り抜き 画像編集
 最大サイズで撮影した画像をiショット(S)とiショット(L)に切り抜きが可能。ただし、回転した画像は元に戻した状態で切り抜かなければならない  画像の編集メニュー。最大サイズで撮影した画像も編集することなく、そのまま待受画面に設定できる

 撮影時の機能としては、最大16倍25段階の「ズーム」、最大4枚の「連写」、夜景の撮影に適した「夜景モード」、約10秒後に撮影する「セルフタイマー」、ネガやセピアが選べる「ピクチャエフェクト」、撮影日時を写し込む「日付設定」、屋内外や蛍光灯などから選べる「ホワイトバランス」、画面中央に明るさを合わせる「スポット測光」、画像の明るさ(露出)を13段階に調節できる「EV補正」などが用意されている。QRコード及びJANコードに対応したバーコードリーダーの機能も搭載されており、約12cmまで寄ることができる「マクロ撮影」にも対応する。ちなみに、QRコードの読み取りを試したい方は、筆者の「携帯電話向けホームページのご案内(iモード向け)」をご覧いただきたい。


サンプル サンプル
 1280×960ドットサイズで撮影したサンプル画像。元画像をJPEG回転させている。リンク先は無加工。明るいスタジオ内なら、しっかりと写る。(モデル:篠崎ゆき/スーパーウイング所属)  1280×960ドットサイズで撮影したサンプル画像。元画像をJPEG回転させている。リンク先は無加工。(モデル:朱野順子サンタ・クローチェ所属)

 撮影した画像はメモリースティックDuo及び本体メモリーに保存でき、サムネイル付きの4画面および9画面表示、一覧表示で確認することができる。撮影した画像はフレームのやスタンプ、テキストスタンプの貼り付け、回転、iショットサイズへの切り抜きなどができる。最大サイズで撮影した画像をそのまま待受画面に設定したり、iショット(L)やiショット(S)などのメールサイズに切り抜くこともできるが、切り抜きは特定の部分のみを切り抜く「トリミング」ができない。このあたりの仕様は以前に紹介した同じソニー・エリクソン製端末「A5404S」と非常に似通っている。


4画面表示のサムネイル 9画面表示
 4画面表示のサムネイルには画像を保存した日時やサイズなどの情報も表示される  QVGAサイズの画面を活かした9画面表示も可能。画像サイズなどの情報は表示されない

「AV Style」を実現したモバイルムービーとMusicパネル

 SO505iSが従来のSO505iと最も異なるのは、モバイルムービーとMusicパネルによって、AVケータイとして進化を遂げた点だ。特に、冒頭でも触れたデジタルオーディオプレーヤー機能は、カメラ付きケータイで搭載例が増えてきたメモリーカードを活かすものとして注目される。

 まず、モバイルムービーについては、基本的に以前に紹介したau向け端末「A5404S」とほぼ同じ仕様になっている。ソニーのテレビ「WEGA(ベガ)」やメモリースティックビデオレコーダー「PEGA-VR100K」、モバイルAVビューアー「MSV-A1」などで録画したデータをメモリースティックDuoに保存し、SO505iS上で再生することを可能にしている。最も手軽な録画環境はメモリースティックビデオレコーダー「PEGA-VR100K」だが、モバイルムービーはソニーとしてのコンセプトであるため、VAIOやPSXで録画したデータの活用についても検討されている。

 SO505iSのモバイルムービーがA5404Sと異なるのは、A5404Sが唯一、対応している「長時間」モードに加え、一段と高画質な「標準」モードにも対応している点だ。A5404Sのレビューでは「端末上での再生なら気にならないが、パソコン上で動作するQuickTimeプレーヤーでの再生はちょっと厳しい」というコメントを述べたが、標準モードでは端末上での再生はもちろん問題なく、パソコン上での再生でもブロードバンド向けコンテンツに近いレベルのクオリティが確保されているという印象だ。

モバイルムービー記録モード
モード名 標準 長時間
サイズ 320×240ドット 176×144ドット
フレーム数 15fps
映像レート 216kbps 64kbps
音声レート 64kbps
128MBでの連続録画時間 約1時間 約2時間
端末の対応 SO505iS SO505iS/A5404S


