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頻発するケータイのソフトウェア更新を考える
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるポケット LISMOですぐに音楽が楽しめる本」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中


 メールやコンテンツ閲覧、アプリ、カメラ、FeliCa、ワンセグ、音楽再生など、ケータイは、ますます高機能化が進んでいるが、その一方でケータイを構成するソフトウェアは一段と複雑化し、ソフトウェアに起因する不具合も多く発生している。今回はケータイのソフトウェア更新について考えてみよう。


頻発するソフトウェア更新

 今から約6年前、KDDIの小野寺社長は、同社が共催するイベントのトークセッションにおいて、半ばジョークのように「ケータイにもリセットボタンを搭載するべき」「NTTドコモの立川社長(当時)ともリセットボタンを付けましょうと話している」と話していた。今や、それが冗談にならないほどケータイの高機能化が進み、構成するソフトウェアも複雑化してきている。

 ケータイを構成するソフトウェアは、我々ユーザーが直接、操作したり、見えたりする範囲だけを考えても種類が急速に増えている。ケータイが通話のみの道具だった時代は、せいぜい電話帳くらいだったが、ケータイでメールができるようになったことで、メーラーが搭載され、かな漢字入力がサポートされた。iモードをはじめとするコンテンツ閲覧サービスが登場したことで、ブラウザなどのソフトウェアも搭載された。無線通信に関わる部分も主に通話をサポートするだけだったが、パケット通信もできるようになった。

 そして、通信方式が3Gに移行したことで、ケータイに搭載されるソフトウェアはさらに膨大なものになり、開発や検証には2G時代の何倍、何十倍もの時間とリソースが求められるようになった。カメラや音楽再生、ワンセグ、FeliCa、GPSなど、次々と新しい機能やサービスが登場し、気がついてみれば、私たちの身の回りにある商品の中でもケータイは一、二を争うほど、複雑かつ高度な商品に進化したと言えるだろう。

 NTTドコモ=51件、au=37件、ソフトバンク=5件――これは過去1年間に、主要3社が発表した不具合を修正するソフトウェア更新の件数だ。現在、国内で1年間に発売されるケータイが各社合わせて約100機種前後であることを考えれば、大半の機種が何らかの形でアップデートされたことになる。また、ほぼ毎週、何らかの形でソフトウェア更新が公開されているとも言えそうだ。

 元々、コンピュータの世界ではよく「バグのないプログラムはない」と言われており、ケータイの高機能化が進んだことのトレードオフで、ある程度のソフトウェア更新が必要になることは理解できる。とは言うものの、このところの各社の発表を見て、「それにしても少し多すぎないだろうか」という印象を持つ人も少なくないだろう。


各事業者別、メーカー別、機種別のアップデート状況

 ソフトウェア更新の件数は各キャリア別で見れば、当然のことながら、発売する端末の数が多いNTTドコモの頻度が高いのだが、少し視点を変えてみると、違った要素も見えてくる。

 たとえば、NTTドコモは昨年11月から905iシリーズ10機種を順次発売したが、約半年の間に、905iシリーズを対象にしたソフトウェア更新はのべ21回実施されている。敢えて「のべ」で数えているのは、1機種で複数回のソフトウェア更新が実施されたケースが多いためだ。これに対し、約1年前に発売された904iシリーズ5機種は、わずか3回しかソフトウェア更新が実施されていない。904iシリーズは本来、903iSシリーズになる見込みだったこともあり、あまり新機能が多くなかったが、905iシリーズはほぼ全機種がワンセグやGPS、国際ローミング対応などをサポートし、「ALL IN」を目指した高機能端末であるため、ソフトウェアが複雑になり、不具合の発生が避けられなかったということなのだろう。

 一方、メーカー別や機種別で見た場合も少し偏りが見られる。メーカー別では開発したモデル数が多いこともあり、NECが12回、パナソニックが11回と多く、これにソニー・エリクソンの8回が続く。開発したモデル数としてはそれほど変わらないのだが、三菱電機が4回、富士通が5回、シャープが6回と、いずれもNECやパナソニックの半数以下に抑えられている。機種別では機種別ではP905i、N905i、N905iμ、SO905iがそれぞれ3回ずつ、残りの905iシリーズ(iTV/iCSを含む)は1~2回となっている。

