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新世代のラインナップを展開したauの秋冬モデル
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるポケット LISMOですぐに音楽が楽しめる本」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中


新サービス対応と質感を高めた新世代ラインナップ

ラインナップ

 10月16日、auは2007年の秋冬モデルとして、8機種を発表した。10月4日にケータイの新しい買い方である「au買い方セレクト」を発表し、各方面から注目を集めていたが、今回発表された8機種は、実質的にその買い方の対象になる最初のモデルということになる。発表内容については、すでに発表会のレポート記事が掲載されているが、全体的なラインナップの方向性なども含め、発表会での印象などをお伝えしよう。

 auでは昨年のMNP開始商戦の開始時に12機種、2007年春モデルで10機種、2007年夏モデルで12機種を発表し、約1年間にわたり、各商戦ごとに10機種以上を連続して発表してきたが、今回はCDMA 1X WINが6機種、CDMA 1Xが2機種と、モデル数をやや絞り込んでいる。ただ、これはラインナップを縮小したわけではなく、KDDIが従来から進めてきた共通プラットフォーム「KCP(KDDI Common Platform)」の新バージョンの登場と密接に絡んでいるようだ。

 今回発表されたCDMA 1X WINの6機種の内、3機種については米クアルコムの最新ベースバンドチップセットであるMSM7500が搭載された新しい共通プラットフォーム「KCP+」が採用されている。そのため、auが新たに提供する「au oneガジェット」や「ウォークマン連携」、「待受画面のGoogle検索」などの機能及びサービスは、KCP+に対応した3機種のみで利用できる。

 また、KCP+を採用した3機種は、通信規格として、「CDMA2000 1xEV-DO Rev.A」に対応する。EV-DO Rev.A対応端末は昨年発売された「W47T」及び「DRAPE」以来となるが、今後、ハイエンドモデルはEV-DO Rev.A対応端末が中心になる見込みだ。


 ただ、残念ながら、今回の記者発表では、肝心のKCP+を採用した主要3機種がモックアップのみの展示となり、実際に電源を入れて動作する環境を見ることができなかった。秋冬モデルとして発表された現在のタイミングで、実際に動作する端末のデモが見られないのは、正直なところ、不安だが、説明員によれば、年内発売には間に合うように開発が進められているという。

 ボディ形状については、8機種中、折りたたみタイプが4機種、スライドタイプが1機種、2軸回転式が2機種、独自のリバーシブルタイプが1機種となっている。9月26日に発表された「INFOBAR 2」がストレートタイプであるため、ボディのバリエーションはひと通り揃ったことになるが、全体的に見て、やや折りたたみタイプとその派生タイプが多い。しかし、各機種の質感は従来よりもかなり高められた印象で、なかでもW55Tのメタルボディ、W53HやW54Sの高品質な塗装は来場した関係者からも注目を集めていた。

 機能面では従来に引き続き、ワンセグ対応端末が充実しており、今回も8機種中5機種にワンセグが搭載されている。ただ、従来は標準的にワンセグを搭載することが意識されていた印象だったのに対し、今回は5機種のワンセグ対応端末の内、3機種に韓国サムスンSDIと共同で開発した世界初となる2.8インチワイドQVGAサイズの有機ELディスプレイを搭載し、「高画質ワンセグ」の実現を目指している。残り2機種についても1機種が3インチのワイドVGA表示が可能なIPS液晶による高画質モデル、1機種が2.7インチのワイドQVGA液晶による普及モデルといった具合いに、高画質路線と普及モデル路線をうまくバランスさせている。

 ちなみに、有機ELについては、2007年春モデルのMEDIA SKINで採用されたものの、屋外での視認性や色みに対する不満が一部で聞かれたが、今回のサムスンSDI製の有機ELはMEDIA SKIN搭載のものより、新しい世代のものが採用されている。INFOBAR 2に搭載される有機ELもサイズこそ違うが、おそらく新しい世代のものということだろう。


 KCP+採用の主要3機種については、Bluetoothが標準搭載になった点も注目される。Bluetoothについては、ソフトバンクの端末が旧ボーダフォン時代から積極的に搭載していたのに対し、auはNTTドコモと同じように、一部のメーカー製端末で搭載するだけにとどまっていた。今回、KCP+でBluetoothが標準搭載となったことで、今後はauのラインナップにおいて、一気にBluetoothを搭載する端末が充実することになりそうだ。Bluetooth対応の周辺機器は特に発表されていないが、すでにソニーがヘッドセットを数機種、発売しており、W54Sのカタログには未発売と見られる「ワイヤレスオーディオレシーバー」が掲載されているなど、音楽をワイヤレスで楽しむスタイルを訴求してくることがうかがえる。