 ただ、ケータイでのモバイルムービーで気になるのは、端末だけで予約情報の設定などができないという点だ。A5404Sのレビューでも触れたが、メモリースティックビデオレコーダーは単独で予約設定ができないため、パソコン本体やPDAなどが必要になる。せっかく端末がメモリースティックDuoに対応し、iアプリなどのアプリケーションが動作するのだから、本来は端末上で予約設定などもできるようにするべきだろう。


 一方、Musicパネルは音楽データを再生するデジタルオーディオプレーヤーで、ソニーが推進する著作権保護技術「OpenMG」「MagicGate」を利用したATRAC3形式の音楽データを再生することができる。ATRAC3形式の音楽データは音楽CDからの記録、マルチメディアキオスク端末からのダウンロード、音楽配信サービスからのダウンロードなどで入手することができる。

 音楽データを最も手軽に入手できるのは、パソコン上で動作する対応アプリケーションを利用し、音楽CDからATRAC3形式の音楽データを生成する方法だ。具体的なアプリケーションとしては、ソニーのVAIOにもインストールされている「SonicStage」(Ver.1.5以上)が挙げられる。おそらくATRAC3形式に対応した他のアプリケーションでも利用できるはずだが、残念ながら、動作確認情報はアナウンスされていない。

 音楽データを保存できるメディアは、メモリースティックDuoの内、著作権保護技術のMagicGateに対応したものに限られており、従来のSO505iなどに付属していたノーマルのメモリースティックDuoに音楽データを保存することはできない(カメラの画像などの保存は可能)。パソコンとの間で音楽データを転送するチェックイン・チェックアウトの作業にもMagicGate対応のメモリカードリーダー・ライターが必要になる。同社が販売するMagicGate対応メモリリーダー・ライター「MSAC-US30」には、SonicStageが同梱されているので、ATRAC3形式の音楽データを生成する環境がないユーザーはこれを購入するのが最も手っ取り早いだろう。ちなみに、音楽データの連続再生時間は約4時間となっている。


Musicパネル 曲の一覧
 ATRAC3形式で記録された音楽データを再生できるMusicパネル  保存されている曲の一覧も表示することができる

SonicStage

 VAIOにもプリインストールされている「SonicStage」。音楽CDをATRAC3形式でパソコンに保存し、MagicGate対応のメモリースティック(メモリースティックDuoを含む)に転送することができる
 モバイルムービーとMusicパネルによって、SO505iSは音楽やビデオが楽しめる「AVケータイ」となったわけだが、ひとつ残念なことがある。それはSO505iSがこれだけいろいろなことに活用できるにも関わらず、対応するメモリースティックDuoが最大128MBまでのものに限られており、大容量のメモリースティックPRO Duoが利用できないという点だ。モバイルムービーの長時間モードのみに対応し、オーディオプレーヤー機能を持たないA5404Sが大容量メディアのあるメモリースティックPRO Duoにも対応しているだけに悔やまれる。

 128MBのメモリースティックDuoには、ATRAC3形式の音楽データなら音楽CDで2枚分、モバイルムービーなら約2時間のデータ、1280×960ドットの画像なら約590枚が記録できる。実用的なシチュエーションを考えた場合、音楽データは音楽CDで2枚分くらいは持ち歩きたいだろうし、モバイルムービーも1時間分くらいは記録しておきたい。カメラで動画や静止画を撮影することもあるだろうし、アドレス帳もバックアップしておきたい。しかし、これらのニーズをバランス良く持ち歩こうとすると、最大128MBまでしかラインアップされていないメモリースティックDuoでは、明らかに容量不足となってしまうわけだ。もちろん、複数のメディアを持ち歩くのも手だが、1枚で何通りも使えるからこそのメモリメディアであり、もう少し大容量のメディアが利用できようにして欲しいところだ。ぜひ次期モデルでは256MB以上のメディアがラインアップされているメモリースティックPRO Duoへの対応を期待したい。