 ちなみに、70Xiシリーズは1年間で、のべ10回のソフトウェア更新が実施されたが、705iシリーズでは4月2日に公開されたN705iのものだけで、ラインナップの豊富さから考えると、少ない傾向にある。普及モデルに位置付けられる705iシリーズは、それほど高機能ではないため、不具合の発生が少ないとも言えるが、発売から間もないため、今のところは不具合が見つかってないという見方もできる。ただ、70Xiシリーズはひとつ前の90Xiシリーズのソフトウェア資産を継承することが多いため、ある程度、不具合が修正された状態で販売されていることも考えられる。


 次に、auを見てみよう。auはご存知の通り、従来からKCP(KDDI Common Platform)と呼ばれる共通プラットフォームを採用しており、昨年末には新しいチップセット「MSM7500」を搭載する新プラットフォーム「KCP+」を発表している。auのCDMA 1X WIN端末については、各メーカーが開発するものの、基本的にこれらのプラットフォームを採用しているため、不具合の修正もその端末が採用するプラットフォームの世代に左右される傾向がある。

 その顕著な例が今回のKCP+採用端末の相次ぐケータイアップデート(ソフトウェア更新)だ。昨年末に発売される予定が今年にずれ込み、ようやく2月から本格的な販売が開始されたが、4度にわたるケータイアップデートが実施されている。開発メーカーは東芝、ソニー・エリクソン、三洋電機と3社にまたがっているが、同じタイミングでアップデートが実施され、内容も大半が共通している。W56TとW54Sについては特に共通部分が多く、双子モデルのような位置付けでもあるため、アップデートの内容もほぼ同じものになっている。

 このKCP+採用端末3機種の4回にわたるアップデートを含み、NTTドコモと同じようにメーカー別や機種別で見てみると、東芝とソニー・エリクソンが10回ずつで、京セラの7回、三洋電機の5回がこれに続く。機種別では、やはり、KCP+採用端末3機種が4回と多い。その他の機種については、W52T、W51T、W44Sが2回ずつなのだが、今回、数えた過去1年間よりも前を含み、発売以降ということで見れば、やはり、合計3回のケータイアップデートを実施している。これらに対し、カシオ計算機は1回、シャープと日立製作所は2回ずつのアップデートを実施している。

今回のKCP+採用端末のアップデートは正直なところ、実用面でもかなり厳しいと言わざるを得なかったが(詳しくは後述)、従来のKCP採用端末でみれば、全体的に見て、auのアップデートはNTTドコモに比べ、比較的、少ないという印象だ。共通プラットフォームを採用する強みが出ているとも言えるだろう。


 続いて、ソフトバンクについて見てみよう。意外と言っては失礼かもしれないが、過去1年間に実施されたソフトバンク端末のソフトウェア更新は、わずか4回しかない。不具合がソフトウェアに起因するものの、預かり修理となった822Pを含めても合計5回という状況だ。メーカー別ではパナソニックが3回と多く、残りは東芝とサムスン電子が1回ずつとなっており、もっともモデル数が多いシャープはアップデートが一度も実施されていない。ソフトバンクでアップデートが少ない背景に、どういう理由があるのかは今ひとつわからないが、他の2社に比べ、端末そのもののコンセプトやデザインで上手にアピールしている半面、ソフトウェア面で大きな改修が必要になるような機能やサービスが追加されていないという見方もある。ただ、これだけソフトウェア更新が少ないと、逆に「更新がきちんと実施されていないのではないか」と不安になるが、少なくともソフトウェア更新の頻度を見る限りは、安定した環境が提供されているということになる。