 端末を供給するメーカーの分布については、東芝が3機種と豊富なのに対し、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ、三洋電機、日立製作所、京セラ、パンテック&キュリテルが各1機種ずつとなっている。2007年春モデルや夏モデルと比較すると、カシオ計算機やシャープ、パナソニック モバイル・コミュニケーションズが新機種を提供していない。発表会の質疑応答でもカシオ計算機やシャープが供給していないことについての質問が出たが、端末メーカーの開発サイクルの関係上、こういった形になったのだという。

 サービスについては、待受画面に情報を表示する「au one ガジェット」、ソニーとのコラボレーションによる「au×SONY “MUSIC PROJECT”」とLISMO「オーディオ機器連携」が発表された。これらの内、もっとも注目されるau one ガジェットは実際に動作する環境が見られず、パネルでの説明のみとなった。位置付けとしては、Windows Vistaのガジェット、Mac OS Xのウィジェット、Googleデスクトップのガジェット、WebブラウザOpera 9のウィジェットなどと同じで、簡単に言ってしまえば、待受画面で動作する専用のアクセサリーアプリケーションということになる。Windows VistaやMac OS Xの環境をはじめ、こうしたアクセサリーアプリケーションの利用はひとつのトレンドになっており、au one ガジェットはそうした動きをケータイに取り込んだものであり、今後の展開が楽しみなサービスのひとつだ。


KDDI高橋誠氏(左)と、ソニー吉岡浩氏(右)

 KDDI高橋誠氏(左)と、ソニー吉岡浩氏(右)
 ネットジュークやLISMO Portによるウォークマン連携は、ケータイで購入した着うたフルを幅広い環境で利用できるようにするものだ。すでに、PCでデジタルオーディオに慣れ親しんでいるユーザー層にはあまりピンと来ないかもしれないが、世代的には着うたフルが最初の音楽体験というユーザー層も育ってきており、こうしたユーザーに対し、デジタルオーディオ機器との連携を提案できるという意味を持つ。また、auとしても従来のLISMOだけでは楽曲のバリエーションに限界があったが、moraという国内でもっとも充実したPC音楽配信サービスと組むことで、ダウンロードできる楽曲のラインナップは格段に豊富になる。ちなみに、mora for LISMOで購入した楽曲は、端末の着信音として利用できないが、米AppleがiTunesとiPhoneの環境で開始したように、PC向け音楽配信サービスで購入した楽曲のコンテンツ・キーだけを別途、購入し、着信音にできるようなサービスに発展する可能性もある。ケータイ業界では固定網との連携によるFMCが話題になっているが、今回のオーディオ機器連携は、PC向け音楽配信とケータイ向け音楽配信を融合させる一種の「音楽業界的FMC」のような動きと言えるかもしれない。

 発表会ではタッチ&トライコーナーが設けられ、筆者も実機を試用することができた。いつものように、ファーストインプレッションをお伝えするが、今回は前述の通り、主要3機種についてはモックアップのみの展示で、実際の操作感がわからないので、その点についてはご了承いただきたい。また、発表会で試用した端末は、実際に市場に投入される段階で、仕様などが変更されている可能性もあるので、その点も合わせて、ご理解いただきたい。


W56T(東芝)

W56T

 今回発表された端末の内、KCP+を採用したフラッグシップモデルのひとつだ。今までのauの東芝製端末ではスライド式と折りたたみタイプ、二軸回転式が採用されてきたが、今回は折りたたみタイプをベースにした「リバーシブルスタイル」と呼ばれるデザインを採用しているのが特徴だ。リバーシブルスタイルは折りたたみタイプの開いた液晶ディスプレイ部をそのまま、背面側に折りたたんでしまうような構造だ。ご記憶のいい読者なら、覚えているだろうが、その昔、旧ボーダフォンのV603Tで採用されていた360度回転ヒンジを継承したものだ。ボディの360度、回転させる動作とワンセグの起動を連動させることもでき、横置きのワンセグ視聴時には端末がわずかに上向きになるように、側面にΣ形状を付けるなど、細かい工夫が見られる。ただ、この構造そのものについてはユニークであるものの、V603Tでも今ひとつ芳しい評価が得られなかったため、今回のW56Tでは市場でどのような反応が見られるのかが気になるところだ。7×7ドットLEDはW55Tと共通だが、100種類のパターンが用意されるほか、着信時には相手の読みがなが表示されるなど、なかなか面白い演出が見られるようだ。ボタンは小さいリブのついたシートキーを採用するが、やや押下感がカタく、感じられた。


