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「TOUCH」をテーマに攻めのラインアップを揃える
ソフトバンクの2008年冬モデル
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるPRO BlackBerry サーバー構築」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。


 10月30日、ソフトバンクは2008年冬商戦向けの新端末を発表した。直前に発表されたモデルや協業を展開しているディズニーモバイルの1機種などを含め、全体で16機種が冬商戦向けに投入される予定だ。今回は7月に発売されたiPhone 3Gに引き続き、タッチ操作による端末を数多くラインアップに加えたのも特徴だ。ここでは筆者が発表会で試用した端末の印象や全体の方向性などについて、解説しよう。


ケータイを再び進化させる「TOUCH」がキーワード

 MNP開始から約2年。当初は草刈り場になるとまで言われた旧ボーダフォンの市場だが、買収したソフトバンクは順調に事業を成長させ、この2年間、国内外のケータイ市場に大きな影響を与えてきた。そんな好調ぶりが目につくソフトバンクだが、経済の市場では「経営状況は大丈夫なのか?」と心配され、ここのところのアメリカ発の金融危機の不安感の影響も受け、株価は3桁台に落ち込んでしまっている。そういった疑心暗鬼を払拭するため、同社では11月5日に予定されていた2008年度上半期決算の発表をくり上げ、一昨日の10月29日に発表した。そして、その翌日に行われたのが今回紹介する「ソフトバンク2008年冬モデル」の発表というわけだ。

 ソフトバンクは過去の発表において、ひとつのテーマを掲げ、そのキーワードを軸にした商品を発表し、ラインアップを展開してきた。たとえば、今年の春モデルは「フルラインアップ」、夏モデルは「女性」といった具合いだったが、今回は「TOUCH」をテーマにした4機種を中心に、全16機種のラインアップを発表した。

 ケータイの世界では以前から画面をタッチして操作をするユーザーインターフェイスが存在したが、マウスやキーボードを利用して操作することが前提となるパソコンなどよりも直感的な操作ができるというメリットを持つ。余談になるが、思い返してみれば、現在のソフトバンクの前身のひとつである旧東京デジタルホンは、はじめてケータイのみでメールを利用できる「Sky Walker」というサービス(今から11年前!)を実現したが、このとき、最初の対応端末となった「DP-211SW」(パイオニア製)は、全面モノクロ液晶のボディデザインで、同梱された小さなスタイラスを使い、画面をタッチしながら、文字を入力するというユーザーインターフェイスを採用していた。その後のケータイメール文化の拡がりはご存知の通りだが、iPhoneの革新的なユーザーインターフェイスを見てもわかるように、「TOUCH」は再び、ケータイを大きく進化させるキーワードのひとつと言えるのかもしれない。


 今回発表されたソフトバンクの冬モデルでは、タッチ操作が可能な端末が「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」をはじめ、計4機種もラインアップされているが、発表会のプレゼンテーションでも示されたように、機種ごとに少しずつ方向性が異なる。たとえば、パソコンに近い存在としてはWindows Mobileを搭載した「Touch Diamond X04HT」と「Touch PRO X05HT」が存在するが、その対極には通常のケータイの進化形として、「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」と「930SC OMNIA」が位置付けられる。同じタッチ操作によるユーザーインターフェイスを採用し、孫社長が言うところの「ケータイのインターネットマシン化」を実現できる、フルサイズのインターネットも楽しめる環境を提案しながら、それぞれがデザインや機能、使い勝手において、個性を発揮している。

 また、「TOUCH」以外にも端末のトピックは多い。たとえば、通常デザインの端末で言えば、auの人気ブランドのひとつであるカシオ計算機が初参入となり、同社らしいデザインと仕上げの良い端末「830CA」を提供している。電機メーカー的には、同社と『永遠のライバル』とも言われるシャープが前述のAQUOSケータイ FULLTOUCH 931SHとは別に、8.0メガピクセルCCDカメラを搭載した「930SH」を開発している。少し方向性の異なる端末だが、どちらもユーザーの期待値が高い端末と言えそうだ。この他にも海外でも高い人気を得ているノキア製端末2機種がラインアップに加わるなど、対象となるユーザーをある程度、ハッキリと狙ったラインアップが構成された印象だ。