 最後に、全体を見てみよう。事業者ごとに端末の仕様やプラットフォームが異なるため、一概に比較できないのだが、単純にメーカーごとのソフトウェア更新の数を集計すると、ソニー・エリクソンが18回ともっとも多く、これにパナソニックの14回、NECと東芝の12回が続く。当然のことながら、複数の事業者に端末を供給し、多くの端末を納入しているメーカーの方が回数が多くなる可能性があるため、あまり公平な比較とは言えないが、それでも全体的な傾向として、これらの4社はソフトウェア更新が多いということになる。ただし、敢えてメーカーを弁護するなら、ソフトウェア更新が実施される不具合は、必ずしも100%メーカーだけに責任があるわけではなく、その端末を企画し、販売する各事業者にも同じように責任がある。


意外に面倒なソフトウェア更新

N904iのソフトウェア更新メニュー

 ここまではキャリア別やメーカー別、機種別に、ソフトウェア更新の回数を比較してきたが、実は一口にソフトウェア更新と言ってもその内容はさまざまだ。

 たとえば、最近のNTTドコモがソフトウェア更新の提供を開始したN905i、N905iμ、N705iの不具合は、「ハンズフリーキットとの組み合わせで、一部、操作できないことがある」「赤外線通信で特定機種と転送したときにエラーが起きる」「背面ディスプレイの曜日表示が更新されない」というものだ。いずれも該当する環境で利用しているユーザーには困るものだが、それほど急を要する内容ではない。

 しかし、不具合の内容によっては、特定の操作で端末がフリーズしたり、データが消えたりといったことも起こり得る。かなり古い話になるが、ムーバ時代には特定の条件で作成されたサイトにアクセスすると、電話帳やダウンロードしたメールなど、ほとんどのデータが消去されるという不具合が起きたこともある。こうしたクリティカルな不具合であれば、当然、早急に改善されるべきだろう。

 また、KCP+採用端末の3機種で起きた不具合と修正についても少し触れておきたい。筆者はKCP+採用端末の3機種を順次購入し、そのうち1台は家族が利用していたのだが、発売日直後の初期段階では端末がハングアップするなどのトラブルがかなりの頻度で起きた。そのため、家族にCメール(家族間のCメールが無料のため)を送信しても相手は端末がハングアップして受信できていない(センターに蓄積されたまま)といったことが何度も起きた。「連絡がないなぁ」と思い、端末の画面を見ると真っ暗で、電源ボタンの操作もできないため、しかたなく電池パックを脱着し、電源を再投入しなければならないといったことを何度となく経験した。この状態が困るのは、待受画面で少し操作をしてみて、ハングアップしていないことをこまめに確認しなければ、自分に連絡が来ていることすら、まったくわからない状況がくり返し起きてしまうことにある。

 4回にわたるケータイアップデートのおかげで、現在はいずれの機種もそういったことは起きず、安心して利用できるようになったが、やはり、こうしたハングアップが頻繁に起きるような不具合は起こして欲しくないし、起きたのであれば、早急な改善を望みたいところだ。


 ちなみに、パソコンの環境ではマイクロソフトがWindows及び同社アプリケーションについて、セキュリティに関する修正パッチを毎月公開しているが、その内容に応じて、「緊急」「重要」「警告」「注意」という深刻度を定義している。ケータイの場合、セキュリティホールやハングアップを引き起こすといったクリティカルな不具合の修正ばかりではないため、ここまでの定義が必要かどうかは判断が難しいが、それでもクリティカルな修正とそれほどでもない修正、機能向上など、更新の内容をある程度、ユーザーが区別できるようにした方が親切ではないだろうか。

 ところで、先日、本誌の「けーたい お題部屋」でソフトウェア更新についてのアンケートを採ってみたところ、ソフトウェア更新の情報を入手したとき、約64%がすぐに手動更新し、9%が自動更新に任せ、22%が「そのうちやる」、5%が「何もしない」と答えている。

 筆者も本誌などでソフトウェア更新の情報を見かけ、即座に自分の端末のソフトウェア更新を実行するようにしているが、実際にはすぐに作業ができないことも多い。というのも多くのソフトウェア更新は、実行時に電池残量をチェックしており、フル充電に近い状態でなければ、ソフトウェア更新が実行されないしくみになっている。その結果、外出中であれば、会社や自宅に戻ったとき、ソフトウェア更新を実行することになるのだが、忙しくて忘れてしまったり、帰宅時はフル充電を待っている間に寝てしまったりといったこともある。

