ケータイ Watch
みんなのケータイ

01.JPG ケータイでナビゲーションサービスを利用するには月額利用料がかかる。しかし、iPhone 3GSならプリセットされている「地図」がGPSと連動し、現在地から目的地までの簡易ナビを無料で利用できる。ケータイ向けの「NAVITIME」などのように歩行ルートや交通機関を組み合わせた詳細なナビを利用できるわけではないが、取材で郊外に出向くときなどのルート確認などには十分に役立つ。

 ボクは初めて行く土地でタクシーに乗るときにiPhone 3GSの地図(写真右)を利用することが多い。運転手がちゃんと最短ルートを走ってくれているかを確認できるし、現在地を示すポイントが地図上をぐんぐん進んでいく様は、見ているだけで気持ちがいいのだ。

 iPhone 3GSの「地図」にはGoogleマップが使われている。ならば、Googleサービスとの親和性がウリのHT-03Aでは、さらにGoogleマップの使い勝手がいいのでは? と思い、両機の操作性を比べてみた。

 ホーム画面の「地図」のアイコンをタッチするだけで起動できるのはどちらも同じだ。地図の表示モードは、どちらも平面地図と航空地図から選択できる。HT-03Aでは「ストリートビュー」が選択できるが、iPhone 3GSでも地図上のピンをドラッグして地名表示の左側にある人のアイコンが点灯すれば、それをタッチするとストリートビューを起動できる。ちなみにiPhone 3GSでは、地名表示の右側の「→」のアイコンをタッチすると住所などの詳細情報を確認でき、そこを出発点または到着地に設定したルート検索にも移行できる。

 ストリートビューはどこでも見られるわけではなく、ちょっと郊外に出るとほとんどの場所が対応していない。自宅や会社のパソコンで、これから行く場所の確認をするためには重宝するが、実際のナビゲーションではさほど役に立たないように感じている。いちいち地図モードを切り替える手間が生じるHT-03Aよりも、「ストリートビューを見られるときだけにチラッと確認する」といった感覚で利用できるiPhone 3GSのインターフェイスのほうが実地での利便性は高い印象だ。

02.JPG HT-03A(写真左)は内蔵の地磁気センサーと連動してストリートビューを見られる機能がある。ユーザーが向かっている方向の画像が表示されて、画面を見上げるような角度にすれば、空を仰ぐアングルで表示されて、見下ろすアングルにすると道路を見据えた画面表示になる。これは、なかなか楽しい。友人に「こんなことができるんだよ」と自慢できるポイントでもある。しかし、実際にナビを使いたいときにはほとんど活用していない。そもそも、いろんな角度を見る必要が生じないのだ。進行方向に真っ直ぐ目を向けた映像が見られればそれで事足りるのだ。

 なお、どちらの端末にも電子コンパスが内蔵されている。iPhone 3GSではどの地図モードでも画面左下のアイコンをタッチするだけでON/OFFを切り替えられる。HT-03Aではストリートビュー表示にした場合のみ、MENUボタンをタッチして「コンパスモード」のON/OFF操作を行える仕様になっている。通常の平面地図では電子コンパスを起動できず、利用したいときにはひと手間がある、という感じだ。

 ルート検索の手順は、現在地を取得(または出発地を指定)して、到着地を指定すると、地図に経路が表示される。経路は曲がり角などを境に分割した状態でもチェックできる。これは両機ともに同じ。iPhone 3GSでは、画面上の車、電車、歩行者のアイコンをタッチすると、車に乗る場合、電車に乗る場合などの検索結果に切り替えられる。一方、HT-03Aでは、交通機関を交えた検索はできず、車の利用を想定した検索結果だけが表示される。iPhone 3GSを使った人がある人には物足りなく感じるだろう。

 両機の地図を使い比べた結果、そもそも同じGoogleマップなので地図の見やすさに大差はないが、操作感はiPhone 3GSに軍配が上がるような印象だ。どこかに行くルートを調べるときに、まず現在地を調べて、目的地を入力して、地図でルートを見て、電車に乗れる区間を確認して、駅に到着してからストリートビューなど見る、といった流れるような操作が可能なのだ。欧米向けのiPhone(2G)から3世代目を迎えて、アップルがユーザーインターフェイスを改良させてきた賜物だろう。HT-03Aは日本向けの初のAndroidケータイだ。今後のさらなる進化に期待したい。ただし、どこでも安定してつながりやすいのはHT-03A。これは端末の性能ではなく、ドコモのインフラによるものだろう。