意外に発展性がありそうな「ソフトバンクギフト」

 今回は端末の発表に加え、サービスや追加ハードウェアもいくつか発表された。なかでも個人的に興味を持ったのが「ソフトバンクギフト」だ。セブン-イレブンとのタイアップによって、実現したサービスで、メールアドレスだけでちょっとしたギフトが贈れるというサービスだ。ギフトを贈りたいユーザーはソフトバンクのケータイからソフトバンクギフトのサイトにアクセスし、そこで商品を選び、その情報を友だち宛にメールで送信する。ギフト情報のメールを受け取った人はセブン-イレブンの店頭に出向き、画面に表示されたバーコードを見せることで、ギフトを受け取ることができるというものだ。一度、読み取って、商品が受け取られたバーコードは無効になり、その後、他の店で利用することなどはできない。贈った側のギフト商品の代金は「S!まとめて支払い」で、月々の利用料金と一括して、支払うことができる。ギフトとして贈ることができる商品は、サービス開始当初、ドリンク類や菓子など、7商品に限られるが、順次、取り扱う商品を拡大していくという。

 「S!まとめて支払い」を利用する関係上、贈り主はソフトバンクユーザーに限られるが、贈り先については他事業者も含め、どのメールアドレスでもかまわない。ただ、パソコンのメールアドレス宛に送られた場合、バーコードを印刷して利用することはできないので、受け取ったメールを自分のケータイ(他事業者でも可)に転送して、バーコードを入手する必要がある。

 ソフトバンクとしては、友だちや同僚に、おにぎりやお菓子などをちょっとしたお土産代わりにプレゼントするような感覚で使ってもらうことを想定しているそうだが、ビジネスモデル的に考えると、企業が新製品などをプロモーションしたいとき、ソフトバンクギフトの取り扱い商品に加えてもらい、キャンペーン的に割引価格で販売するなど、いろいろな発展性が考えられる。ユーザー側としても取り扱われる商品に、話題の新製品が増えたり、バレンタインなどの季節商品が加わってくれば、楽しい使い方ができそうだ。


iPhone 3Gの展開

公衆無線LANし放題
 iPhone 3Gの環境についても強化が図られた。まず、iPhone 3Gで全国3500カ所のBBモバイルポイントの公衆無線LANサービスが無料利用できる「公衆無線LANし放題」が開始される。iPhone 3Gユーザーとしては高速な公衆無線LANサービスが無料で利用できるのだから、非常にうれしい限りだが、ソフトバンクとしても携帯電話のネットワークに対する負荷を減らすことができるというメリットがありそうだ。

 ただ、ちょっと気になるのは他の無線LAN機能を搭載した端末ユーザーの扱いだ。ソフトバンクではiPhone 3Gの他にもX02NKやX02HTなど、無線LAN機能を搭載した端末を数多くリリースしてきている。今回もNOKIA N82、NOKIA E71、HTC Touch Diamond X04HT、HTC Touch Pro X05HTの4機種が無線LANを搭載しており、おそらく、国内の事業者ではもっとも多くの無線LAN対応端末をラインアップしてきたと言って差し支えないだろう。しかし、今回の「公衆無線LANし放題」を利用できるのはiPhone 3Gのみで、他の無線LAN対応端末では利用できないようだ。iPhone 3Gは発売当初こそ、独自の料金プランが用意されていたが、現在は他のXシリーズのスマートフォンもほぼ同じ料金体系になっており、パケット定額フルのレートも同じだ。iPhone 3Gを積極的に展開したいというソフトバンクの思惑は理解できるが、ある程度の公平性を考えるなら、他メーカー製端末を利用しているユーザーにも同様の開放を検討してもいいのではないだろうか。