W54S(ソニー・エリクソン)

W54S

 W56T同様、KCP+を採用したフラッグシップモデルだ。ボディはスタンダードな折りたたみタイプとなっており、蒸着塗装による光沢感のあるフレームなど、全体的に高級感のあるテイストでまとめられている。W56Tがやや男性的なイメージであるのに対し、W54Sは女性的な印象だ。実は、W56TとW54Sを見比べると、ハードウェアの仕様だけでなく、パーツのレイアウトなども非常に似通っている。確証はないが、おそらくKCP+のリファレンス(お手本)的な意味合いもあり、兄弟モデルのようなイメージで開発されたのかもしれない。ちょっと不思議なのはソニー・エリクソン製端末であるにもかかわらず、メモリカードスロットはmicroSDカードのみとなっている点だ。ウォークマン連携など、ソニーとのコラボレーションを意識するのなら、メモリースティックPRO Duoや同M2などの採用もあり得るはずだが、KCP+という新しいプラットフォームを採用することもあり、それらの対応は見送られたのかもしれない。


W54SA(三洋電機)

W54SA

 W56T、W54S同様、KCP+を採用したフラッグシップモデルだ。他の2機種が有機ELを採用しているのに対し、W54SAは3インチのワイドVGA液晶を搭載し、ボディはスライド式を採用するなど、少し方向性を異にした端末だ。漆器の小箱をイメージしたという和風テイストのボディが特徴的だが、ボディカラーも山吹(黄色)、黒紅梅、白雪と、和のイメージを活かしている。黒紅梅は黒い塗装に少し赤を加えることで、光に反射すると、違った黒に見えるのも興味深い。方向キーも螺鈿(らでん)細工をイメージするなど、細かい部分にもこだわりが見え、仕上りの質感も高い。スライドについては、ディスプレイが3インチと大きいうえ、ディスプレイ部がそれなりの厚み(それでも薄い方だが)となっているため、やや段差が大きい印象が残る。ディスプレイ部の末端が角張っているため、同じauのスライド端末のW54TやW52Tなどよりもディスプレイ部との段差が大きいようにも見える。スライドの開閉についてはあくまでも主観的な感覚に過ぎないが、ボディサイズの大きさやスライドのストローク幅のわりに、今ひとつバネのアシストが強くないため、手の小さい女性ユーザーには開けにくく感じてしまうかもしれないという印象を持った。実機の操作はできていないが、テンキー部分をノートパソコンのタッチパッドのように利用できる「スムースタッチ」も注目できる機能のひとつと言えそうだ。


Woooケータイ W53H(日立製作所)

W53H

 auのラインナップでは、ワンセグ対応端末でリードを続けてきた日立製作所の最新モデルだ。KCP+ではなく、従来のMSM6550を採用したプラットフォームだが、ディスプレイにW56Tなどと同じサムスンSDI製の2.8インチ有機ELディスプレイを採用しており、ワンセグを一段と美しく視聴できるようにしている。また、auの端末としては、W51SHの「AQUOSケータイ」に続き、「Woooケータイ」というブランドネームが与えられている。言うまでもないが、Woooは日立製作所の薄型テレビのブランドネームだ。W52Hに続き、Woooで培われた画像補正技術を活かした「Picture Master for Mobile」が搭載され、高画質なワンセグの視聴を可能にしている。また、ボディも非常に質感がよく、トップパネル部分の塗装や周囲のフレームとも相まって、高級感のある端末に仕上がったという印象だ。基本的にはW52Hをベースにしているが、ワンセグのアンテナは本体に完全に内蔵した点などが進化ポイントとして挙げられる。ワンセグ視聴の感度が気になるところだが、関係者によれば、都市圏などの強電界では内蔵アンテナで十分視聴でき、郊外などの弱電界ではMEDIA SKINなどと同じように、イヤホンマイク変換ケーブルなどを外部アンテナとして活用する設計としているようだ。番組表からの予約録画やタイムシフト再生、音声付き時短再生など、ワンセグ視聴機能については、もっとも完成度の高いものと言えそうだ。ボディカラーは3色用意されるが、季節的にもノルディックホワイトは女性にかなり人気を得そうだ。


W55T(東芝)