 ボクがこれまでに使ったスマートフォンは3機種。ウィルコムのW-ZERO3[es]を2年ほど使って、昨夏からはiPhone 3Gに乗り換えて(現在はiPhone 3GSを使用)、7月からはGoogleケータイことHT-03Aも併用している。

 3機種を使い比べて、つくづく感じているのが「スマートフォンを選ぶ決め手はメールの使い勝手にあるかもなぁ」ということだ。結論を先に言えば、これまで使ったスマートフォンの中ではiPhone 3GSのメールの使い勝手が一番優れているように感じる。その理由は、普通のケータイメールとしての使い勝手と、PCメールの使い勝手を両立させているからだ。

 スマートフォンの多くはiモード、EZwebといったキャリア独自のインターネットサービスに対応していない。プッシュで受信できるケータイメールが利用できず、POPメールやWebメールのアカウントを設定して利用することになる。スマートフォンをパソコン代わりの2台目ケータイとして使うのであれば、それで十分かもしれないが、スマートフォン1台だけを持ち歩く人は、ケータイメールが使えないことに心もとなさを感じるかもしれない。

01.jpg 本誌の読者には周知だと思うが、iPhoneはiPhone OS 3.0からMMSに対応し、ソフトバンク同士では電話番号で、他キャリアやパソコン宛てには@softbank.ne.jpのアドレスを利用し、ケータイメールの感覚で画像添付メールを送れるようになった。これが非常に利便性が高い。友人・知人や同僚とのメールの連絡にはSMSやMMSを使い、仕事用には自分が設定した会社のメールやGmailを利用するといった使い分けができるのだ。

 HT-03AにはSMSの機能はあるもののドコモ同士の送受信にしか対応していない。iモードのメールを使うには別途「iモード.net」(月額210円)への加入が必要で、Webメールなので読み出しに手間がかかる。HT-03AはGmail専用のアプリが搭載されていて、あらかじめアカウントを設定しておけばプッシュで受信できるのがウリだ。グラフィックインターフェイスもパソコン版のGmailに近い仕様なので、一見するとパソコンと併用するには利便性は高いように思う。

 しかし、Gmailをメインに使っている人ってどれくらいいるのだろうか? ボクの場合、仕事のメールの大半は会社のアドレスで受信し、Gmailはメールアドレスの登録が必要なウェブサービスに入会する際などに用いることが多い。受信箱を開いて、必要なメールだけを読む。そもそもWebメールってそういうものじゃなかったっけ?と思うわけだ。

 ここでボクのメールの認識を整理させていただきたい。

ケータイメール
プライベートで最も多用するメール
SMS
気軽に使えるが、利用シーンが少ないメール
PCメール
ビジネスで最も多用するメール
Webメール
いつでもアドレスを変えられるので、サブアドレスとして都合のよいメール


 まぁ、こんな感じだ。共感していただける方が少なくないのではなかろうか。

02.jpg iPhoneの場合、GmailやPOP/IMAPメールは、同じ「メール」にアカウント設定する仕様なので、会社のメールやWebメールを一気にチェックできる。ここにケータイメールのように使える「@i.softbank.jp」も登録できる。

 一方、HT-03Aでは、GmailとPOP/IMAPメールのアプリが別々なので、一気にメールチェックするには若干手間がかかる。また、POP/IMAPメールの設定では、レンタルサーバーを利用する筆者の会社のアドレスの場合、アカウント設定にパソコンのメールソフトと同様の手間がかかってしまった。Gmailのアプリの設定が驚くほど容易なだけに、設定段階のアシスト画面などに、やや不親切な印象は否めなかった。

 HT-03Aの場合、Gmailをケータイメールのように使うのが理想的なのだろうが、一般ユーザーの間では「Gmail=Webメール=相手がすぐに読んでくれるかどうか心配」という図式があるのではないだろうか? もし、HT-03AのSMS(というか日本のケータイのSMS)が、キャリアに関係なく利用できたら便利なのになぁ……というのが率直な感想。日本でのスマートフォンの普及がいまひとつ進まないのも、そのあたりに一因があるように感じている。