ケータイ Watch
みんなのケータイ

 ここ数年、日本のケータイを海外と比較して、「ガラパゴス」なんていう言葉で語られることが増えている。世界のケータイ市場をすべて見たわけじゃないけど、ボクの感覚からすると、その指摘は当たっているとも当たっていないとも言える。

 ここで詳しいことは語らないけど、ユーザーの視点からすれば、国や地域が違うんだから、好みや流行が異なるのは当たり前。クルマだって、ハンドルの位置は違うし、映画や音楽、ファッション、食べ物だって、共通で好きなものもあれば、国や地域、人によって、異なるものもたくさんある。それを無視して、特殊だと言われてもねぇ。

 じゃあ、日本のケータイらしいケータイって、どんなものだろうか。高画素カメラ、ワンセグ、おサイフケータイ、高品質&高解像度ディスプレイ、GPS、モーションコントロールセンサーなど、とにかくハイスペックであることは間違いない。でも、なかなかスペックだけでは表現できないところにも日本のケータイらしいところがあるはず。

932sh01.jpg そんなことを考えながら、このコーナーで取り上げる端末として、各社の春モデルのラインアップを再チェックしてみたんだけど、ボクは今回、ソフトバンクのシャープ製端末「AQUOSケータイ 932SH」を選ぶことにした。理由は「ニッポンのケータイ、ここにあり!」と感じさせてくれるモデルだからだ。

 たとえば、ダブルチューナー搭載のワンセグ。そもそも世界で、モバイル向けテレビが日本ほど成功している国はないはずなんだけど、その中でも他を一歩リードするダブルチューナー搭載。もちろん、ダビング10対応。裏番組を同時に見られ、同時に録画までできてしまう。人によっては自宅のテレビを超えてるという説も......(笑)。

 そう言えば、折しも今月はWBCで『サムライジャパン』が激闘中だし、その後にはプロ野球の開幕も控えている。サッカーはJリーグが開幕し、AFCチャンピオンズリーグも予選リーグが始まっている。ワンセグはこうしたスポーツイベントの観戦に最適なのは言うまでもない。特に、WBCは時差の関係もあり、もろにビジネスタイムに放送されているけど、ワンセグなら、移動中や空き時間にチェックできるし、ワンセグの電波状態が良ければ、机の上で録画しておくなんていうワザも使える。

 もちろん、この他にもCCD 8Mカメラだったり、新しい形状を実現したサイクロイドだったり、モバイルウィジェットにスマートリンク辞書、ブログツールなど、機能満載、見どころいっぱいの端末として、仕上げられている。とにかく、ダントツに引き出しの多い端末であることは間違いない。果たして、このコーナーでどれだけの機能を取り上げられるのかはわからないけど、ボクなりの使い方で「これぞ、ニッポンのケータイ」と感じさせてくれたものを順次、紹介していく予定だ。お楽しみに。

n01a06a.jpg 最近、外出時はマナーモードに設定しておき、自宅やオフタイムなど、着信音を鳴らしてもいいときだけ、マナーモードを解除する人が多いよね。そうすると、通常、マナーモード中はバイブレータがONに設定され、電話やメールの着信があると、端末が振動して、知らせてくれる。

 ところが、バイブレータの振動は機種によって、ボディの構造が異なるため、振動の具合いというか、振動音がかなり違う。N-01Aの場合、正直なところを書いてしまうと、意外にうるさい。ボクは写真のように、底面側を上にして、胸ポケットにN-01Aを入れてるんだけど、バイブレータが動き出すと、StyleChangeの上下のボディが共振するように、「ビィーッ、ビィーッ」と振動音が響き渡る。しかも音がやや高いためか、周囲によく響くのだ(笑)。

 なかなか文章で表現するのが難しいが、通常、ケータイのバイブレータ機能は、端末内にあるバイブレータ用モーターが回転し、端末が共振し、周囲には「ん? どこかで鳴ってる?」くらいの印象しか残さない。これに対し、N-01Aはバイブレータ用モーターの回転で端末が共振し、さらにStyleChangeの上下ボディが振動でぶつかり合うように共振してしまうようで、まさに「ここで鳴ってます!」と訴えるくらいにハッキリと振動音が伝わる。試しに、折りたたみや二軸回転式、Wオープン、スライド式など、他の形状も胸ポケットで試してみたけど、ボクが聞いた限りではN-01Aの振動音がもっとも大きく、しっかり響く印象だ。

 バイブレータの振動音が大きいことは、着信を逃さないという意味では正しいんだけど、マナー的観点では疑問が残るし、打ち合わせや会議中に鳴り出すと、ちょっと引け目を感じる。打ち合わせの相手が思わず「どうぞ、電話に出ていただいて......」なんて、気を遣われちゃうくらい。だからこそ、3回目のエントリーで紹介した「iコンシェルの着信音OFF」なんていう設定が必要になるわけだ。

n01a06b.jpg その一方、N-01Aで気に入ったのがフルブラウザ環境だ。フルブラウザは従来から搭載されていたけど、N-01Aは横画面で利用する「Share Style」が使えるし、Nシリーズではおなじみのニューロポインターによる操作感も良好。横画面でも端末を開いた「Communication Style」のときと同じように、ダイヤルボタンからの文字入力ができるので、検索ワードを入力するときなどにも便利だ。フルブラウザ利用時にソフトキーのガイドが表示されないのが気になるが、[iチャネル]ボタンで[機能]メニューを呼び出せるし、[1]でズームイン、[3]でズームアウト、[5]でBookmark一覧を呼び出すショートカットも用意されている。

 今回まで紹介してきたように、StyleChangeという今までにないスタイルにトライしたN-01Aは、新しいスタイルであるがゆえに荒削りな面もあり、不満も残ったけど、保守的なイメージの強かったNEC製端末のイメージをいい意味で裏切ってくれた端末でもある。次期モデルに引き継がれるのか、また別のモデルに進化するのか、再び保守的な路線に戻るのか。今後の進化の行方を見守りたい。