 そして、iPhone 3G関連で、もっとも意外だったのがiPhone 3G用充電・ワンセグチューナー「TV&バッテリー」だろう。iPhone 3Gよりもひと回り小さいボディに充電池とワンセグチューナーを内蔵したもので、iPhone 3GのDockポートと付属ケーブルで接続すれば、充電ができるというものだ。ワンセグについては、iPhone 3Gと1対1で登録することにより、TV&バッテリーで受信したワンセグの信号をWi-FiでiPhone 3Gに送信し、iPhone 3Gの画面に表示する。ちなみに、送信されるワンセグの信号は独自の暗号化が設定されているため、iPhone 3GとTV&チューナーを1対1で組み合わせることになる。おそらく、iPhone 3GとTV&チューナーをアドホック通信で接続し、WPAなどの暗号化通信をしているのではないかと推察される。1万円程度と言われている価格をどう見るかが難しいが、「ワンセグが見られないから、iPhone 3Gは……」と敬遠されている要因を解消する助けにはなりそうだ。気になる点があるとすれば、機器間の信号送信に消費電力の大きいWi-Fiを利用するため、iPhone 3Gでワンセグを見られるようになったのはいいが、iPhone 3G本体のバッテリーを消耗してしまい、ワンセグ視聴後はTV&チューナーからの充電機能にもお世話にならざるを得なかったということが起きそうな点だ。

 この他にもiPhone 3G向けでは、新たに絵文字がサポートされることになったが、端末上での表示に対応するのであれば、ファームウェアを更新する必要があるため、アップルから提供ということになる。


TV&バッテリー 年内にも絵文字に対応

「TOUCH」を重視した4機種を中心に計16機種をラインアップ

 さて、ここからはいつものように、タッチ&トライで実機を試用した印象を、紹介しよう。ただし、タッチ&トライの時間は限られていたため、必ずしも十分な使用感をお伝えできない点はご理解いただきたい。同時に、今回試用した端末はいずれも開発中のモデルであるため、出荷時には仕様や印象が変わっているかもしれないことはお断りしておく。各機種の詳しい情報については、ぜひ本誌のレポート記事を合わせて、ご参照いただきたい。


AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH(シャープ)

 世界最大クラスの3.8インチのハーフXGA液晶を搭載したフラッグシップモデルだ。ソフトバンク向けSHシリーズとしては、913SH、921SHに続く、フルスライド式を採用する。従来よりもさらに5mm分、スライドする量を増やすことで、ボタン部側のスペースを確保し、ダイヤルボタンのサイズも大きくしている。

 3.8インチという大画面の液晶ディスプレイ搭載で、ボディサイズは大きくなるが、ディスプレイ部の狭額縁化により、幅52mmに抑えている。実際に持った印象もそれほど幅広さを感じさせない。機能は基本的に夏モデルの923SHをベースにしており、ほぼすべての操作をタッチのみで使えるように作り込まれている。

 タッチ操作もストレスがなく、機能メニューのリスト表示で、なぞるように動かすと、一気にスクロールして、末端でバウンドするなど、演出も細かい。細かい部分でも面白い作り込みがあり、バッテリー表示は従来の数個のバーによる段階表示からパーセント表示も可能なタイプに変更されている。バッテリー残量を見て、ワンセグ視聴中に残り何分の視聴が可能なのかといった表示もできる。ソフトバンクが新たに提供を開始するモバイルウィジェットサービスに対応する唯一の端末でもあり、この冬、もっとも注目される一台と言って、差し支えないだろう。


OMNIA 930SC(サムスン電子)

 海外ではWindows Mobile搭載端末として、注目を集めている「OMNIA」だが、日本向けにはサムスンが従来からソフトバンク向けに供給してきたプラットフォームを採用したモデルが投入されることになった。そのため、スマートフォンのXシリーズではなく、通常の9xxシリーズの1機種として扱われる。

 Windows Mobile搭載ではなくなったが、タッチ操作によるユーザーインターフェイス、ダイヤルボタンなどがないフルフラットなデザインは継承されている。ディスプレイは感圧式のタッチパネルを採用しており、操作感としてはNTTドコモのPRADA phoneなどに近い。試用した端末はタッチ&トライコーナーの照明の影響もあってか、ディスプレイがやや暗く、せっかくのウィジェット(独自方式)なども見えにくい印象が残った。