 また、本誌読者は情報収集に積極的であると予想されるため、ケータイ市場全体でアンケートを採れば、「すぐに手動更新」と答えるユーザーはもっと少ないことが予想される。そのため、手動更新のみに対応した端末のユーザーは、キャリアから告知がない限り、ソフトウェア更新を利用しないことも予想される。過去の不具合の修正では各キャリアからダイレクトメールが郵送されてきたが、最近は後述する自動更新に対応した端末が増えてきたため、ソフトウェア更新を促すダイレクトメールを見かけるケースは減る傾向にある。パソコンのソフトウェアアップデートやウイルス定義ファイルの更新などを見てもわかるように、ユーザーにはかなり積極的にアップデートを促すようにしなければ、なかなか実行してくれないことが予想される。

 ソフトウェアの自動更新については、NTTドコモの905i/705iシリーズ、auのCDMA 1X WIN端末などで採用されている。出荷時に自動更新がONに設定されていれば、新しいソフトウェア更新が見つかったとき、自動的にデータがダウンロードされ、ソフトウェア更新が実行される。出荷時設定では深夜から早朝に掛けて(午前3~5時頃が多い)、ダウンロードとソフトウェア更新が実行される設定になっている。


 一見、便利そうな自動更新だが、これもユーザーが機能の存在を知らなかったり、その日の夜にソフトウェア更新が実行されることを知らなかったりすれば、余計なトラブルを生む可能性がある。たとえば、筆者の知人はいつもケータイを目覚しに利用しているのだが、普段から起動パスワードをONにしていたため、深夜にソフトウェア更新が実行された結果、再起動後に起動パスワードが求められたままの状態になり、目覚しは鳴らなかったという。この知人の目覚し失敗は一例でしかない。深夜から早朝に掛けては、auの「EZチャンネルプラス」やNTTドコモの「Music&Videoチャネル」など、コンテンツの自動配信も行なわれるため、タイミングやユーザーの設定によっては、コンテンツの自動配信を受けられないといったことも起こり得る。キャリア自身が提供するサービスであれば、まだコントロールできるかもしれないが、コンテンツプロバイダがアプリなどを利用して提供しているサービスではそうもいかないだろう。

 ソフトウェア更新で、もうひとつ厄介なのが更新の失敗だ。ユーザーの誤操作による失敗はともかく、提供された更新用データなどに問題があり、失敗するという例だ。最近ではF905iが1月31日にGPS関連のソフトウェア更新を公開したが、2月4日にソフトウェア更新の不具合が発見され、公開を一時中止。その後、3月11日に他の不具合の修正と合わせた形でソフトウェア更新を再開している。

 京セラもウィルコム向けのWX310Kでソフトウェア更新が失敗するというトラブルを起こしたが、こちらはもう少し事態が深刻だった。2007年12月19日に最新版ファームウェアを公開したのだが、更新が正しく完了しないケースがあることがわかり、即日、配布を中止。2008年1月16日にソフト更新を再開するも1月18日にBluetooth接続が不安定になるという報告があり、再び配布を中止。結局、2月6日に最新版ファームウェアを再々公開するという事態になった。このトラブルはソフトウェア更新の失敗が二度も続いたことだけでなく、12月19日分のファームウェア更新で失敗した端末は起動ができなくなってしまうケースがあるほか、その後に公開された最新版ファームウェアが適用できなくなるため、修理で対応することになってしまった。不具合の修正どころか、最悪の場合、端末そのものが使えなくなってしまうという本末転倒のトラブルになったわけだ。こうした事態が続いてしまうと、ユーザーも様子を見ながら、ソフトウェア更新を実行することを考えなければいけなくなる。メーカーやキャリアには十分な検証をしたうえで、ソフトウェア更新を公開して欲しいところだ。