W55T

 薄さ9.9mmを実現した超薄型ケータイだ。auの端末ラインナップは他に比べ、超薄型端末でやや出遅れた感もあったが、一気に巻き返すことができそうなモデルだ。しかも単に薄くするだけでなく、カードフォルムとメタルデザインで、今回発表された端末の中ではもっとも強いインパクトを持つ仕上りとなっている。折りたたみタイプやスライド式の端末は、一般的に縦横比が1対2程度になっているが、W55Tではトップ側のステンレスパネルをクレジットカードとほぼ同じサイズにまとめ、電着塗装やイオンプレーディングなどの加工を施すことで、高級感のあるボディに仕上げている。しかもボディカラーを「ゴールド」「ブラック」「プラチナ」とクレジットカードのクラスを模したネーミングにするなど、こだわりのある演出をしている。薄型化によって、気になる強度については、トップ側をマグネシウムの内側ケースとステンレスパネルで構成し、ステンレスパネルの肉厚をW54Tよりも厚くすることなどにより、十分な強度を確保しているという。ボタンについてはシートキーを採用しているが、他のシートキーを採用した機種と違い、リブ(突起)などがないため、ややボタンの位置などを指で感覚をつかめるようになるまで、慣れが必要かもしれない。


W53K(京セラ)

W53K

 二軸回転式ボディを採用したワンセグ対応端末の普及モデルだ。トップパネルのハーフミラーパネルなどのデザインを見てもわかるように、ベースになっているのは昨年登場し、今年、セカンドモデルも投入された「W44K/II」だ。W44K/IIはワンセグなどの派手な機能を搭載していなかったものの、15.4mmというスリムなボディとシンプルなデザインが受けたモデルだった。今回のW53Kはデザインコンセプトを継承しながら、ボディ幅を持ちやすい49mmに抑え、ワンセグを搭載しながら、同じ15.4mmのスリムボディにまとめている。ワンセグについては液晶ディスプレイを反転しての一発起動、番組表からの録画予約、可倒式スタンドを備えた卓上ホルダによる横スタイルでの視聴など、利用シーンを十分に考慮した機能で構成されている。スリム化については敢えてシートキーなどを採用せず、通常の樹脂製ボタンによるフレームレスキーを採用し、文字入力のしやすさなどを確保している。今回発表されたWIN端末の中では、W53Hと並び、ボタン操作のしやすいモデルと言えそうだ。日本語入力もW51KやMEDIA SKINよりもバージョンアップした「Advanced Wnn V2 Ex Pro」を搭載し、つながり予測や慣用句変換などが強化されている。EZ FeliCaに対応していないのが残念だが、ワンセグを手軽に視聴できるスリム端末を求めるユーザーに適した端末と言えそうだ。


A5529T(東芝)

A5529T

 東芝製端末としては、A5517TやA5523Tなどに続く、フレンドリーデザイン対応の使いやすさにこだわったCDMA 1X端末だ。「6でか機能」と謳われた大型ドームキーやでか文字、でかピクトなど、ビギナーでも簡単に操作できる機能を充実させている。ワンタッチダイヤルもワンタッチボタンを搭載するのではなく、au端末の標準機能であるペア機能と連動させ、ダイヤルボタンの[1][2][3]を長押しすることで、すぐに電話を掛けられるようにしている。また、こうした使いやすさの機能とは別に、ユーザーの利用シーンやニーズを考慮した意外な機能も充実している。たとえば、3種類が用意されているメニューパターンだが、その内のひとつは「オヤジギャグ」とも言えるイラストと機能名の語呂合せで表現している。[カメラ]アイコンで「亀」、[かんたんメニュー]で「門松」(元旦を意味)といった具合いなのだ。「そんなバカバカしい」と感じるかもしれないが、実は、搭載されている機能をイメージさせる、興味を持ってもらうという点では、なかなか有効な表現方法と言えそうだ。待受画面の壁紙も次々と難しい漢字が表示される「漢字クイズ壁紙」、よく使う便利な機能を壁紙で解説する「アシスタント壁紙」などが用意されており、筆者がよく指摘している「使ってもらうための工夫」が随所に見られる。毎回、端末を開いたとき、数秒間だけ、通話時間とEメール送受信件数、Cメール送信件数が表示させられる「使用量確認機能」もビギナー層にはうれしい機能だ。派手さはないが、実用的にもかなり幅広いユーザー層におすすめできるモデルと言えそうだ。


簡単ケータイ A1407PT(パンテック&キュリテル)