Touch Diamond X04HT/Touch Pro X05HT(HTC製

 海外でも人気を集めているHTC社製のWindows Mobile端末。独自の3DユーザーインターフェイスのTouchFLO 3Dを採用する。基本的にはすでにイー・モバイルが販売しているTouch Diamondと同じものだが、X04HTは背面の多面ダイヤモンドカットデザインが採用され、オリジナルに近い仕上がりだ。残念ながらごくわずかしか試用ができなかったため、あまり厳しいことは書きたくないのだが、個人的にはTouch Diamondのユーザーインターフェイスは動きが今ひとつスムーズではない印象で、Touch Proもディスプレイ面こそコンパクトなものの、スライド式キーボードのおかげで、ボディが少し厚く感じられてしまう点が気になった。


X04HT
X05HT

930SH(シャープ)

 国内のカメラ付きケータイでは先日発表されたauのW63CAと並び、最高峰となる8.0メガピクセルのカメラを搭載したスタンダードな折りたたみデザイン端末。ここ1~2年、ケータイのカメラはCMOSイメージセンサーが広く利用されてきたが、暗いところや動きの速い被写体でもきちんと撮影できるというカメラ付きケータイ本来の楽しさを取り戻すため、新たにCCDカメラを採用している。実際に、タッチ&トライコーナーでは830SHとの撮影を比較することができたが、回転する円盤の撮影でもブレが少なく、真っ暗な暗室でも被写体がCMOSカメラよりもハッキリと写ることが確認できた。イルミネーションなどを撮ることが多いこれからのシーズンには力を発揮しそうだ。

 ディスプレイはフルワイドVGA液晶を採用するなど、スペック的には申し分ない。ボディ幅もスリムで持ちやすく、ボタンもSHシリーズでおなじみのアークリッジスリムキーを採用するなど、使いやすい環境を整えている。スタンダードながらもハイスペックの魅力的な端末だ。


830CA(カシオ計算機)

 au向けに端末を供給し、顧客満足度No.1を獲得したこともあるカシオ計算機初のソフトバンク向けモデル。カシオ計算機製端末はハイエンド端末と使いやすさで支持されてきた印象があるが、830CAは女性ユーザーを意識した使いやすさ重視のモデルだ。「美撮りエンジン」を搭載し、肌色と目元を微妙に補正する「美撮り」を実現。しくみとしては、顔検出と肌色補正を応用したもので、正面の写真だけでなく、少し斜めの顔も美撮りができる。

 内部のソフトウェアはソフトバンク向けNEC製端末と共通のもののようだが、待受画面やメニュー画面にはau向け端末でおなじみのペンギンの子ども版とも言える「ベビーペンギン」が登場するなど、カシオ計算機製端末らしい演出も欠かさない。ボディは通常の折りたたみだが、スッキリとした美しい仕上げに加え、側面に凹みを付けて、開きやすくするなど、こちらもカシオらしい仕上げの良さが目をひく端末だ。


fanfun.2 830T(東芝)

 さまざまなコラボレーションモデルを生み出した「fanfun 815T」の後継モデル。従来もトップパネル側に「コーディネートパネル」と呼ばれる交換用パネルを用意していたが、830Tではもっとも外側に装備するアウタージャケットと本体の間にインナーシートを入れ、さらに本体側のイルミネーションを加えることで、さらに華やかな演出を可能にしている。ボディは従来よりも少し角張った仕上げで、ボタン部も少し上下の間隔を空けるなどの改良を加えている。

 ハードウェアは夏モデルの823T/824Tとほぼ共通で、カメラやディスプレイのスペックも同等だが、メモリーカードが最大8GBのmicroSDHCに対応する点などが異なる。標準セットにアウタージャケットやデザインインナーシートなど、カスタマイズ可能なアイテムを同梱しており、個性の主張を重視したいユーザーに適したモデルとなっている。ターゲットは当然のことながら、女性ユーザーを強く意識している。


fanfun petit 831T(東芝)

 「fanfun.2 830T」をベースに、ワンセグやおサイフケータイ、世界対応ケータイなど、若干、機能を絞り込み、ティーンエイジャー向けを意識したモデルだ。基本的なハードウェアのスペックはfanfun.2 830Tと共通で、カメラやディスプレイ、microSDHC対応なども共通仕様となっている。今まで、こういったアプローチはなかったが、実はfanfun.2 830Tとfanfun petit 831Tを母娘で持つという組み合わせもあるのかもしれない。