 また、今回はソフトウェア更新にフォーカスを当てたが、最近はauの京セラ製端末「W42K」の電池パック回収のように、ハードウェアに起因するトラブルも少なくない。特に、W42Kの一件は13件の事故が発生し、その内、3件はけが人が出るなど、事態は深刻だ。W42Kに搭載されていた電池パックはNECトーキン製のものだが、同社は過去にもウィルコムのJRC製端末「AH-J3003S」「WX220J」の2機種、auの京セラ製端末「簡単ケータイS」でも不具合を起こしており、今回で3度目ということになる。NTTドコモの三菱電機製端末に採用されていた電池パック「D06」(三洋ジーエスソフトエナジー製)の130万個回収や、ノキア製端末の電池パック「BL-5C」(松下電池工業製)の全世界4,600万個回収も記憶に新しいところだが、ケータイに搭載されるソフトウェアだけでなく、ハードウェアも安全に利用できるように、キャリアとメーカーのしっかりとした品質管理をお願いしたいところだ。


ユーザーの利便性を考えたソフトウェア更新が必要

 ケータイが高機能化し、搭載されるソフトウェアが複雑になってきたことで、パソコンなどと同じように、ケータイでも一般的になってきたソフトウェア更新。しかし、運用や実際の利用を考慮すると、現在、提供されているソフトウェア更新は、必ずしも十分とは言えない。もっと、実際にユーザーが利用するシーンを考慮したしくみを検討して欲しいところだ。

 たとえば、不具合を修正するソフトウェア更新を公開する際は、自動更新が搭載されている機種であっても該当機種を持つユーザーにメールやSMSなどで告知し、ユーザーにソフトウェア更新があることを意識させるという方法が考えられる。つまり、今夜、ソフトウェア更新が実行される予定なのであれば、それをユーザーにきちんと認識させるようにするわけだ。できることなら、24時間前には知らせるようなしくみも検討して欲しいところだ。

 また、自動更新が搭載されていない端末を利用するユーザーについても、各事業者の系列店で購入した履歴などの情報はある程度事業者側でも把握できているのだから、郵送でのダイレクトメールだけでなく、メールやSMSで伝えたり、各社公式サイトのトップページやサポートページで、アクセスしてきた端末に合わせた情報を提供したりする取り組みもできるのではないだろうか。

 さらに、今回はあまり触れてなかったが、各社がアプリ機能で提供されているアプリについても同様にアップデートを管理するしくみが必要だろう。月額課金のゲームアプリなどであれば、毎月の更新時に公式サイトへ接続されるため、コンテンツプロバイダ側でチェックができるが、なかには初期設定時以降は通信をしないアプリも存在する。たとえば、FeliCaを利用したおサイフケータイ対応のアプリの内、ポストペイ式のクレジットカードアプリ(iDやQUICPay、Smartplus、Visa Touch)についてはプリペイド式と違い、一度利用登録をしてしまうと、チャージなどの手間がないため、アプリそのものを起動する頻度が低い。そのため、アプリがバージョンアップされていてもユーザーはなかなか気づかない。実用上問題がなければ、そのままでもかまわないという考えもあるが、やはり、アプリがバージョンアップされていれば、ユーザーに何らかの告知をすべきだ。コンテンツプロバイダが個別にアナウンスするのも手だが、各公式メニュー全体を運営する各キャリアがアップデートを知らせるしくみなどを提供するべきだろう。

 いずれにせよ、ケータイに搭載されているソフトウェアに不具合がなく、ソフトウェア更新がなければ、それに越したことはない。ただ、この1年間の状況を見る限り、何らかの形で不具合が起きる可能性は高く、今後もケータイの進化とともに、ソフトウェア更新は頻繁に実行されることになりそうだ。ユーザーがケータイを安心して利用できるようにするため、各キャリア及びメーカーにはもっと使いやすいしくみのソフトウェア更新の環境を提供して欲しいところだ。



URL
  NTTドコモ ソフトウェアアップデート情報
  http://www.nttdocomo.co.jp/support/utilization/software_update/index.html
  au ケータイアップデート情報
  http://www.au.kddi.com/seihin/information/kishubetsu.html
  ソフトバンク 製品に関するお知らせ
  http://mb.softbank.jp/mb/information/announce/products.html
  ウィルコム バージョンアップ情報
  http://www.willcom-inc.com/ja/support/update/index.html


(法林岳之)
2008/04/08 12:55

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