A1407PT

 A1406PTをベースに、骨伝導スピーカーを搭載したモデルだ。骨伝導スピーカーとしては、過去にツーカーが「TS41」というモデルを2003年に発売しているが、それと同じしくみを取り込んだモデルだ。骨伝導はその名の通り、骨に振動を伝え、それを聴覚神経に伝えることで、声や音を聞くというしくみのもので、auでもその技術を応用した「骨伝導レシーバマイク01」をオプションとして、販売している。A1407PTはトップパネル部側に装備された骨伝導スピーカー部をほほ骨や額の骨などに当てると、振動が伝わり、相手の声が聞こえてくる。実際に騒がしい発表会場で通話を試してみたが、クリアに相手の声を聞くことができた。耳を塞げば、一段とクリアになる。CDMA 1Xの音声コーデックは元々、周囲の音を拾いにくいと言われているため、骨伝導レシーバーの環境と組み合わせれば、聞きやすく、伝えやすい環境を容易に作ることができる。操作性も当時のTS41よりも改善されており、端末を閉じた状態で骨伝導スピーカーによる通話、設定を変えることなく、端末を開いて、受話部を耳に当てれば、通常の通話といった具合いに使い分けることができる。騒々しい場所での通話が多いユーザー、年齢などの影響で相手の声が聞き取りにくいと感じているユーザーには、ぜひ、実際に骨伝導スピーカーによる通話を試して欲しい。


新世代プラットフォームへの期待と不安

 以上が今回の発表で、実際にデモ機を触ってみた印象だ。前述のように、主要3機種については実機の試用ができなかったが、その他のモデルについては、着実に開発が進んでいるという印象を受けた。

 今回の秋冬モデル全体としては、全体的に見て、質感とデザイン性が向上したという点が評価できる。特に、W54S、W53H、W55T、W53SAの4機種は、塗装などの仕上げも非常に良く、今までのau端末とはひと味違った高級感が醸し出されていている。auとしては「au買い方セレクト」を11月12日からスタートし、ユーザーに2年間、使ってもらえるだけのものを用意しなければならない状況にあるが、それに何とか応える質感を演出したかったという気持ちの表われだろう。

 ただ、その思いとは裏腹に、少し不安をおぼえたのは、KCP+という新しいプラットフォームを採用した3機種だ。この段階に来て、実際に電源が入る端末を触ることができないというのは、年内の発売もかなりギリギリになるか、最悪の場合は越年すら考えられるのではないかという危惧もある。例年のパターンに当てはめれば、年明けの1〜2月には2008年春モデル発表が控えているわけで、その時期との兼ね合いも気になってくる。特に、au買い方セレクトがスタートするため、ユーザーとしては機種変更や新規契約のタイミングを計らなければならないが、今回のKCP+採用モデルの購入はなかなか悩みどころだ。

 KCP+採用モデルが対応するサービスについては、従来のテレビ電話などに加え、「au one ガジェット」などの新サービスも登場するが、EV-DO Rev.Aのパフォーマンスを活かす新しいサービスはまだ登場していない。ただ、au one ガジェットのコンセプトは、Web2.0時代らしいケータイの機能であり、いち早く体験したい、試してみたいというユーザーも多いだろう。このあたりをどう見るかが今回のKCP+採用モデルを購入するかどうかを判断するポイントになってくるだろう。敢えて、熟成が進み、質感や実用性を高めた他のモデルを購入するというのも十分、考えられる選択肢だろう。

 また、今回発表されたモデルの内、KCP+採用モデル以外を数え、INFOBAR 2を加えると、auは今年の秋冬商戦に対し、CDMA 1X WINが4機種、CDMA 1Xが2機種で挑むことになる。例年に比べれば、かなりモデル数が少ない印象もある。そこで、個人的な予測だが、夏モデルで好調な売れ行きを記録したW52SH、W52CA、W53CA、最後発となったW53Sについては、秋冬シーズンもある程度の期間、継続して販売するのではないかと見ている。常に最新機種を求めるユーザーでなければ、これらの高評価を得ているモデルを検討に加えるのも手だろう。

 今回発表されたモデルは、au買い方セレクトの開始との兼ね合いもあり、おそらく11月12日以降、順次、店頭に並ぶことが予想される。購入前にはぜひ本誌の新製品SHOWCASEやインタビュー、レビューなどを参照したうえで、自分にフィットするケータイを選んで欲しい。



URL
  ニュースリリース(KDDI)
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2007/1016/

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(法林岳之)
2007/10/17 12:03

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