830P(パナソニック モバイルコミュニケーションズ)

 10のワンタッチ機能を搭載することで、使いやすさを考えたモデルだ。ハードウェアのスペックは夏モデルとして登場した「MIRROR II 824P」に近い。ただ、デザイン的にはシンプルでスッキリとまとめられており、端末そのものの印象は大きく違う。どちらかと言えば、ボタン類のデザインなども含め、NTTドコモ向けに供給されているP706ieのようなユニバーサルデザインを意識した端末と言えそうだ。10のワンタッチ機能はPanasonic製端末でおなじみのワンプッシュオープンをはじめ、写真撮影後の壁紙やルーペ機能の呼び出しなどをできるだけ、ボタンの長押しなどの形で、簡単に起動できるようにしている。ただ、ルーペ機能は表示を固定できなかったり、通常のカメラ撮影でオートフォーカスの動作が遅いなど、操作面の快適さはまだ改良の余地がありそうな印象だ。


NOKIA N82(NOKIA)

 昨年末にNOKIAから発表され、すでに海外で販売されていたモデルだ。今回、同時に発表された「NOKIA E71」がビジネスユーザーを強く意識しているのに対し、NOKIA N82はマルチメディア機能を重視したエンターテインメント性の強い端末だ。ソフトバンクのラインアップにおいては、今年4月に発売された「X02NK/NOKIA N95」とほぼ同じ方向性の端末で、無線LANやGPS、DLNA機能なども継承されている。ただ、ボタン回りについては、好みが分かれるところで、筆者のように指の太いユーザーにはちょっと操作しづらい。また、ボディの質感も従来のものに比べ、ちょっと頼りなくなったような印象も受けた。

 ちなみに、今回からNOKIA製端末はXシリーズの名称が使われなくなり、NOKIAブランドで販売されることになったが、SIMロックなどはそのままであり、基本的な扱いは変わらない。料金体系もXシリーズに準拠する。


NOKIA E71(NOKIA)

 今夏、海外で発売され、非常に高い人気を得ているスマートフォンだ。ソフトバンク向け、あるいは国内向けとしては、NOKIA E61に続く、フルキーボード搭載のストレート端末ということになる。ボディは約10mmとかなり薄いうえ、質感や仕上げも良く、非常に持ちやすい印象だ。フルキーボードについては、E61のときほどの打ちやすさはないものの、中央部分が突起したキーは打ちやすく、日本語入力などもなかなか快適なレベルだ。ただ、ディスプレイがQVGAサイズのため、フルブラウザなどを利用すると、VGAクラスのディスプレイを搭載した端末に一歩譲る感もある。


730SC(サムスン電子)

 ソフトバンクが提供するプリペイドサービスの「プリモバイル」に特化したストレートボディの端末だ。ボディサイズが非常にコンパクトで、同じソフトバンク向けの端末としては、2007年はじめに発売された「705NK(NOKIA N73)」よりも小さく、NTTドコモ向けのNM706iなどに近いレベルのサイズだ。さすがに、ボタン類はサイズが小さいため、少し押しにくい印象もあるが、個人的には前述のN82よりは押しやすいように感じられた。プリモバイルのユーザーは外国人のユーザーが多いということで、日本語や英語のほか、韓国語や中国語、ポルトガル語にも対応する。赤外線通信やミュージックプレイヤーも利用できるなど、意外に使い道の多い端末と言えそうだ。


C01SW(Sierra Wireless)

 ソフトバンクとしては、初のUSB接続タイプのデータ通信アダプタだ。下り方向で最大7.2Mbpsの高速データ通信が利用可能。USBポートと接続するコネクタ側には、microSDHCメモリーカードスロットとSIMカードスロットを備える。USBポートに直接させないようなパソコンのため、USBケーブルとノートパソコンの背面側に固定するケースも同梱される。