ステレオイヤーセット

 ソニーの販売する「ステレオイヤーセット DR-EX51S10」。SO505iSのマンダリンオレンジに合わせた限定品。実売価格は約5000円弱と高めだが、着信に応答できるのは便利
 ところで、これだけAV機能が充実してくると、MDプレーヤーなどと同じように、端末をカバンやポケットに入れておき、移動中はヘッドホンで音楽を楽しむといったシチュエーションが考えられる。ただ、SO505iSは平型コネクタを採用しているため、市販のヘッドホンを利用することはできない。オプションとして販売されている「ステレオイヤホンセットP001」も端末と接続する端子が丸型コネクタになっているため、平型コネクタに変換する「イヤホンジャック変換アダプタP001」が別途、必要になる。

 そこで、ソニーでは平型コネクタに接続できるヘッドホンを携帯電話アクセサリーとして販売している。ラインアップにはいくつか種類があるが、おすすめは「ステレオイヤーセット DR-EX51S10」や「ステレオイヤーセット DR-E931S10」だ。この2製品は中央のジョイント部分にボタンとマイクを内蔵しており、着信時にもイヤホン部を外すことなく、応答及び通話することが可能だ。


ケータイのAV機能を重視したいなら「買い」

SO505iS(右)とSO505i

 SO505iS(右)とSO505i(左)は発売時期が半年違うだけで、搭載されている機能にかなりの違いがあり、完成度もSO505iSの方がはるかに上回る。旧機種のユーザーはこの差をどう考えるだろうか……
 さて、最後にSO505iSの「買い」について考えてみよう。ユニークな回転式ボディを採用し、高い注目を集めたSO505i。その後継モデルに位置付けられるSO505iSは、不評だった分厚いボディをスリム化し、操作系も新しいディスクジョグを採用することにより、使いやすい端末に仕上げている。ポスト「カメラ付き」として注目されている「モバイルムービー」への対応に加え、リターンマッチとも言えるオーディオプレーヤー機能を搭載するなど、AV機能も充実している。メモリースティックDuoの対応などに不満点は残るが、SO505iを購入したユーザーには申し訳ないと思えるほどの機能差があり、お買い得感の高い端末として仕上げられている。

 これらの点を総合すると、SO505iSはモバイルムービーやMusicパネルなど、AV機能の利便性にアドバンテージを見いだすユーザーということになるだろう。モバイルムービーはまだまだ発展途上中だが、同じソニー・エリクソン製端末「A5404S」よりも高ビットレートの動画を再生できるのはうれしい。MusicパネルもメモリースティックDuoへの記録環境が限定されるものの、アプリケーションやメモリカードリーダー・ライターなども揃っている。パソコンを利用していて、ATRAC3形式の音楽データを生成できる環境があるのなら、ぜひとも利用したい機能のひとつだ。

 しかし、考えてみれば、従来のSO505iの登場からわずか半年で、これほどまでに機能差がある製品が出てしまうのは、正直なところ、ユーザーとしても悩ましいところだ。ユーザーによって求める機能は異なるとは言え、SO505iを購入したユーザーはかなり悔しいだろうし、見送ったユーザーは「待ってて良かった」と考えるに違いない。このあたりのギャップが今後のSOシリーズに対する反応に微妙な影響を及ぼさなければいいのだが……。



URL
  ニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/03/whatnew1209.html
  製品情報(NTTドコモ)
  http://505i.nttdocomo.co.jp/product/so505is/
  ニュースリリース(ソニー・エリクソン)
  http://www.sonyericsson.co.jp/company/press/20031209_so505is.html
  製品情報(ソニー・エリクソン)
  http://www.sonyericsson.co.jp/product/docomo/so505is/
  「モバイルムービー」ホームページ(ソニー)
  http://www.sony.jp/products/mm/
  メモリースティックビデオレコーダー「PEGA-VR100K」(ソニー)
  http://www.sony.jp/products/Consumer/PEG/Acc/PEGA-VR100K/
  「SonicStage」(ソニー)
  http://www.vaio.sony.co.jp/Products/Software_04q1/SonicStage/

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『録って』『観て』『楽しむ』モバイルムービー対応「A5404S」
180°スタイルで新しいカタチを創造したデジカメ・ケータイ「SO505i」


(法林岳之)
2004/02/04 12:44

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