 ただ、ソフトバンクとして、モバイルデータ通信の定額プランを提供していないため、今のところはいわゆる青天井で使うしかないが、付属ユーティリティでデータ転送量などは随時、確認することができる。モバイルブロードバンドサービスは各社とも提供していることを考慮すれば、そろそろソフトバンクとしても手を打って欲しいところなのだが……。


斬新、アグレッシブ、堅実が並ぶソフトバンクの冬モデル

 今年、ソフトバンクの孫社長は「ケータイがインターネットマシン化する」という言葉を何度となく、使ってきた。そのひとつは春モデルとして登場したシャープ製端末の「インターネットマシン」であり、これに続いたのが7月11日に日本に上陸したアップル製「iPhone 3G」だ。プラットフォームもアプローチも異なるが、それぞれに「ケータイがインターネットマシン化する」を具体的に実現できるプロダクトであり、市場でも着実に評価を高めてきた。

 今回のソフトバンク2008年冬モデルは、この2つのインターネットマシン化するケータイの路線をさらに強化するラインアップを拡充しつつ、その一方で、別のユーザー層が求める「ケータイらしいケータイ」もしっかりと揃え、幅広いユーザーのニーズに応えようとしている。たとえば、今回のテーマに掲げられた「TOUCH」の4機種もダイヤルボタンやフルキーボードが利用できる機種が1つずつ、ボタン類を廃し、タッチスクリーンのみで操作するというややアグレッシブな構成の端末を2機種といった具合いに、バリエーションをしっかりと揃えている。通常デザインの端末も8.0メガピクセルCCDカメラという国内最高峰のカメラ付きケータイもあれば、他事業者で人気の高いメーカーの端末をソフトバンク向け流にアレンジして登場させ、約1年半以上の間、ソフトバンクの純増を堅実に支えてきたPANTONEケータイの後継モデルもシニア向けモデルのGENTとともにリニューアルして、ラインアップに加えるなど、まさに抜かりのない構成となっている。

 そして、ソフトバンクにとって、今、もっともユーザーに使ってもらいたくて、しかたのないiPhone 3Gについても弱点と言われる部分にきちんと目を向け、絵文字やバッテリーの消費、ワンセグなどを改善しようとしている。市場の状況が変わってきたことやソフトバンクとしての方向性が変化してきたことも影響しているのかもしれないが、以前のように、とにかく数を揃え、色を並べるといった手法ではなく、アグレッシブさと堅実さをうまくバランスさせようとしているようにも見える。


 ただ、ソフトバンクに残されている課題も多い。たとえば、本稿でも指摘したiPhone 3Gへの偏重ぶりは、他のXシリーズを利用しているユーザーにとって、あまり気分のいいものではないだろう。特に、ソフトバンクのユーザーの内、iPhone 3Gが登場する以前にスマートフォンを2台目端末として購入した人も多いはずで、それらの人を置き去りにしてしまうような施策は、他事業者がスマートフォンの展開を増やし始めている状況を考えると、あまり賢明とは言えないだろう。スマートフォンのユーザーの多くは、PCメールアドレスを利用することが多いため、通信事業者が提供するメールアドレス(softbank.ne.jpなど)への縛りが弱く、MNPしやすい環境にあることをソフトバンクがわからないわけではあるまい。同時に、これだけのスマートフォンのラインアップを拡充してきたことは素晴らしいが、ユーザーがきちんと使えているかどうかはちょっと気になるところだ。iPhone 3Gについては、使ってもらう工夫をしているのだろうが、他メーカーの製品についてはどうだろうか。また、データ通信アダプタを提供しながら、モバイルブロードバンドサービスを提供できていないことも次期以降に積み残した課題だ。

 とは言え、ソフトバンクの2008年冬モデルのラインアップが魅力的であることは変わりない。今回発表されたモデルは11月上旬から順次、発売される予定だ。本誌にはすでに発表会レポートが掲載されているが、今後、開発メーカーのインタビューやレビューなども順次、公開される予定だ。それらをじっくりと読んだうえで、ぜひ、自分のニーズに合った端末を選んで欲しい。



URL
  ニュースリリース
  http://www.softbankmobile.co.jp/ja/news/press/2008/20081030_10/

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(法林岳之)
2008/10/31 18:43

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